3つの“No.1”と“キーワード”で振り返る「古具のほそ道 」特別編
全50回から導かれる
頻出キーワードBest3
振り幅も広く、一見カオスなようでありながら、どこか明確な選定基準も感じさせる南さんのセレクト。その輪郭に触れるべく、過去の連載で頻出した3つのキーワードをピックアップしました。
[KEYWORD 01]バウハウス
「ディーターとかブロイヤーとか好きなデザイナーが多いですね」
約1世紀前のドイツ・ワイマールでデザインや芸術に関する教育を行った学校機関と、そこに端を発するムーブメントの影響は現代においても絶大。もちろん、刺激的なミニマリズムと温故知新を是とするこの連載でもまた然りです。重要デザイナーが、こんなに!
WMF[ヴェーエムエフ]
ソルト&ペッパーシェイカー(デザイナー:ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルド)
輪郭線の精緻が際立つ、やや薄めのガラス製容器。ステンレスキャップははめ込むだけのシンプルな設計ながら外れにくいよう計算されている。誕生から半世紀以上を経ても色褪せない、洗練の極致と言うべきデザインだ。
Marcel Breuer[マルセル・ブロイヤー]
デスクランプ
バウハウス出身のマルセル・ブロイヤーが、1925年にパリで行われたアール・デコ博覧会で発表したランプ。直線と曲線を明確に使い分けた、シンプルかつ独創的なデザイン。ホイッスルのようなシェードとパイプオルガンのようなアームの組み合わせが美しい。
vitra.[ヴィトラ]
ウルムスツール(デザイナー:マックス・ビル)
座る、載せる、運ぶなど多様な用途に活用できるスツール。座面と側面は組み継ぎという手法で接合され、木工製品ながら釘ひとつ使っていない。バウハウス卒業後、初代校長を務めたウルム造形大学で使うために作られた。
TECTA[テクタ]
「F41 カウチ」(デザイナー:マルセル・ブロイヤー)
若き日のブロイヤーがスケッチしたチェアが製品化されたのは、没後の1984年。スチールパイプを使ったデザインの着想源は“自転車”だが、本作もしかり。スチール部品と有機的なラタン(籐)という組み合わせの妙が光る。
ガヴィナ
ワシリーチェア(デザイナー:マルセル・ブロイヤー)
バウハウス在校中に生まれたブロイヤーの代表作の一つで、“スチールパイプ×レザー張り地”で作られた最初のイスといわれる。のちに抽象画の元祖ことワシリー・カンディンスキーが称賛したことで、この呼び名が定着。