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秋の夜長はしっぽり、ウイスキーを傾けたいところですが、近頃は国産ウイスキーまで価格が高騰……。そこで注目したいのが、同じ蒸留酒でもラム酒です。ラムコンシェルジュの浅沼さん、近頃ラムがきてますよね!?

世界一種類が多く手頃でいて奥深い
― 談・LUG 幡ヶ谷 バーテンダー 浅沼 亨さん

近年、国産ウイスキーは価格高騰で手が出しづらい。
そこで今、蒸留酒「ラム」のプチブームが到来!?

たしかにラムは盛り上がってきています。数年前からラムのカクテル、モヒートがメジャーになりましたしね。ただ、まだまだ未開拓なジャンルで、なおかつとてもディープなお酒。男性やモノ好きの方にはピッタリだと思います。

じつは私もラムの未開拓な部分に惹かれて、ラムコンシェルジュになりました。ワイン、ウイスキーに比べるとラムの認知度はまだまだ。とくに日本ではこれからのお酒です。

知ってますか? 世界で一番銘柄、種類が多いお酒はラムです。約4万種以上ともいわれていて、ほかのお酒より群を抜いて多い。種類が多いと楽しみ方、飲み方もいろいろで、文化的にもとても奥深いんです。

ラムは大きく3つに分類できます。1つはスペイン系。さっぱりしていてクセがなく、多くのカクテルベースにも使われる。メジャーなハバナクラブやバカルディもスペイン系です。

2つ目は英国系。ウイスキーの蒸留法が応用されていて、味もウイスキーに似てくる。骨太で飲み応えがありますね。

3つ目はフランス系。ブランデーの蒸留法で造られ、アグリコールラムと呼ばれます。前の2つのラムは製糖に発生する糖蜜が原料ですが、アグリコールはサトウキビを搾ったジュースを直接発酵させる製法。瑞々しさが段違いで、個性が出やすく、個人的には一番エッジィなラムだと思っています。

またラムは、歴史や文化的な側面もおもしろい。例えばふらふらになった状態をグロッキーっていいますよね? 昔、英海軍にグロッグというあだ名の提督がいました。彼は船員が効率よく酔える、アルコールの強いラムの水割りを配給。船員はこれをグロッグと呼び、グロッグを飲んでふらふら酩酊した状態を、グロッキーといった。これがボクシング用語になり、一般にも広まったんですよ。

ウイスキーと比べると非常にお手頃で、飲み方をアレンジしやすいのもラムの特徴。ソーダで割ったラムハイボールもおいしいし、英国系のラムを使えば、より本格的な味わいが楽しめます。焼酎ではなく、ラムで作るレモンサワーもオススメ。ラムの苦みと甘みが、レモンの酸味と調和して相性がいい。女性ウケもいいですよ。

あと家庭で簡単にできるのが、カルダモンなどのスパイスを漬け込むこと。ボトルに入れて、1週間ほどしたら取り出すだけで、グッと大人っぽい味になる。これをレモンサワーにすると格別です。

ラムは大航海時代に始まり、製造方法の改良や樽熟成など、さまざまな形で進化を遂げました。今ではウイスキーにひけをとらない、香り高い上質なラムもあります。私が働くラグ幡ヶ谷では、約200種類のラムを用意してますので、ぜひお店にも遊びにきてください。

 

スパイスを漬け込んだラムで作るレモンサワーは格別!

ラムはスパイスと非常に相性がいい。ハバナクラブなどのホワイトラムに、カルダモンやシナモンのホールスパイスをラムボトルへ。漬けすぎると、苦みが出るので、1週間ほどしたら取り出すのが◎。
 

LUG 幡ヶ谷 バーテンダー
浅沼 亨さん

ラム酒から見える文化的な側面に魅力を感じ、バーテンダーに。ラムコンシェルジュ、マルティニークAOCアンバサダー。二子玉川で月一営業の、「日曜日のラム酒バー」も好評。

ラム酒を楽しむならココ

LUG 幡ヶ谷
激レアラムからカクテル、フルーツ漬けなど、多種多様なラムが味わえる。食事も人気。
住所.東京都渋谷区幡ヶ谷2-19-1
☎ 03-6300-4616 
営業時間:モーニング8:00~11:00 ランチ11:00~15:00 カフェ15:00~18:00
ディナー・バー18:00~翌2:00(ディナーラストオーダー23:00。日曜のみ23:00閉店)
定休日:月曜

 
※表示価格は税抜き


[ビギン2019年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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