福島に日本の繊細過ぎるモノづくりを支える「ゴッドハンド」がいた!!
ウワサの服 希少予報[職人がヤバい!? 絶滅危惧服]
技術が発達しても、大金を手にしてもいつまでだって同じ服が手に入るとは限りません。モノ作りにおいて最も大切なのは、職人の技。 だが少子高齢化の日本では、職人が年々減少。 優れた技術を守るためにも買い支えるべし!
国産&手頃プライス、なのに高見え~!なアウターの秘密を現地取材
“サンレディ”に行ってきました!
1965年に創業した福島の縫製工場サンレディ。レディースの重衣料を主に手掛けているが、一部「ユナイテッド トウキョウ」のコートやブルゾンも仕立てている。今回は縁あって編集部カザマが現地を訪ねました。
お手頃価格なのに作りが丁寧なメイド・イン・ジャパンの服。そんな世界的にも評価の高い日本のモノづくりを支える凄腕の職人たちに逢いたくて、福島の縫製工場を直撃取材!
メイド・イン・ジャパンを陰で支える凄腕の二人
お手頃価格なのに作りは繊細。そんなメイド・イン・ジャパンの服ですが、はて、どんな人たちが作っているのか? ん~気になる。そこで直撃取材を敢行! 訪ねたのは福島の縫製工場「サンレディ」、ドメブラの「ユナイテッド トウキョウ」がコートやブルゾンの製作を依頼している工場です。
生産ラインの中でも重要な工程を任されている職人さんに会いたいんです~とのリクエストに応え、専務の渡辺さんが紹介してくれたのが次のお二人。デザインの印象を決定づける“衿付け”を担う田島典子さんと、製品の最終的な完成度を決める“プレス仕上げ”を担当する加藤岳洋さんです。
二人とも勤続40年前後の大ベテランだけあって、その作業は正確無比。経験に裏打ちされた勘を頼りに田島さんはミシン掛けの途中、小ハサミを使い複数の切り込みを正確な位置に入れていくし、加藤さんは生地に触れた瞬間、その特性を全把握。生地本来の質感を引き出しながら見事なアイロンワークで形を整えていきます。
しかも複雑な工程なのに、二人とも作業が速い! スピードと正確性を併せ持つ“ゴッドハンド”、後世に受け継がれることを願うばかりです。そして、お値打ちなのに高見えする日本のブランドの強みを陰で支えてほしいですね。
「家族の服のアイロン掛けも僕の役目です」。
40年“アイロン”をかけ続けるアイロンマン
前職と合わせて約40年のキャリアを誇るアイロンワークの達人。
加藤岳洋さん
「どうしたら服がきれいに見えるか。考えていたら我流になりました」
布の上を素早く自在に滑る仕上げ専用アイロン
40年近くアイロンワークに携わってきました。私の仕事は製品の出来栄えを決定づける仕上げの作業、しかも分業制で行う縫製部門と違い、プレス仕上げは一着をすべて一人で担当するので気を使います。難しいのは素材の特性を見極めること。自分なりに試行錯誤を重ねながら、40年かけて見極める力を身に付けました。
素手でいくスタイル(笑)
蒸気を吹き付け肩山を美しく成形。ちなみに肩を支える左手は素手。
「恥ずかしいからマスク有りで(照)」。
10年“えり”をつけ続けるえり神
衿付けだけで10年超のキャリア、縫製一筋40年のスペシャリスト。
田島典子さん
「この1cmがずれないよう指の感覚が頼りです」
もはや体の一部!? 使い込まれた握りバサミ
衿付けで一番気を遣うのが、衿にハサミで切り込みを入れるとき。平面的な布に丸みをつけ立体的に縫うために必要な作業なんですが、ほんの少しズレただけで全体のバランスが崩れて見えてしまうので。私は衿に複数入れる1cmの切り込みをすべて勘で入れています。長年の経験の賜物なのか、ズレることはありません。
定規なしでも分かるこの1cm!
衿をイセ込むのに必要な1cmの切れ込みを定規なしで正確に入れる。
サンレディでうまれた今季のイチオシアウター
スタンドカラーでも着られる2way
UNITED TOKYO[ユナイテッド トウキョウ]
WOOL SUPER140 2WAYトレンチブルゾン
上質なスーパー140糸を肉厚に織り上げた2重織りメルトンを生地に採用。着丈やや短めなボックスシルエットで、衿は寝かせても立てても着られる2way仕様。全3色。3万7400円(トウキョウベースお客さま相談室)
スタンドカラーでも着られる
全3色
肉厚メルトンなのに軽く柔らかく暖かい
UNITED TOKYO[ユナイテッド トウキョウ]
WOOL SUPER140 チェスターコート
生地はブルゾンと同じ。着丈やや長めでシルエットもタイト、全体的にスマートな印象。肩パッドや胸増し芯などを省き、軽く羽織れるよう仕立ててあるのも特長だ。全4色。3万7400円(トウキョウベースお客さま相談室)
軽く柔らかく暖かい肉厚メルトン
全4色
※表示価格は税込み
[ビギン2023年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。