3つの“No.1”と“キーワード”で振り返る「古具のほそ道 」特別編
[KEYWORD 03]日本人のデザイン
「実は80年代のイタリアなんて日本人デザインばっかりだしね」
京都にも別宅を構える南さんは、自国日本の旧時代のデザインにも意識的。それを物語るように、日本がルーツのグッドデザインがこんなにも! とはいえ、いずれも世界に通ずるワールドスタンダードなものばかり。真のクールジャパンよ、永遠なれ。
内田 繁
サイドテーブル「OKIDOKO」
樹脂で覆われた発色の良い木板と、それを支える様々な形の柱のみで構成される、シンプルながら個性際立つデザイン。文字通り“置き床”の要となる盤面は表裏の色が統一され、どの角度から見ても美しい。壁に寄せてよし、空間の中央に置いてよしと汎用性も高い。
カッペリーニ
キャビネット(デザイナー:倉俣史朗)
今も世界中で支持される日本人デザイナー、倉俣氏が1970年に発表したリボルビングキャビネット。20段のドロワーは一本のポールで支えられ、そこを起点に回転する。生産はイタリアのメーカー、カッペリーニ。
内田 繁
チェア「セプテンバー」
NY、メトロポリタン美術館のパーマネントコレクションにも選定される、内田 繁の代表作のひとつ。黒く塗装された極細スチールを基軸に、半円、直線、三角形と幾何学的な要素がシンプルな設計の中にぎゅっと詰め込まれている。
天童木工
カブトチェア(デザイナー:剣持 勇)
名前のとおり伝統的な防具を思わせる曲線が特徴で、元はゴルフ場のクラブハウス用に考案されたと言われるダイニングチェア。張り地にくるまれた状態でも認識できる、成形合板の美しいカーブが天童木工の技術力の高さを物語る。
オゼキ
フロアライト「AKARI」(デザイナー:イサム・ノグチ)
型の上から芯となる竹ひごを巻いて成形し、その上に和紙を張っていく、伝統的な岐阜提灯の製法を踏襲した照明シリーズ。経年変化する和紙はムードのよさも格別で、生産から数十年が過ぎても実用品としての機能を損なわない。
表 高吉
木彫りの熊
吠え熊と呼ばれる本作は、その名のとおり口は大きく開かれ、荒々しさを覗かせる。一方で絶妙にデフォルメされたフォルムで、猛獣の恐ろしさは和らぎ、どこか愛らしさも感じさせる。ガラス製と思われる目に生命力が宿って見える。
シモン
木彫りの熊
限界近くまで細めたスチールパイプ使いは高濱デザインの十八番のひとつ。緩やかにカーブする座面や背もたれもモダンな印象をグッと後押しする。木製のアームレストも面積こそ小さいが、その有機的な質感で絶大の存在感を放つ。
Tendo Mokko[天童木工]
アントラーチェア&テーブル(デザイナー:坂倉準三)
チェアはビニールレザーの座面、テーブルはメラミンの天板と、それぞれプライウッドを組み合わせた同シリーズのダイニングセット。鹿を意味する名前(アントラー)の由来は、独特なラインを描くアームレストを見れば一目瞭然だ。
Japan Design EX 岡本太郎
太陽の塔とコムデギャルソンのチェアを紹介。岡本太郎デザインは、例外的にデザインというよりも存在そのものが南氏を刺激するようで、「自分の中の岡本太郎が不足してるときに、ただただ愛でる」という言葉に、その価値が集約されている。
※表示価格は税込み
[ビギン2024年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。