モノ知り用語集
はじまりは一攫千金を夢見るゴールドハンターの作業着、今では大枚はたける憧れそのもの。歴史、仕様、経年変化。あまりに奥深くて踏み入れ難いその世界も学んだ途端、ロマンに思わずキュンとしちゃいます……‼︎
シームとは、直訳すれば縫い目のことで、アウトシームとは、その外側のこと。ウエストから裾まで、脚の両サイドにある縦の縫い合わせ部分。はき込んでいくと、この部分に段々のアタリが出てきて、ジーンズの表情をつくる。自然なアタリがつき、立体感が感じられるアウトシームほど、評価が高い。
正しくはブランドタブと言い、ヒップポケットの横などに縫い込んであることが多い。 ブランド名やマークをプリントしたり、刺繍した小さな布で、1936年にリーバイスが、他のメーカーと区別するために発案したのが始まり。リーバイスのブランドタブが通常赤い(ヨーロピアンタイプのシルバータブ等、他の色もある)ため、一般的に赤タブと呼ばれている。リーやリーバイス、ラングラーなど、このブランドタブの文字、デザイン色の違いで、作られた年代がわかる。
これがヴィンテージの意匠とされるのは、デニムの供給メーカーのコーンミルズ社が、かつてリーバイス向けの専用デニムに赤いステッチを入れていたからと言われる。
摩擦でできるジーンズの表面の白っぽい色あせ。きれいに色落ちしていることを、アタリがいいと言う。一般的にアタリといえば、アウトシームのアタリを指す。
1平方ヤード(約0・84㎡)の生地の重さを表した単位のこと。一般的なジーンズには10〜14オンス程度。1オンス=約28・3g。
布の厚さを示す単位。オンスは約28gで、布の場合当たりの重さで表示する。 通常ジーンズなら14オンス、厚手ジーンズで55オンス、デニムシャツなら10オンスになっている。ただしジーンズのオンス表示はウォッシュ前のもの。激しくウォッシュをかければかけるほど布が縮むため、厚くなっていく。
馬の鞍や、クルマのシートを傷つけないため、バックポケットのリベットは布の中にかくれている。表から見るとリベットがないのに、裏を見るとちゃんとある。
ジーンズでは、フロントの明き止まりによく使われる縫い方で、太い糸を渡した上から一針ずつ刺抜きして止める方法。ほころびにくく丈夫に止まる。
右前のポケットロ下についている小さなポケット。もともとは懐中時計を入れていたが、懐中時計の衰退とともにコインを入れるようになり、こう呼ばれるようになった。
ジーンズ表の右ポケットの上に付いた小さなポケット。元々は懐中時計を入れるためだったが、第2次世界大戦後に腕時計が主流になると、次第に小銭を入れる「コインポケット」となった。スティーブ・ジョブズが、愛用するLevi's501のコインポケットからiPod nanoを取り出したプレゼンはあまりにも有名。
岡山県倉敷市児島産のデニムのこと。児島は国産ジーンズを日本で初めて作った地として知られ、その品質は世界からの評価も高い。
アメリカで考えられた防縮加工。原反を凸や凹のドラムの上を通しながら蒸気を吹きつけ、あらかじめ縮ませておいてから服を作る。防縮加工をしていないデニムは、洗うと10%近く縮むが(レングス34インチで、約9㎝)、加工をしていれば縮みは1%以内になる。 防縮加工のしてあるものは、ジャストサイズが買える。
よこ糸を内蔵したシャトル(カヌーのような形の道具)を使い、たて糸の間を左右交互に打ち込んで製織する旧式の織機。生産効率は悪いが、ヴィンテージデニムのような風合いを表現できる。
直訳すれば、縮んで体にフィットする。つまり防縮加工をしていないということ。洗うと縦に約10%(レングス約3インチ、ウエスト約1インチ) 縮むことを頭に入れて大きめサイズを買い、一度洗って縮めてから裾上げするとよい。復刻版やショップオリジナルのジーンズに多いから要確認。
読んで字のごとく、洗い職人が直に製品を穿き、タライの中に入ってゴシゴシと水でこすり洗いするという作業。穿き込んで現れるアタリをよりリアルに再現すべく編み出された。ちなみに、1本あたりに費やされる時間は約7分。
ボタンフライの大きな欠点は、メンドウなこと。そこでやはりジッパーも登場。ちなみにリーバイス501はすべてボタンフライ、501のボタンをジッパーにしたものが502だ。決して501のジッパーをくださいなどと言わぬこと。
71年リーバイスが会社を登記した頃から出てきたスモールe。ただし501の66モデルのみは'60年代からスモールがついている。また、'71年に同時に切り替えたのではなく、残っていたビッグEのタブも使っていたので、年代の限定をすることはできない。切り換え年代については、いくつかの説がある。
生地のはしにくる耳のこと。昔の力織機は68㎝幅の布しか織ることができなかったため、脇に耳がくるように裁断した(現在は153㎝幅のデニムから、効率よくパーツを切るため耳は使わない)。リーバイス501の耳には赤い糸が渡っているため「赤耳」とも言う。何年穿いてもまつり糸がすり切れてほつれてくる心配がないことも、セルビッチつきのメリット。
ブルーデニムは縦糸に紺糸、横糸に細めの生成糸を使っている。この表面に多く出ている縦糸の凸部分が摩擦で白く退色していき、約3㎝くらいの白い縦線ができる。この白い線を、たて落ちと言う。デニムを織っている綿糸の太さが均一でないもの(ムラ糸デニムと呼ばれる)ほど、たて落ちしやすい。
風合いを大切にしたいなら、機械打ちでなく、手打ちのリベットを特徴は打ち込むとき、布がいっしにめり込むため、オスとメスのパーツの間からテニムがのぞく。
テーパーとは先細のという意味で、 太ももから裾に細くなっていくシルエット。かつてはスリムのことをテーパードと呼んでいた時代もある。現在は細くなっていくカーブそのものをテーパードと呼ぶ。
フロントについているボタン。ドットボタンは、ジーンズの顔的存在で、各メーカーともデザインには凝っている。 素材はニッケルが多いが、他にカパー(銅)、ブラス(真鍮)、アルミ、亜鉛ダイキャストなど。 シルバーのドットボタンは布にやさしいから、ボタンの開閉をくり返しても、ボタンホールが傷つきにくい。さらにボタンホールで磨かれ、シルバーボタンがピカピカに光ってくるというメリットもあり最高級。製造会社の大手は、アメリカのスコービル社。
中央がくぼんだドーナツ状のボタン。現在のドットボタンは、オスとメスに分かれていて布の裏か差し込むようになっている。しかし'40年代まではその技術がなく、2本足のボタンを上からたたいて布にうめ込んで、その足をつぶすことでつけていた。この足を円周の溝にはめるために、ボタンはドーナツ状になる。その証拠にボタンはくるくる回る。
ファイブポケット、リベット、革パッチと並んで、ジーンズのデザイン上の特徴が、全体にダブルステッチがかかっていること。かつては通常の一本針ミシンで2回ずつステッチをかけていたが、70年代頃からの大量生産で、横に針が2本並んだミシンで一度にダブルステッチがかかるようになった。オーバーオールなど、ヘビーな使用に耐えるよう作られているジーンズは、さらに一本多い3本針ステッチがかけられている。 2本針ステッチより1本ずつかけられたほうが丈夫。
ヒップにある2つのポケット。バックポケットのステッチは、各メーカー特徴があり、デザイナーの腕の見せどころになる。ジーンズをはきこなすなら、基本として主なメーカーのバックステッチのデザインは覚えておきたい。映画『理由なき反抗』や『ジャイアンツ』で後ろ姿のジェームス・ディーンを見たとき、リーをはいているとピンと来ればしめたもの。バックポケットは、脇側が斜めに上がるようついていればヒップアップして見える。また、大きいポケットほど大きなヒップに見える。
パイプのように、上から下までまっすぐなストレートなシルエットのデニム。
右後ろのウエスト部分につくラベル。カウボーイは、ベルトにナイフを差し込むため生地がすり切れやすい。それを防ぐためと、ベルトと革パッチでナイフがこすられ自然に研ぐという研ぎ革の役目も果たす。だから本来ベルトはパッチの上にする。決してパッチの下を通してはいけないのだ。今では紙や合革製のパッチが多い。
馬に乗ると、どうしても腰の後ろにあそびができてしまう。そのあそびを締めて、フィットさせるのが尾錠。しかし乗り物が馬から車に変わると、当時高級だった車の革のシートを傷つけるという理由から、尾錠も姿を消していった。バックのデザインとしてもアクセントになる。
現在リーバイスのブランド・タブについている文字はLeVISだが、古いものはLEVISとEの文字が大文字になっている。このeとEの差を取って、ビッグE、スモールeと言う。ただし復刻版タイプのジーンズには今でもビッグEがついている。ビッグEがついているのは、60年代501を復刻した501XX (501よりややルーズ)、60年代初期501Zを復刻した502XX、50年代ヴィンテージ・モデルを復刻させた503BXX(503とは違いやや太めストレート)の3型。
ジーンズの基本デザインは、前に2つのLポケットと右前に細長いコインポケット、後ろに2つのバックポケットと計5つポケットがある。広義では、ジーンズのことをファイブ・ポケットとも言う。
比翼仕立てとも言い、フロント部分。表からボタン穴やボタンが見えないように、合わせのボタン留め部分が2重合わせになっているもの。フロント部分がすっきりする。試着したとき、サイズが自分に合っていない(小さすぎる)と、フライが開いてしまうので要チェック。
ジーンズについている紙のラベル。パックポケットに、折り込むようにしてつけられている。他の商品と違ってパッケージがないジーンズに、パッケージの代わりとしてつけた。 フラッシャーを集めているコレクターもいる。ヴィンテージジーンズでは、このフラッシャーがついていることが重大ポイントで、取ってしまうと単なる古着になってしまう。もしも後でヴィンテージとして売る気があるなら、フラッシャーは禁触。 フラッシャーをよく読むと、加工方法や品質保証など、さまざまな情報が書き込まれている。
ウエスタンブーツをはいたとき、裾のシルエットがきれいに出るよう、裾をわずかに広げたジーンズ。
1950年代頃のデニムに採用されていた仕様であり、堅牢度の低い綿糸を使っていた時代に、糸の切れを防ぐために生み出されたもの。また膨らみにより中央部がキレイに色落ちするという効果も得られる。
リーバイス独自の防縮加工の呼び方で、サンフォライズド加工のこと。シュリンク・トゥ・フィットに対してつけられた。リーバイスのジーンズは501オリジナル以外すべて、プリシュランクになっているのでジャストサイズで買える。据上げも、一度洗ってからでなく、その場でできる。また、洗ううちにジーンズが斜めにねじれてくることもない。伸縮性は縦横ともに1%(レングス34インチで約1センチ)以内になる。
ヒップからひざまではスリムで、ひざから裾にかけて広がったジーンズ。 中でも裾が極端に広がったものはエレファント・ベルと呼ぶ。ブーツカットとベルボトムを総称してフレアパンツと言う。
リー・ライダースのスレッド・リベット バータックをクロスさせX字に縫製したもの。X字がきれいに出ているものは少ないのでよく見て選びたい。
正式にはパータックという丈夫な縫製方法。これをリベット部に縫他に円形のものなど、縫製リベッうことで、縫製リベットにした。他に円形のものなど、縫製リベットにはさまざまな形がある。
開拓時代の労働者として作られたジーンズは、いつまではいてもこわれないがモットー。 そこでフロントには、こわれやすいジッパーでなく、ボタンを使った。だから本来の丈夫なジーンズにこだわるなら、フライは絶対ボタンにすべし。
1873年に、リーバイ・ストラウス社がポケットの補強に金属リベットを使うことを考え出してから、リベットはジーンズの必需品になった。リーバイスはこれで特許を申請し、1873年5月20日に認可された。そのため金属ではなく、縫製のリベットを採用しているメーカーもある。金属リベットの代表素材はカバー(銅)、ブラス(真鍮)、ニッケル。オスとメスのパーツを、機械で生地の表と裏から打ち込んでつける。
丈のことで、ジーンズのレングスは股下から裾までの長さ。インチ表示が多く1インチは2・5㎝になる。外国と異なり日本では、レングスは1つ(35か36が多い)で、自分の長さに合わせて切るのが常識。シルエットにこだわるなら、並行輸入で自分のレングスサイズを買おう。
脇を縫い合わせた縫い代を、左右に割ってあるもの。こうすることで、脇もゴロゴロしないし、アウトシームのアタリも、左右同じように出てくる。よいアタリを得ようと思えば、裏を返して、脇割り縫いのものを買おう。とくにロールアップしてはくなら脇割り縫いは絶対だ。
平たいところに置いたときの、もも部分の太さをわたりと言う。わたりの太さは、シルエットを決めるうえで重要なポイントになる。 必ず太さを確認したい。またフィットを見るときのポイントにもなるので、とくにももの太いひとは試着のときにかがんでチェックしよう。