どこよりも詳しい!「パタゴニア」2024年春夏展示会【潜入レポ】
テクノロジーとサステナブルの最前線が融合した、パタゴニアの最新プロダクトが一挙に拝める展示会に、ビギンスタッフ屈指のパタゴニア信者たちが潜入! 傑作が目白押しのなか、モノ好きが絶対に見逃せないトピックだけを抽出してお届けします!
TOPICK①
スタイル・チョイス
アウトドア界の今を知る最重要イベントといっても過言ではない同社の展示会。案の定取れ高の宝庫でしたが、まずお伝えしたいのは“スタイル・チョイス”という試みです。
「今季は“スタイル・チョイス”という名前の通り、主にパタゴニアが定番として位置付けている製品に、コンセプトが異なる複数のスタイルを設けています。そうすることで用途が広がり、あらゆるお客様に語りかけることができるのではないかと思っています」。小林さんはそう教えてくれましたが、それってひとつの製品に見た目が異なるデザインが用意されてるってこと⁉
「キーワードは3つ。ビビッドな色使いが特徴の“アウトドア”、モノトーンを基調とした“ファンクショナル”、暖色系カラーが魅力の“スピリテッド”。ご覧の通り同じ製品でも雰囲気がガラッと異なるので、より嗜好に合ったデザインを選んでいただけるはずです」
胸アツ必至なのは、“アウトドア”には創業初期に使われていた〝デカロゴ〟を、“ファンクショナル”にはベーシックな〝P6ロゴ〟を、“スピリテッド”には初期ロゴベースの〝暖色系ロゴ〟と、各コンセプトごとに異なるロゴが採用されてるってこと! クロサワも「特別なロゴが鎮座してるだけで反射的に買っちゃいそう!」なんて、製品を羽織りながらコーフンしていますが、そこには深~い意味合いが。
「製品の耐久性を高めたり、購入後のリペア体制を整えたり、環境に配慮した素材を使ったりするのと同じくらい、思い入れが深いデザインを選んでいただくということも、ひとつの製品を長く愛用してもらうことに繋がるはず。スタイル・チョイスはその理念のもと考案された、新しい取り組みなのです」
実用的なファンクションを備えたギアでアウトドアを思い切り楽しもう!という、パタゴニアの激アツスピリットに触れたい方はレッツ・チョイス!
TOPICK②
マルチ・タスク・シェル
ほしい衝動に駆られて即決せず、本当に必要なのか一度自分の胸に聞いてから購入してほしい。これは地球の環境を第一に考えるパタゴニアが一貫して訴え続けているメッセージです。そしてある意味その熱〜い想い
が形になったのが、この“マルチ・タスク”という理念のもとに開発された新作、“ボルダー・フォーク・レイン・ジャケット”。野口さんは言います。
「ひとつの製品をできるだけ長く使ってほしい。そう考えるとできるだけ多くの用途で使える、つまり“マルチ・タスク”な製品を作る必要がありました。それを象徴するモデルのひとつが今作。実はこれ“アルパイン”
と“フィッシング”の双方のカテゴリーで展開されているんです」。えっ! 登山と釣りの両方で使えるなんて、ちょっとマルチすぎじゃありませんか⁉
「水辺でも使えるよう、防水&防錆性を考慮してPUコーティングしたセンタージッパーを採用していたり、釣り糸などが引っかからないよう、袖口に通常より小ぶりなベルクロが備えられていたり、マルチなフィールドで活躍するように緻密に設計されています」
普通ならなるべく多くの製品を購入してほしいはずなのに、“多用途で長く使える一着を吟味して!”と、消費サイクルのスロー化を訴えるブランドなんて実に尊いじゃありませんか! “マルチ・タスク”を担う製品は、パタゴニアのブレない哲学の象徴。今作が新型なのにスタイル・チョイスが実施されていることから、今後軸に成り得る製品として期待値が高いことがわかります。
正直スペックはもちろん、デザインも汎用性が高そうでめちゃめちゃほしい……けど購入する前に一度本当に必要かどうかを胸に問うべし!
TOPICK③
ウォーター・ピープル
「今年の夏のスタメンはこれ!」と、熱い時期に週7でショーツ生活をおくるセキグチが飛びついたのが、この“ウォーター・ピープル”という新コレクションの逸品。これはサーフ
ィンとクライミングを隔てなく愛してきた、同社の歴史や文化を称えて考案されたものなんですが、特筆すべきはこの特別なロゴ!
実はこれ、前身ともいえる「シュイナード・イクイップメント社」時代に使われていた、通称“ダイヤモンドC”と呼ばれるロゴをオマージュしたもの。アイコニックな菱形マークの中にCではなく、Pの字が配されたレアロゴは、わかる人にだけわかる印籠効果あり。ただ採用されているのは、水辺でも陸上でも使える製品。つまりこのロゴは、あらゆるレジャーに利くアイテムの目印でもあるってわけ。
パタゴニアはすでにショーツが大充実してるのに……こりゃまた悩みの種が増えましたな。
TOPICK④
進化系ベーシックパンツ
登山やハイキングに適したギアが揃う“ハイク”カテゴリーは、実は普段使い向きの隠れ名品がゴロゴロ転がっている穴場。なかでも「これはかなりオススメです!」と、小林さ
んの熱量が上がったのが、同カテゴリーの代表作、〝クアンダリー・パンツ”です。でもなぜ改めて定番を推すの?
「実は今季いくつか仕様変更が加えられているんです。まずロールアップした裾を留められるようにコードとボタンを備えているのがひとつ。そして意義深い変化は、ポケット内側に共布が付属していること。これは長く穿いて穴があいてしまった際、切って補修できるように備えられたもの。地味かもしれませんが、“一着を長く”という理念を象徴する改良点だと思います」
ここまで製品の長寿化が徹底されているのはあっぱれ! 新作パンツにすぐ飛びつくのではなく、長~く愛せる進化する定番を試してみてください!
TOPICK⑤
〇〇way・パック
今季の展示会のなかで、映えある(ビギン的)ベストネーミング賞を受賞したのがこちらのバッグ! 「ユーザーと地球の双方にウィンウィンなことから名付けられました」と牧
野さんはいいますが、一体どゆこと!?
「今作はロッククライミング時に使うロープを収納するためのバッグなのですが、最大の特徴はガバッと広げられるシートが内蔵されていること。これは岩山にアタックする際、専用の靴に履き替える時に、底に汚れが付かないように使用するものなのですが、使い方は自由。レジャーシート感覚で普段使いしてもいいので、ユーザーにとってウィンではないかなと思います」
なるほど、何通りにも使える〝◯◯way・パック”ってことか! サーファーのマスイも、「ウェットスーツから服に着替えるときなんかも使えそう!」とベタ惚れ。「次に地球にとってのウィンなのですが、実はこれ今作も属するブラックホール・コレクション製品の残反が使われているんです」
本来廃棄される素材を有益な製品に再利用してるなんて、たしかにそれはウィンウィン! 「ちなみに同コレクションは数年前から段階的に、より環境に配慮した素材&加工へと切り替えている最中。今季はダッフルバッグも、この新たなリサイクルTPU加工が施された素材に切り替わり、従来はなかったビビッドな新色も仲間入りしてい
ます」
アラスカやヒマラヤをはじめ、極地を探検するカメラマン・マツシマも、「これなら過酷なフィールドでも目立ってくれそう!」と心酔。こりゃ今後の進化にも期待大です!
問い合わせ先/パタゴニア日本支社 カスタマーサービス☎0800-8887-447 パタゴニア 公式ホームページ
写真/松島星太 文/黒澤正人 編集/増井友則(Begin)