モノ知り用語集
スニーカーが浸透した今でも、フォーマルシーンにおける絶対的存在であり続ける革靴。道具と割り切って無頓着に履くのも間違いではないけれど、せっかく日々履くものなのだから、その詳細をキチっと知ってみませんか?
靴ひもを通す穴のこと。アイレットの数が多いほどドレッシーに見える。短靴の場合、5アイレットが主流だが、6アイレットにするとグッと洗練された表情に変わる。
トウの切り替えが翼の形をしたウィングチップ。ストレートチップに次いでフォーマル。
靴のヒモを留めているハトメが、甲と繋がっている仕様。外羽根よりもフォーマルなシーンに向く。
“可能な限りの上質”を掲げ、世界でも圧倒的な人気を誇る。全ての靴の手本となったとま で言われる名木型「202」の生みの親。
ミリタリーブーツの生産で成長し、100%英国性を貫く知られざる名門。老舗ながら靴作りは柔軟で、ラバーソールのモデルが主軸だ。
ボローニャに工房をもつ1962創業の「エンツォ・ボナフェ」。前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世も愛した、高い技術力を持つ名門。
「トリッカーズといえば」「カントリーといえば」な、オレンジがかった薄茶色のレザー。元々は農業用に作られた色合いで、しっかりとクロムなめしが施されているため、高い撥水性を備える。デニムのブルーとのコントラストがたまらんのよ~(笑)。
カントリー系や、その流れを汲む米国ドレス系に多い、出し縫いがコバを全周する製法。無骨だが、安定した歩行性が得られる。
甲をまたぐサドルベルトに開いた穴のこと。穴の形は、カモメが翼を広げたような「ウェイビー」や半月形の「ハーフムーン」などがある。
ビスポーク靴のディテールを既製靴に取り入れ、圧倒的なクオリティを実現する新鋭。創業者の一人は、名門で活躍した靴デザイナー。
自社のみならず有名ブランドの靴を生産するなど同業からの信頼も厚い。世界一多くの木型を所有し、日本人向けのラストも存在する。
“時代が求めるグッドイヤーウェルテッド靴”を標榜。将校の正装用として過去にジョージブーツが採用され、今なお官公靴を手掛ける。
自社の他に有力ブランドやショップのオリジナルも生産し、多くの木型を持つ名門のひとつ。士官靴を多く手掛けていることでも有名。
ビスポーク靴作りの名門として確固たる地位を築き、1982年から既製靴をスタート。技術の高さは当然、素材も最高級品を使用する。
比較的若いメーカーながらグッドイヤーウェルテッド製法の品質は一級。日本で厚底のブーツが人気を博すなど流行に敏感な側面も。
一文字飾りがあるもっともフォーマルなトウ。
フィレンツェ近郊にて1912年創業の「ストール・マンテラッシ」。日本では1990年代の「クラシコ・イタリア」ブームの際、スクエアトウで一世を風靡した名門。
靴のヒモを留めているハトメが、甲の外側から包むようになっている仕様。主としてカントリー系やミリタリー系に採用される。
房飾りのこと。もともと宮廷内などではルームシューズにあしらわれていた。現在ではさまざまなデザインの靴に採用されている。
左右同じ形で作られていた靴を初めて左右非対称に設計し、ハーフサイズを取り入れた老舗。『007』のボンドが愛用したのも有名だ。
英国王室御用達の最古参のシューファクトリー。狩猟などで使われる堅牢なダブルソールを備えたブローグシューズがお馴染みだ。
数タイプあるバックステイの補強のうち、最も品よく見えるのが、履き口近くで切り替えを横に逃がして処理するドッグテールだ。
日本での知名度は低いが、国際市場では超有名な大手メーカー。安定した質の靴を安定して供給するため、工場も大規模に構える。
平行に並ぶように紐を通すこと。英国のドレス系では、パラレル結びが正統。
プロスケーターであり、長年「シュプリーム」のアンバサダーを務めたジェイソン・ディルがG.H.バスの「白黒コンビローファー」を履き、SNSなどを通じて若者にも大ブレイク!アメトラの名作をストリートファッションにも浸透させた。
馬の口に噛ませる馬銜(はみ) のこと。これを模した金具をあしらったビットローファーは、元馬具商のグッチのものが起源。
サドルベルトの両サイドに見られるディテール。タコ糸でぐるぐる巻いた、牛肉のかたまりに見えることからこの名前に。
コバの出し縫いが内側のウエスト→トウ→外側のウエストまで施された製法。ヒール回りに張り出しがないため、繊細な印象に見せられる。
トウに飾りのないプレーントウ。内羽根だとフォーマルだが、外羽根はややカジュアル。
上品ながらリラックス感もある、とお洒落巧者から高い人気を誇る柔らかいスリッポン。元々はニューヨーク5番街にあった高級百貨店「ヘンリベンデル」の創設者ヘンリ氏が、ベルギーの靴職人と一緒に作り上げたことから「ベルジャン」という名が冠されたという。じつはNY生まれの靴。
90年代のジョンロブからリリースされた「マッタ」(ラストは「8695」)。その後、ラストを「7000」というややシャープなラストに乗せ換えて生まれたのが「マッタ Ⅱ」。ただでさえ品のあるマッタをさらにドレッシーにしたのがマッタ Ⅱなのだ。
ネイティブアメリカンの靴、モカシンに由来するローファーの縫製法。底から足を包み込む革と甲革を縫い合わせたU字状ステッチのこと。
甲にU字形の切り替え、ステッチが施されたもの。
18世紀の帝政ロシアが西欧諸国に輸出していた高級革。ロシア革命前後にレシピが消失し幻となったが、英国の名門タンナー「J.&F.J.ベイカー社」が再現し、現在市場に極わずか流通している。
正確な作業は当然、そのスピードも重視し、週に約6000足を生産していた時代も。英国人も納得の抑えられた価格も魅力の一端だ。
昔、米学生の間でローファーの飾り窓に硬貨を差すのが流行。1セントの通称はペニーのため、ペニーローファーやコインローファーという名称が生まれた。