お湯を注ぐの厳禁!? 「カップヌードル」パッケージを再現した立体メモの遊び心

ミュージアムグッズは、単なるお土産品にあらず。旅好きのグッズ愛好家・大澤夏美さんによる、掘れば掘るほど面白いグッズとアートのお土産バナシをどうぞ。
ミュージアムグッズ愛好家
大澤夏美さん
博物館経営論を軸に、旅をしながら全国の博物館を訪ねてグッズも研究。著書に『ミュージアムと生きていく』(文学通)など。最近は講演会で各地を巡り、グッズを探訪中!
インスタントラーメンも立派な食文化
食文化に触れる入口として注目したいのが、2021年度から始まった文化庁による「食文化ミュージアム」の取り組み。全国の博物館や関連施設を横断的に紹介するこの仮想ミュージアムは、日本各地の多様な食のあり方に光を当て、学ぶきっかけをつくっています。
もっとも「食文化」と聞くと、多くの人は和食や郷土料理のようなイメージを抱くかもしれません。しかし、私たちの食の経験は、そうしたものだけで構成されているわけではありません。その代表例の一つが、インスタントラーメンです。
手軽で安価、そしてどこか「ジャンク」とも言われがちな存在ですが、その誕生や普及の背景には、戦後日本の生活様式の変化や技術革新、さらにはグローバルな食文化の交流があります。こうした文脈を踏まえると、インスタントラーメンは現代の食文化を語るうえで欠かせない存在であることが見えてきます。
その魅力を体験的に伝えている施設として知られるのが「カップヌードルミュージアム 横浜」。ここでは、インスタントラーメンの歴史や開発のストーリーを学べるだけでなく、オリジナルの「カップヌードル」を作る体験を通して、楽しみながら食の創造性に触れることができます。来館者自身が「つくり手」の視点に立ってみることで、身近な食品がどのように生まれ、どのように社会に広がっていったのかを実感的に理解できる点が特徴です。
ミュージアムグッズはこうした体験の延長線上にあるもの。例えば「カップヌードル メッセージメモ」は、「カップヌードル」のパッケージを模したメモ帳で、ちょっとした一筆箋として誰かに一言添えるだけでも楽しい。そして、来館時の体験や記憶を日常に持ち帰るための「メディア」として機能している点が興味深いところです。
日々の暮らしの中で繰り返し口にしている身近で当たり前な食品もまた、時代や社会を映し出す存在であり、十分に「文化」として捉えられるもの。伝統的な料理だけでなく、インスタントラーメンのような現代的な食品も含めて捉え直すことで、私たちの食の世界はより豊かに見えてきます。そしてミュージアムやそのグッズは、その気づきをそっと日常へとつなぎ直してくれる存在なのです。
※誤ってお湯をそそがないで下さい。

五十五年と三分の食文化
メッセージを書いて組み立てるとカップヌードル形に。「伝言です」、「急ぎです」などのチェックボックス付きで、これなら忙しい人も目を通してくれるはず。25枚入り。500円。
カップヌードル[CUP NOODLE]
1971年、日清食品が世界初のカップ麺として発売。創業者の安藤百福が米国視察の際、スーパーの担当者が「チキンラーメン」を紙コップに入れてフォークで食べる光景から着想した。半世紀後の2021年には世界累計販売食数500億食を突破した。
創造力を刺激する体験型食育ミュージアム
「カップヌードルミュージアム 横浜」
世界にひとつだけのオリジナルカップヌードル作りや、チキンラーメンの手作り体験が楽しめる。
- 住所 :
- 神奈川県横浜市中区新港2-3-4
- 電話 :
- 045-345-0918
※表示価格は税込み
[ビギン2026年7月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
