今しかないぞ、オレたちが拝めるのは![新日本マテリアル]北海道・東北・関東・中部編
ウワサの服 希少予報[素材がヤバい!? 絶滅危惧服]
技術が発達しても、大金を手にしてもいつまでだって同じ服が手に入るとは限りません。いにしえの技法を情熱で現代に蘇らせ、古き良き素材を再現――等々。でも、その手法を何度も繰り返せるかと言えば、不透明なのだ。
日本各地のレア&絶滅危惧マテリアルを総まとめ!
素材に注目してみても動物や植物の減少、職人不足で入手困難だったり、値段高騰中だったりなんだか世知辛い世の中……。一旦ここで、北海道・東北・関東・中部地方のレア&絶滅危惧マテリアルを総まとめ! チェックしてみな、飛ぶぞ!
[北海道]雄大な大地で育った逞しいカラダからとれるエレガントなレザー
エゾシカ
通常のシカ革と同様、吸湿性や通気性に富み、柔らかくしなやか。本州のシカに比べて体が大きいため、革面積も大きく、傷モノ個体も少なく皮革製品にし易いのだ。しかし、加工の難しさからレア素材といえよう。
[青森]綿花に恵まれない土地で寒さをしのいだ高等な生活の知恵
こぎん刺し
綿花の栽培に適さない寒冷地がゆえ、その寒さをしのぐために布の補強や補修のために麻布を糸で刺していたことから誕生した刺し子。津軽の「こぎん刺し」は菱形の紋様で有名だ。
[秋田]ウッドショックで弁当文化を支えた伝統杉が危ない!?
秋田杉
コロナ禍の影響で積み上げられた秋田杉の丸太が需要不足で行き場をなくした。通称「ウッドショック」。天然秋田杉による美しい木目と優れた耐久性を誇る伝統的な曲げわっぱが、レアになる日はそう遠くない。
[宮城]フカヒレのもとはレザーにおいても一級品だった!?
ヨシキリザメ
サメ革のなかでも特に最高品質と謳われるのが、フカヒレの材料でお馴染みのヨシキリザメ。サメ革に共通した優れた堅牢性や防滴性はもちろん、ココのヨシキリザメは斑点模様のないキレイな表面としなやかさがウリだ。
[栃木]革好きもうならせる繊維深くまでなめされたヌメ革のタンナー
栃木レザー
国産のヌメ革(フルベジタブルタンニンレザー)で最も著名なタンナーがコチラ。オークなどの樹皮から抽出したタンニンの溶剤に満たされた槽に原皮を長期間浸して深くなめす、ピットなめしを堅持している。
[新潟]勾玉にも使われた古来の日本より伝わるパワーストーン
翡翠
古くは勾玉をはじめ、多くの歴史的宝飾品に採用された翡翠。海洋プレートが大陸プレートに沈み込むフォッサマグナに位置する糸魚川は、翡翠が生成されやすい環境で、古事記にもその記録が記されたことも。
[静岡]古式の織機が成すフランス製顔負けのモールスキン生地
カネタ織物
日本屈指のシャトル織機マイスターのカネタ織物。タテ糸の間をシャトルという木製パーツが、何度も往復してヨコ糸を通す古式ゆかしい機械で、低速でありながら高密度なモールスキン生地を再現する。
[愛知]あらゆるウールは愛知に通ず! 奈良時代から続く毛織物
尾州ウール
イタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールドと並ぶ世界三大毛織物産地の一つ。糸の編みから仕上げ加工まで一貫して行うことで初めて「尾州ウール」と認められる。全国の毛織物の70%を担うのがココだ。
[石川]箔打ち職人と気候に恵まれたまばゆい一枚
金箔
江戸時代の加賀藩の頃から培われた金を延ばす箔打ち技術と、日本海側特有の雨が多い気候により、現代まで金箔の一大産地に。仏具やインテリアなど、今ではアイスクリームにまで(!?)使われている。
[福井]取り扱い困難につき手に入れるなら国産メガネで!
セルロイド
1870年代に開発された元祖プラスチック。可燃性が高く切削加工に時間がかかるため、大量生産が厳しく、現在では加工しやすいアセテートに代替されることが多々。新規のセルロイドを手に入れられるのは国内のみだ。
※表示価格は税込み
[ビギン2023年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。