米国ワークの達人が選んだ本物のMADE IN 中国
ウワサの服 希少予報[生産国がヤバい!? 絶滅危惧服]
技術が発達しても、大金を手にしてもいつまでだって同じ服が手に入るとは限りません。物価高などの時勢を鑑み、生産国を移すブランドが続出。“メイド・イン・○○”のロマンを追う、ラストチャンスを見逃すべからず!
MADE IN CHINA
大量生産とは対極の繊細な手仕事を見よ!
ポストオーバーオールズのデザイナー、大淵さんは米国ワークの達人として知られますが、じつはフレンチチャイナと呼ばれる服も好物です。
フレンチチャイナとは、「戦前にフランスなど地中海沿岸へ移り住んだ中国系の人々が着ていた、インディゴ染めの作業着」。チャイナ服同様、フロントは丸めたトグルで留めるのが特徴です。
ポストオーバーオールズではここに、フレンチワークの意匠を加えるなどしてアレンジしたモデルを展開。生産先として辿り着いたのは、他ならぬ中国の工場でした。
「最初は日本で作ったのですが、やはり理想のものではなくて。中国でも今やチャイナトグルを手作業で作れる工場は少なく、知人づてにやっとみつけた上海の工場にお願いしました。古いフレンチチャイナも皆そうですが、トグルやループがとても細い。他の部分のステッチもじつに繊細なんです」。
ポストオーバーオールズがわざわざ日本から生地を送り、中国でフレンチチャイナを生産するのは、美しいものを追求するから。まさに絶滅危惧に瀕した、秘伝の手仕事を頼ればこそ!というわけです。
「秘伝のトグルを求めたら上海に辿り着きました」
ポストオーバーオールズ デザイナー
大淵 毅さん
ポストオーバーオールズってこんなブランド
古着のディーラーをしていた大淵 毅氏によって、1993年にスタート。NYを拠点に活動し、ヴィンテージワークウェアへの深い知見を活かした、メイド・イン・USAの服を作り続けてきた。2018年に、東京へ拠点を移行。現在は日本の優れた素材を用いたメイド・イン・ジャパンの服を軸にコレクションを展開する。2022年に中目黒へショップをオープン。
POST O’ALLS[ポストオーバーオールズ]
チャイナジャケット
フレンチワークに見られるポケット意匠や、エンジニアジャケット風の衿のないデザインをドッキング。オリエンタルな雰囲気でありながら合わせやすい顔に仕上げた、大淵さん流のフレンチチャイナだ。こちらはシワ加工のナイロン&シンサレート中綿を用いた新作。マンネリ打破に一着いかが? 5万2800円。
細い帯を手作業で丸め留めた繊細なチャイナトグル
※表示価格は税込み
[ビギン2023年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。