【パラブーツなど】バイヤーやディレクターが選ぶ、一流ショップの顔になる傑作モノ
一流も選ぶ傑作モノ
令和のイマは、“物価高”に“情報過多”、“多様性”などなど一概にモノ好きのココロに一様にブッ刺さる傑作モノを探し出すのが正直難しい……。ただ、モノ選びに定評のある各業界の一流に聞けば、その答えが出ると我々は考えました! さしずめ傑人も愛する傑作モノ。ましてや、一流のヒトも定番モノやグッドプライスなモノまで愛用していたら、親近感もあるし、なおのこと説得力が増しませんか!?
その道のスタイルを貫く
一流ショップの顔の傑作モノ
己の審美眼でバイイングし、時代の潮流に合わせて提案してきたショップのバイヤーやディレクターなどが選ぶモノも一流の傑作モノなり。目利きのポイントを学びましょう!
「トラッドの上に成り立っている」
ご存知、UAのメンズ全体を統括するキーマン。根っからの革靴好きで、ローファーだけで80足以上を所有する。
新たな傑作といえばパラブーツのミュールですね。これは僕の企画で別注したもので、最近の暑さからサンダルを履きたい気分が高まっていました。ただ直球でサンダルだとTPOを選ぶ。そこで考えたのが革靴顔のミュール。
これならスラックスなどを穿くと、ほとんどローファーに見える。また軽く滑りにくいデッキソールを使っていて、解放的でめちゃくちゃ楽チン。しなやかなディアスキンも最高の相性で、最近は2日に1回は履いてるかも。飛行機に乗るときにも便利ですよ。
あと僕はバッグを持ちたくない手ぶら派ですが、出張や旅行にはアエタを使います。バックパックって形は出尽くしたかと思ったけど、これは今までにない顔で、匿名的でフォルムもいい。バイイングする前に個人的に惚れ込んで買っちゃいました。
手荷物が出たときに使うのはパタゴニアのパッカブルバッグ。開口部に絞りを入れられて2000円台とコスパが素晴らしく、エコバッグなのになんとなく気分が上がるのがいいですね(笑)。
「ここ最近は2日に1回は履いてます」
【パラブーツのビットミュール】
2021年の登場から新定番となりつつある別注ミュール。ビットは内山さんがイタリアで特注したもの。アッパーはシーズンごとに種類があり、現在はリザードの型押しもある。3万4100円(ユナイテッドアローズ 原宿本店)
「今までにないデザインだけどベーシックに見える」
【アエタのナイロンバックパック】
素材にはタフでハリのあるナイロンオックスを使用。内山さんはこちらのXLサイズに加え、Mサイズも持っているそう。W49.5×H56×D20cm。3万1900円(アエタ)
「お手頃価格で出会えたらラッキーです」
【パタゴニアのパッカブルバッグ】
ウェアの端材などを使用したサステナブル品。そのため常時展開されておらず、店頭にあればラッキー。レジ横付近をふらっとチェックすべし。W50×H35×D18cm。
「ひねくれ者にとってのど真ん中」
恵比寿に自店を構え30年。本江と書いてホンゴウと読みます。「オヤジの着こなしルール」(世界文化社刊)も一読あれ。
筆記具にはそれなりにこだわってきて、英国ブランドのノートを使っていた時期もありました。でもコレを見つけてからは一筋。「このひねくれ方はアリだろう」と手にしてみると、想像通り実に使いやすくって。スケジュールを書き留めたり、思いついたアイデアをメモしたりするのですが、まずもって、ノートを手持ちした状態で書きやすい。
左手でノートを開くときに反時計回りに角度を付けると持ちやすいのですが、その姿勢にジャストですよね。椅子に腰かけて書く時でも、パッと座ってササッと筆を走らせたいので、机に対して半身の斜め座りになりがちなんですよ。だから斜め罫線が文字通りまっすぐになりますし、一般的な横罫線を前にするとかしこまった気になっちゃう。
斜めだからこそ、サクッとラフに使えるんです。書くという行為をより気軽なものにしてくれている。肝心の書き味もさすがつばめノートで、万年筆でもスラスラとノーストレス。右の“半端サイズだからこそ使いやすい”アンブレラ然り、自分にとってはど真ん中の使い勝手です。
「斬新だけど好き勝手自由に書ける斜め55度の不思議」
【つばめノートの(斜めに書く人のための)まっすぐノート】
表紙にあるように右肩上がりに引かれた罫線にご注目。ノートに対して斜めに文字を書く人にとってまっすぐに、あるいは体に対してノートを斜めに傾け書く人にとっても“まっすぐ”書ける。B5判。418円(つばめノート)
斜に構えれば構えるほどまっすぐに!
「折り畳み以上フルレングス未満東南アジア化した都心部に」
【アンベルのヒートブロック コーデュラファブリックアンブレラ】
「大ぶりのトートの天面やリュックの小脇にジャスト収まる」という晴雨兼用傘。「折り畳み傘をチマチマ広げるのは気分が乗りませんが、これなら気兼ねなく」。コーデュラ生地で超軽量。親骨60cm。7700円(アンベル)
ラフなフォーマルが今の気分に合う
青山本店でアルバイトを経験後正式に入社。勤続30年以上のブルックス ブラザーズのレジェンドとして知られる。
1990年代から『カジュアルフライデー』が提唱されていたアメリカでは、月曜はタイドアップをし、週末の休日に向かうにつれて、カジュアルな装いへと調整をしていくという習慣が根付いています。ちなんでフライデーシャツと名付けられたこちらは、そんな週末前の肩の力を抜いた着こなしにマッチするように、クリエイティブ ディレクターのマイケル・バスティアンが自ら企画した肝煎りの一着です。
一番のポイントは着丈が絶妙に短く、裾もラウンドを抑えてデザインされているので、タックアウトしても着られるということ。さらに、生地自体もエンザイムウォッシュという洗い加工も施してよりカジュアルな雰囲気を打ち出し、柄もアーカイブシャツをベースにデザイン。シャツ一枚でもサマになるようにこだわって作られているんです。
だからミドルエイジ以上の方はタックインで着ても、まず冴えない印象にはなりません。1週間のワードローブにもメリハリが生まれて、お洒落をさらに楽しめますよ。
「1週間のワードローブにメリハリが生まれます」
【ブルックス ブラザーズのフライデーシャツ】
マイケル・バスティアン氏が企画、命名。専用のタグが用意された渾身のコレクションだ。エンザイムウォッシュ加工のおかげで着始めからこなれて見えるのも高ポイント。1万6500円(ブルックス ブラザーズ ジャパン)
タックインでもアウトでもこの一枚でサマになるカジュアルさが秀逸
服屋が欲しくなるモノの雰囲気がある
1971年生まれ。1996年に関西屈指の名ショップとして知られるロフトマンに入社。2021年には都内初店舗をオープン。
姿や所作に大人の色気が出る気がするので、とにかくトートが好きで。これまで300個以上のものを試してきましたが、こちらはその中でも個人的に名品に挙げたいですね。まず、アメリカ・ニューヨーク発のブランドで米国製にこだわっているのもあって、モノとしての雰囲気がとてもある。
生地もザラっとしたタッチが独特なUSコーデュラナイロンで、使い込んでいくうちに湿気を吸ってエイジングしますし、ステッチワークの米国製らしい大雑把なところなんかも含めて、いい味わいがあるんですよね。それでいながら、デザイナーが日本人の女性だからか、道具としても気が利いていて使いやすい。調節できるショートハンドルも珍しいですし、随所の大きなポケットも重宝します。
また、余計な装飾がないのも、スタイルや時代を問わずに使えていいですよね。シンプルで使いやすく、経年変化も楽しめる。まさにニューベーシックになるアイテムの条件が揃った、新傑作のトートではないでしょうか?
「SA製であり、日本人デザインである。このバランスは唯一無二」
【バッグズインプログレスのキャリーオール ビーチバッグ】
手持ちでも肩にかけても調節可能なショートハンドルや、外側に大ポケットが4つ、内側にも複数の多機能ポケットを備えた人気定番トート。W53.5×H38×D19cm。2025年春入荷予定。(LOFTMAN TOKYO)
ベルトは自ら長さ調節し、ジャストサイズに
きちんと見えて便利。これに尽きますね
東京・渋谷のヴィンテージ時計店「ECW SHOTO」の店主。「古いモノだけでなく、実は新しいモノも好き!」
シンプルなデザインで機能性に優れ、気兼ねなく着まわしできるアイテムこそ“傑作モノ”だといえる気がします。約2年前から愛用している「テアトラ」のタートルネックは、まさにそんな一枚。自社開発のハイテク素材を使っていて、とっても丈夫なんです。
いつもは気に入ると何枚もまとめ買いしますが、これは一枚あれば十分。毎日のように着ていても襟がへたれずピタッとしたままで、くたびれて見えないところが魅力です。というのも、ビジネスシーンではきちんと感を演出するために、ジャケパンスタイルで働くようにしていて。インナーはタイドアップほど堅苦しい印象がなく、それでいて顔まわりをスッキリ見せてくれるタートルネックを選ぶ日が多いんです。
だから、耐久性は妥協できないポイントで、ようやく出会えたのがこちらでした。出張中も必ず着て行きます。軽い着心地なうえ、速乾性にも優れ洗っても縮みにくいので、旅のお供に最適。今年は別の色を買いたそうかなと目論んでいます。
「買い足す必要がないほどずっとキレイなままです」
【テアトラのカートリッジニット タートル】
ポリエステルのハイテク糸 “デルタピーク”と、独自の網地で実現した超軽量のニット。「首から裾までメリハリがありながらも腕周りはシルエットなので、一枚で着ちゃう日もあります!」 3万5200円(テアトラ)
首のつまり具合がイージーケア品とは思えぬ高級感
コンフォート靴の良さが身に沁みます
1956年生まれ。接客や買い付け、オリジナルのデザインまで手掛けて40年超。アイビー&プレッピーの伝道師的存在。
ここ数年でマイ傑作入りした「個人的な殿堂入りアイテム」って何だろう。そう考えたとき、真っ先に思い浮かんだのがフェルナンドレザーのスリッポンシューズです。履いていてとにかくラク。それに尽きます。もう高齢者ですから(笑)。
アウトソールと一体化したフットベッドの湾曲具合を見ていただきたいのですが、アーチサポートの高さからどこまでも歩いて行けそうな履き心地で、一日立ちっぱなしでも疲れません。足馴染みのいい革が甲を包み込むかの製法も心地よさを増していて、腕に覚えのある職人の手仕事を抜きには製靴できないはず。おろしたて一日目から至極快適な、サンダル以上靴未満の一足です。
スムース革のものも合わせて同型の茶系色を4足ほど所有していますが、ここ最近出番が多いのがシーズンレスに履けるスウェードバージョン。革靴はキツいよな、という日はつい手に取ってしまいます。既にソールも何度か張り替えてますが、今後もリペアしながら一緒に歳を取っていきたいですね。
「良き相棒として、このまま一緒に歳を重ねていきたい」
【フェルナンドレザーのレザースリッポン】
ミシガン州にてフェルナンド氏がハンドメイドレザーの工房としてスタート。US製を貫くコンフォートシューズでお馴染み。2024年は久々にホーウィン社のスウェードモデルを発注したそう。6万3800円(原宿キャシディ)
新品時のハイアーチ(右)が履き込むにつれ足に馴染んでいく
春夏なら素足で軍パンに、秋冬ならウールパンツにも
※表示価格は税込み
[ビギン2024年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
おかげさまで重版出来!
フランス生まれの本格靴として、すっかり定番となったパラブーツ。Beginの誌面でも幾度となく登場してきたお馴染みの老舗ですが、その魅力をギュギュッと詰め込んだブランドムック「Paraboot COMPLETE BOOK」を発売中! 気になる方はぜひチェックを!