モノ知り用語集
起源は16世紀のイギリスまで遡る男服の象徴「スーツ」。ビジネスとカジュアルの境目が曖昧になっているとはいえ、その知識をおざなりにするってのは服好きとしてナンセンス。明日から使える通な用語をまとめておさらい!
袖口(カフス)の名称の一つで、シングルカフス同様折り返しなし、袖口の留め方が筒状ながら、ボタンが2つ付いていることで、袖口の周囲の寸法を調整できる。既成ワイシャツのほとんどがこの形状。
シャツではなくシャツの内(=首)に直接巻くネクタイで、蝉型ネクタイと呼ばれる幅広のシルク製が一般的。ロンドン郊外バークシャーにあるアスコット競馬場での観戦は伝統的に礼装スタイルで観戦するのが習わしで、キメ技ネックアイテムとして紳士の間で愛用されている。
袖付のために空けられた、腕を通す穴。「袖ぐり」とも言い、大きさや形によって、着心地が変わる重要なポイント。
シャツの衿の名称の一つで、翼のように見えることが名の由来。礼装用のフォーマルシャツに見られる形状で、別名”前折れ立て衿”。
ジャケットのラペル縁などに施される手縫い風のステッチ。仕立ての高級感や衿の型崩れを防ぐ効果もあり、良いスーツを見分けるには重要なディテール。ちなみにAMFとは、「(A)アメリカン・(M)マシン・アンド・(F)ファウンドリー」が開発したミシンでステッチを入れたことが由来とも。
裏側にも多くの表地を使った贅沢な仕様で、ジャケットのシルエットを保つ。いい加減な作りのスーツほど見返し部分が少ない。
“台場”とは、江戸時代に大砲を置くために人工的に海面に陸地を突起させた土地のこと。この形が、裏地交換しやすいように設計されたスーツの内ポケ周りの形と似ていたのに由来する。
ボタンダウンといえばこの生地。縦横ともに綿糸を撚り合わせ、2本ずつ平行に揃えた平織物。通気性に優れ、織りによる細かな凹凸で肌離れも◎。タフで粗野な雰囲気が一番の魅力で、程よいカジュアル感を醸してくれる。
「Yシャツとの違いがわからん!」という方も多いでしょうが、「Yシャツ」と同じ意味。1918年に現スポーツ用品メーカー「美津濃(ミズノ)」の創業者、水野利八が考えたネーミングで「勝った!」の語呂合わせから来ている。勝敗を競うスポーツで縁起を担ぐためとも、この年に終戦となった第一次世界大戦の勝利にちなんだとも言われているが、じつは意外と歴史ある呼び名なのだ。今でも「Yシャツ」と「カッターシャツ」で呼び名が混在しているのはこのため。
シャツやジャケットの袖口のこと。大きく分けて、ボタンで開閉ができる本切羽と開閉不能の開き見えの二種類がある、
シャツの衿を指す。フォーマルからカジュアルまで、着用シーンに合わせて様々な種類がある。
ネクタイの結び目(=ノット)が緩まいないように固定させておくツール。タイ周りを立体的に美しく見せる効果があり、シルバーやゴールド色のシンプルなものが一般的。
パンツの縦に入った折り目のこと。
シャツの衿の名称の一つで、身頃がストライプ柄か色無地で、衿とカフスが白無地のシャツ。正式名称は”ホワイト・カラード・シャツ”という。
袖先に見られる短冊状の細長いパーツ。ロールアップを補助する役割を果たしている。
ソリッドタイに、小さな紋章を配置したネクタイのこと。
袖口(カフス)の名称の一つで、折返しはないが、シングルカフスのように備え付けのボタンで筒状にも、ダブルカフスのようにカフリンクスで合わせても留めることができる。シングル風とダブル風、シーンに応じて両方の留め方を楽しめる、一石二鳥な袖口形状。
ネクタイ地で最もポピュラーな生地。タテ糸かヨコ糸どちらか一方をより多く表面に表した織り組織のことで、布の表面に浮き出る強い光沢感が特徴だ。感触は非常になめらかでドレープ性にも富むため、華やかかつエレガントな印象を与える。
タテ糸を張ったり弛ませたりしながら織ることで、平らな部分とシワのある部分を交互にストライプ状にした織物のこと。凹凸のおかげで肌離れがよく、暑い季節でも快適。夏向きのカジュアルシャツによく見られる。
かすれた色合いがラフなワークシャツの代表生地。タテ糸に色糸を、ヨコ糸に白色の晒糸を用いた平織物。パステル調の色合いが特徴で、また表面に現れる霜降り状の風合いも個性的だ。
ネクタイの幅が狭い先端部を指す。”チップ”と呼ばれることも。
袖口(カフス)の名称の一つで、一重で折り返しのない、筒状に留める袖先。フォーマルからカジュアルまで幅広く使われる、一番ベーシックな形状。
ネクタイ地の一種。フランス人J・M・ジャカールが発明した紋織機で織られた紋織物のこと。模様の制限がほとんどなく、小紋柄やペイズリー柄もこの折り方によって表現される。あまり厚手のものはない。
シャツの衿の名称の一つで、立衿の総称。ノータイで着てもドレッシーに決まる、シャツ衿の原型。中国でよく見られる”マオ・カラー”もこの一種である。
スカーフの折り方の一種。シャープなスマートさはフォーマルな場でも雰囲気十分。
イタリア語で「7つ折り」の意味で、「セブンフォールド」とも呼ばれるネクタイの織り方。芯地を使わず7回折って作られるため一般的なネクタイの倍以上の生地を要する(=つまり高い)が、芯地がない分ドレープは一級品。ふんわりとした立体感で美しいVゾーンを演出してくれる。
柄を使わず、単一色で仕上げられた無地のネクタイを指す。シンプルゆえ、無地からストライプなどの柄まで幅広いシャツにハマる。
ネクタイの幅の広い先端部を指す。”エプロン”と呼ばれることも。
シャツの衿の名称の一つで、衿裏のタブを衿元のスタッドに引っ掛けて留める衿。”プリンス・オブ・ウェールズ・カラー”とも呼ばれる。
袖口(カフス)の名称の一つで、ターンナップとは”折り返す”の意。図のようにボタンで留まってない袖先部分が肘の方向に折り返された、ダブルカフスの応用版。”ミラノカフス”と呼ばれることも。
パンツの裾を折り返す仕立てのこと。裾に重みが出るため、パンツのラインが綺麗に出る効果もあり。折り返しは4.5cm幅がバランス◎。4~5cmが許容値。
袖口(カフス)の名称の一つで、二重に折り返された袖口の切れ目を、合わせて留める形状。もともとはパーティ仕様であったが、今では日常的に着用されている。
その名の通り、かつては“チェンジ=釣り銭”を収納するために備えられていた、英国人の粋を象徴するディテール。正直使わないけど、あると上質に見える……と好む服好きも多かった。
表面に斜めの畝が現れて見える綾織物の総称。同じ糸なら平織りよりも手触りがソフトで光沢があり、シワになりにくい。
スカーフの折り方の一種。米国のテレビ関係者が見栄えのいい形として発明。折り方も簡単なうえ、ビジネスでもお咎めなしの安パイ。
ネクタイのノット下にできるくぼみのこと。ノット下に深~く入ったディンプルはデキる男の証明である。
ポケットのカンヌキ部分をD字状にとめた仕様を指す。破けにくく型崩れもしにくくなる仕様で、地味だがこのステッチが、ちゃんとしたスーツを見極める重要なポイントにもなっている。
シャツの衿の名称の一つで、イタリア語で「ボタンが2つ」の意味。第一ボタンにボタンが2つ付く衿。ノータイ・開衿での着こなしにハマる。
ドビー織機で織られた小柄な幾何学模様が特徴。目の細かな梨地から地模様まで折りだされる柄はストライプあり千鳥格子ありと多彩。白シャツでも表情が豊かになるので、ビジネススタイルにもさり気なく取り入れられる。
ネクタイの結び目のこと。シーンや見栄えに合わせて様々な種類がある。
ネクタイ地の一種で、タテ糸、ヨコ糸ともに2本以上の糸を揃えて追った織組織のこと。平織りの一種で、織り上がるとカゴの目のように見えることからこう呼ばれている。自然な凹凸感からくるざっくりとした感触が持ち味で、ニュアンスを求めたい人向き。
ニットタイの編み柄の一つ。一般的なニットタイに比べて、網目が規則正しく整列しているのが特徴。パイナップルの呼称はその編み柄がパイナップルのように見えることに由来する。かつてはよく見られたが、現在では珍しい編み。
スカーフの折り方の一種。「パフ(=膨らませる)」の通り、ふわりと寛いだ雰囲気と華やかなルックスはパーティにマッチ!
ネクタイ地の一種で、ざっくりした感触を持つ多孔質の生地をいう。織り(編み)目が見えるため、軽やかさを感じさせる。一般的な折生地に比べればカジュアルだが、ニットタイよりはややドレッシーな印象。この中庸さにより、幅広いシーンに対応できる。
スーツ用語で、ジャケット×シャツ×ネクタイの三要素で構成される、ジャケット衿開きに入ったV字のゾーンのこと。ココにこだわるか否かが、スーツスタイルで差がつく分かれ道。脱毛のVゾーンとは全く関係がない。
シャツ生地として最もスタンダード。表面に細かな横畝が浮き出ている綿素材の平織物のこと。シルケット加工をしたものは上品な光沢と質感が見られ、よりドレス向き。ちなみにブロードは米国での名称で、英国では「ポプリン」と呼ぶ。
ジャケットの背中側に見られる切り開きのこと。切り開きがどこに入るかで呼び名が変わり、中央に入ったセンターベントや両側にあるサイドベントなどが一般的。
植物柄などがあしらわれた柄ネクタイを指す。もともとは植民地時代のインドで作られた柄で、そこからイギリス紳士の象徴として流行した。大人の色気と貫禄を醸したい人にはうってつけ。
袖がボタンによって開閉できる仕様のこと。ひと昔前まではオーダーモノや高級スーツの代名詞的ディテールだったが、認知度の高まりもあって今では安価なスーツにも採用されるように。
乗馬用のネクタイから派生した蝶タイの総称。自分で手結びするツウタイと、あらかじめ整形された結びきりのピアネスタイの二種に分類される。
シャツの衿の名称の一つで、衿先をボタンで留めたシャツ衿の総称。英国のポロ競技が発祥といわれる。アメカジブームの立役者的存在。
ジャケットの一番上に付けられたボタン&ボタンホールがある位置まで、ラペルが折り返されている仕様のこと。トラッドなジャケットに多く見られる、服好きお馴染みのディテールだ。
シャツの衿の名称の一つで、衿の剣先を丸くかたどった、柔和な印象の衿。中でも小丸にカットしたものを”ラウンド・トップ”という。
ジャケットの衿の部分。
ネクタイの小剣を通すための輪状の細帯。”小剣通し”とも呼ばれ、ブランドネームが入ることが多い。
シャツの衿の名称の一つで、一般的なワイシャツの衿。長さや開きが極端でないものの総称。その基準は時代や流行により多少変化する。
ネクタイの柄の一つで、発祥は16世紀の英国。レジメンタル=連隊と訳されるように、英国軍帯の各連隊に伝わる旗の柄を採用したのが始まり。一般的に柄が右上から左下に流れるものを指し、その逆向きは「クラブストライプ」と呼ばれる米国の学校やクラブが採用した柄。右肩上がりの斜めが英、その逆が米国式なのだ。
ネクタイ地の一種。角度の際立った細畝を特徴とするハリのあるシルク地のこと、アメトラを象徴するレジメンタルストライプを配したものが一般的で、アメリカントラディショナルを語る上で欠かせない素材と言える。
織り方はオックスフォードと同じだが、粗野感を抑えてドレッシーさをアップさせたオックスフォード生地。細番手の糸を高密度で織ることで美しさとツヤを備え、近年イタリアのシャツメーカーが多用している。
「誰でも知ってるしわざわざ解説要らないよ!」と思われるでしょうが、じつはこれ和製英語。「ホワイトシャツ」の発音が訛ってYシャツになったというのが通説。今となっては一般名詞として定着しているが、当然海外では通用しないのでお買い物時は気をつけよう。
シャツの衿の名称の一つで、広角の開き衿。一般的に100~120度前後の開き幅の衿を指す。俗に”ウィンザー・カラー”と呼ばれる。