服飾考古学者・小林学さんが選ぶ“使うこと自体への満足感”を感じさせる2つの傑作モノ
一流も選ぶ傑作モノ
令和のイマは、“物価高”に“情報過多”、“多様性”などなど一概にモノ好きのココロに一様にブッ刺さる傑作モノを探し出すのが正直難しい……。ただ、モノ選びに定評のある各業界の一流に聞けば、その答えが出ると我々は考えました! さしずめ傑人も愛する傑作モノ。ましてや、一流のヒトも定番モノやグッドプライスなモノまで愛用していたら、親近感もあるし、なおのこと説得力が増しませんか!?
その道のスタイルを貫く一流ファッションデザイナーの傑作モノ
「使うこと自体への満足感が大事」
良いモノを知る、良い情報を得るためには、その道のスタイルを貫く一流の人物に聞くのが近道。愛用の傑作モノ&傑作たる理由を伺いました!
古着やフレンチ全般に精通し、実は料理も玄人はだしであることが判明。守備範囲はもちフレンチ、それから和食。
プロの料理人であれば、自店の厨房でこの鰹節削りは使わないでしょう。何故って、カンナ部の鋼がある意味で超オーバースペックだから。
青紙鋼という日本刀と同じ硬度の刃物が使われていて、じょり、じょりッと重厚感のある手応えで削れ、立ち上る薫りの芳醇さには思わずむせかえるほど。その鰹節を使えばシンプルな味噌汁や冷奴すら飛びきりの味わいになります。
その反面、鋼って非常にデリケートな素材で、空気中の水分に触れただけでサビるくらいケアが手間。本質的だけど、実用性を突き詰めると選べない酔狂でもあるんですね。
けれども余暇に嗜む男の料理の第一行程をこんな本気の道具で始められるとあれば、気分は俄然高揚します。
その意味ではこのハイエンドスチーマーもそう。業務用と家庭用の中間という感じで、パワフルかつスタイリッシュ。場所こそ取るものの、ジャケットやニットなど立体的な服の形を整えるのに最適です。部屋の中で大量の蒸気を立ち昇らせる画を思い浮かべると、実に男目線のギアだと思いません?
自分にとっての『心地いい』を築くための、過剰なこだわりを具現化した道具たち。使うことそれ自体の満足感が高いってとこがまた、男心をソソるんだよなぁ。
日本橋木屋の團十郎 鰹節削り器
「じょりッ、ザバっ。聴覚と触覚で既に星3つ!」
代々続く鍛冶職人によって製作されたカンナを使用
「ボディが桐、刃(カンナ)が主に和式刃物に使用される高級な青紙鋼」という、究極の贅沢品。これ以上の価格のものは装飾の方面で豪奢になるため、素人が買えるトップレベルの鰹節削りと言える。3万8500円(日本橋木屋)
スチームワンのハンガー付きスチーマー「George」
「本質への偏執的とも言えるこだわりの結晶です」
「カタログ撮影をする際に、旧知のスタイリストが使っていた道具をマネた」という一品。仏発の衣類スチーマー専業ブランドの最上位モデルで、約27g/分という圧倒的なスチーム量を誇る。6万500円(DMMサポート窓口)
※表示価格は税込み
[ビギン2024年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。