一代で会社をデカくした社長たちが見出した必殺仕事道具を一挙公開!
一流も選ぶ傑作モノ
令和のイマは、“物価高”に“情報過多”、“多様性”などなど一概にモノ好きのココロに一様にブッ刺さる傑作モノを探し出すのが正直難しい……。ただ、モノ選びに定評のある各業界の一流に聞けば、その答えが出ると我々は考えました! さしずめ傑人も愛する傑作モノ。ましてや、一流のヒトも定番モノやグッドプライスなモノまで愛用していたら、親近感もあるし、なおのこと説得力が増しませんか!?
一代で会社をデカくした「傑人」たちが見出した必殺仕事道具って?
社長の“今”と“昔”の傑作モノ語り
仕事人にとってビジネスを供にする道具は、自らを守り、力を与えてくれる大切な存在。一代で会社をデカくした社長の側にも、常に特別な道具の存在がありました。傑人たちの“今”と“昔”の仕事道具、その愛用のツボやいかに!?
「自分にとっては道具のようで道具じゃない。お互いに血の通い合う仲間のような存在です。」
【“吊り編み”の魅力を世に知らしめた傑人】LOOPWHEELER 鈴木 諭社長
1959年生まれ。繊維商社を経て、1991年にカットソーのOEM生産を手掛ける会社を起業。1999年、自身がこよなく愛する吊り編みスウェットを後世に残すべくループウィラーを創業し、その魅力を世界中の服好きに知らしめる。
[今]アップルのMacBook Pro 16インチ
[昔]モンブランのマイスターシュテュック プラチナ クラシック メカニカルペンシル
僕はスウェット屋ですし、服装でビシッとした感じは出せない。だからこそ持っているモノは、背筋を伸ばしてくれる存在がいいなと思うんですね。
それでループウィラーを設立した1999年頃に購入したのが、モンブランのボールペンとシャープペン。傑作といわれるだけあって握り心地や重心のバランスがよく、書き味は申し分ありません。とりわけシャープペンは、アイデアを書き留める毎日のメモに欠かせない存在ですね。
書き味抜群。最高峰の筆記具は、持つだけで気分をアゲてくれる
MacBook Proは最近購入したものですが、Macとの付き合いは長く、使い始めたのは1980年代の後半くらいから。当時はフォトショップやイラストレーターを使えるのがMacしかなかったんです。以来、2年おきくらいに買い換えて使い続けていますが、僕の中ではCPUが変わるだけで、中身は変わっていない感じ。
M2チップの搭載で高速化しても、感じる温かみはそのまま
モンブランのペンもそうだけど、いい道具ってどこか命がないのに命があるような気がするんです。旧式吊り編み機も同じで、手入れを怠るとグズって動いてくれなかったりする。道具でありながら、血の通い合う仲間のような存在なんですよね。
「一流の仕事が生んだモノを持つことで、一流の仕事が生まれる気がするんです。」
【世界中の“イイ革靴”を日本に広めた傑人】GMT&RPJ 横瀬秀明社長
1965年生まれ。1994年にGMTを創業。トリッカーズやジャラン スリウァヤ、アイランドスリッパなど、世界の名靴を輸入しその魅力を伝えてきた。パラブーツの輸入代理店RPJや、セレクト店「バーニッシュ」の経営も手掛ける。
[今]エルメスのミニショルダー
[昔]エルメスの手帳カバー
革靴を扱う仕事をしているので、革製品の品質はどうしても気になります。そして小物にしろ鞄にしろ、最高の品質を求めれば、自ずとエルメスに行き着く。もう本当に嫉妬するくらい上質な革を使っていますし、当然値は張りますけど、縫製やディテールに到るまで完璧なんですね。
手帳カバーを購入したのは2000年頃。1994年に設立した会社が軌道に乗ってきた頃で、一生懸命に働いたご褒美という思いで、パリ本店にて購入しました。革は定番のシボ革なんですが、いい具合に凹凸感が馴染んできて、表情が艶やかに。色みも一段濃くなり、より深みが増したように思います。それでいて破れたりヒビ割れたりしないのは、さすがはエルメスです。
ジャケットの内側に忍ばせられる必要最小限のサイズが肝
ミニショルダーは今年買ったばかりで、手帳と財布とスマホと、必要なものだけを持ち運ぶのにちょうどいいサイズが決め手でした。出張の際はパスポート入れにも重宝しますし、世界中を一緒に飛び回っています。
業績がいいときも悪いときも常に側にあった20年の相棒
こうして一流の仕事に触れていると、自分も!という気持ちになる。それも、僕がエルメスの革製品を愛する理由かもしれません。
「ビジネスで何度も訪れる決断の度に、幾度となく背中を押してくれました。」
【四半世紀で「世界一の眼鏡屋」を作り上げた傑人】GLOBE SPECS 岡田哲哉社長
1959年生まれ。1998年、グローブスペックスを開店。ドイツのルノア、フランスのレスカ ルネティエなど世界の名ブランドの眼鏡を扱い、イタリアの国際眼鏡見本市MIDOでは、2回にわたってベストアワードを受賞した。
[今]サクラクラフトラボの真鍮製ボールペン
[昔]IWCのポルトギーゼ
確立する以前、大手眼鏡販売会社に勤めていたときに出張でよくドイツを訪れていたのですが、時計店のウィンドウにIWCのポルトギーゼがあって、ずっと憧れの眼差しで眺めていたんです。派手さはないんだけど、クラシックで上品。買ったらずっと使えそうだなぁと思って。
スーツにもデニムにもさらりとハマる万能のクラシック顔
買う決心がついたのは、会社を立ち上げた2年後の2000年。それまで朝から真夜中まで仕事をする生活が続いていたので、そのねぎらいと、今後も頑張る自分へのご褒美を先取りする言い訳で購入しました(笑)。革アレルギーになってしまったのでNATOベルトに替えて着けていますが、かえって評判がよく、最近はさらに愛着が湧いています。
サクラクラフトのボールペンは、ご縁があり2019年から使い始めました。ズシリとくる重さが心地よくて、書き味がとてもなめらか。真鍮製なのでエイジングで色がくすみ、いい表情になってきました。
書き味が素晴らしく店舗のオフィシャルペンとしても活躍
身の回りの小物は浮気せずに使い続けるのが僕の信条。時計もペンも、僕にとってはビジネスで何かを決断する際に勇気を与えてくれる、“お守り”のような存在なんです。
「購入した時期もモノもバラバラなのに、一つのストーリーで繋がるのは感慨深いです。」
【己の肉体で無名ブランドを急成長に導いた傑人】YELLOW MONKEY BREWING 駒田博紀社長
1977年生まれ。2015年、商社を退職した翌日にオン・ジャパンを立ち上げ、日本では無名だったオンを人気のスポーツギアブランドに成長させた。現在はクラフトビールブランドのイエローモンキーブリューイング代表を務める。
[今]オンのクラウドサーファー ネクスト
[昔]フライターグのPCケース
縁があり、前職ではオンの日本法人代表を任せて貰っていました。
フライターグのPCケースは、オンの創業者の一人であるキャスパー・コペッティからの頂きもの。彼が同じ黄色のケースを使っているのを目にして、「ボロボロだけど、どうして?」と尋ねたら、フライターグはオンと同じスイスのブランドで、廃棄されるトラックの幌を再利用して作っているという物語を聞いたんですね。感銘を受けていると、僕を連れてお店で買ってくれた。
黄色を選んだのは、彼への憧れがあったから。クラフトビールの会社を立ち上げた今、あらためて見ると色がビールっぽいし、繋がりを感じますね。
コンセプトに共鳴し出張の度に買い足したフライターグあれこれ
オンのクラウドサーファー ネクストは、オン時代の戦友であるPRの前原靖子さんからの頂きもの。じつは初めて履いたオンもクラウドサーファーだったんです。走るのが大嫌いだったのに、フワフワした着地感からどこまでも走れるような楽しさを教えてくれたモデル。顔がシックですし、僕は仕事にも履きます。
自分を知ってもらうためにも、仕事では特に、自らを語るものを使っていたいんですよ。
ドミノ型の穴が衝撃を推進力に変えるシリーズ最新作
最後に聞いた!
ビジネスで勝てる小物選びとは?
一代で会社をデカくした社長たちは、例に漏れず仕事道具に深い愛情を注いできました。そんな彼らが考える、ビジネスで勝てる小物選びの神髄がこちらです!
LOOPWHEELER 鈴木 諭社長
「相手の前で堂々胸を張れる、作り手の思いや信念の宿ったモノだけを選ぶべし!」
GMT&RPJ 横瀬秀明社長
「多少値は張っても時代の変化に合わせて使えるモノを吟味し、大切に使い続けるべし!」
GLOBE SPECS 岡田哲哉社長
「デザインでもいいし機能でもいい。どこかに惚れ込めるモノを選び決して浮気するべからず!」
YELLOW MONKEY BREWING 駒田博紀社長
「それを選んだ理由を聞かれたとき、語れるストーリーがあるのか。自らを語れるモノ選びが絶対!」
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[ビギン2024年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。