100年の時をかけたファブリック[麻布テーラー編]
ウワサの服 希少予報[素材がヤバい!? 絶滅危惧服]
技術が発達しても、大金を手にしてもいつまでだって同じ服が手に入るとは限りません。いにしえの技法を情熱で現代に蘇らせ、古き良き素材を再現――等々。でも、その手法を何度も繰り返せるかと言えば、不透明なのだ。
サヴィル・ロウの古き良きが手に入るチャンス
100年以上前と同じ製法で作られた、贅沢な光沢をまとう生地で仕立てた本スーツ。麻布テーラーがマーリン&エヴァンスに特注し、スーツを誂えるのは上流階級の専売特許だった時代に用いられていた仕上げ加工、ロンドンシュランクが生地に施されているとか。
「ウールを湿らせて縮め安定させる過程に自然乾燥を用い、プレス工程を2回行うなど、手間暇をかけた最高峰の加工です。生地にストレスがかからず美しい艶が出ます」と、ディレクターの上月さん。
さらなる往年の美を追求するために1910年製の木製もみ洗い機まで稼働させ、ウール本来の柔らかさ、膨らみ感を引き出すことにも成功。
色柄の別注ではなく、ましてやデッドストックでもなく、100年以上前と同じ製法で産み落とされた入魂の素材。色柄は32種と、この価格とバリエ数で揃うのは間違いなく最初で最後です!
「いにしえの上流階級が愛した仕上げ加工に注力した別注です」
麻布テーラー ディレクター
上月 剛さん
(MARLING&EVANS /マーリン&エヴァンス)
azabu tailor[麻布テーラー]
マーリン&エヴァンス オーダースーツ
フランネル等の紡毛素材で知られるマーリン&エヴァンスに、かつてサヴィル・ロウの名門がオーダーしていたという梳毛生地の復刻を依頼。リッチな風合いと光沢が唯一無二だ。11万3300円~(メルボメンズウェアー)
上写真/麻布テーラーのシャツ1万6500円(オーダー価格) 同ネクタイ7150円 同チーフ1650円(メルボメンズウェアー)
1910年製の木製もみ洗い機で独特の柔らかさと風合いに
開発:1910年
生産国:イギリス
スーツ地の仕上げにあたる加工の一種で、自然乾燥に近い時間をかけ生地を乾燥させ、光沢・艶出しの工程も2回行うなど、最高峰のフィニッシング手法。柔らかさと光沢が出る。
※表示価格は税込み
[ビギン2023年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。