3つの“No.1”と“キーワード”で振り返る「古具のほそ道 」特別編
[KEYWORD 02]チェア&スツール
「自宅でゴロゴロと無造作に転がってます(笑)」
こんなにあっても座る機会は限られているし、なんなら座る気すら起きないのに、そばにあって欲しい。それを癖(へき)と言わずに何と呼びましょう? イスとスツールは、終わりなき「古具のほそ道」において、いわば宿のような心の拠り所、なのかもしれまえせん。
アリアス
セコンダチェア(デザイナー:マリオ・ボッタ)
サンフランシスコ近代美術館やワタリウム美術館を手掛けたスイスの建築家、マリオ・ボッタによるデザイン。丸、三角、四角と見る角度によって様々な図形が現れる幾何学的なチェア。発表されたのは1982年で、その名のとおり世に出た自身2 作目のチェアだった。
ドイツ製
スタッキングチェア
1960~70年頃、学校やオフィスなどで使われたと思しきノーブランドの木製スタッキングチェア。座面は合板で、前側が脚に沿う曲木細工で座り心地も良好だ。スタッキングを前提とした機能的な脚の角度が、デザインとしても美しい。
シェーカーチェア
シェーカーとはプロテスタントの一派で、18世紀にイギリスからアメリカに移ってきた教団。彼らによって生産されたシェーカー家具の代表型。部屋の壁に取り付けられたペグに、座面が埃を被らないよう天地逆さで吊り下げられた。
シャルロット・ぺリアン
ベルジェスツール
羊飼い(ベルジェ)のイスをベースにデザインされたスツール。55年に日本で行われたル・コルビュジエらとの合同展で発表された。切り株からそのまま切り出したようなシンプルな素材使いと設計は、時を経ても色褪せない。
エロームス ヴィヘン
スチールスツール
エロームスのスツールは、長身の人が多いオランダ国内の需要に合わせたと思われる高い座面が特徴。樹脂の座面に、細めのスチールパイプの長い4本脚というオーソドックスなデザインが、特殊なプロポーションを引き立てる。
EAMES[イームズ]
ラウンジチェア(デザイナー:チャールズ&レイ・イームズ)
初期イームズを代表する戦後生まれの傑作で、チャールズ&レイ・イームズ夫妻が1946年に発表したチェア。背もたれ、座面、脚など随所が5 層の合板の湾曲で成形される。『タイム』誌で20世紀最高のデザインに選出された名品だ。
アヴァルテ
“A502”チェア(デザイナー:ウリヨ・クッカプーロ)
クッカプーロはフィンランド出身のデザイナーであり建築家。成型合板とスチールを使った本作は、第一次オイルショック以降、プラスチックの使用をやめた彼の作風を象徴する一脚だ。スウェーデンの病院用に作られたと目される。
ダル ヴェーラ
革張りチェア
フランス、レ・ザルクのスキーリゾートを手がけたシャルロット・ペリアンがセレクトしたチェア。スチール製フレームに、馬の鞍のような極厚レザーをステッチとリベットで固定した。製造はイタリアの家具メーカー、ダル ヴェーラ。