【アートなお土産】フォント好き垂涎!「印刷博物館」の欧文活字ピンバッチ
ミュージアムグッズは、単なるお土産品にあらず。旅好きのグッズ愛好家・大澤夏美さんによる、掘れば掘るほど面白いグッズとアートのお土産バナシをどうぞ。

ミュージアムグッズ愛好家
大澤夏美さん
博物館経営論を軸に、旅をしながら全国の博物館を訪ねてグッズも研究。著書に『ミュージアムと生きていく』(文学通)など。最近は講演会で各地を巡り、グッズを探訪中!
ピンバッジからフォントに思いを馳せて
旅先での自分用のお土産。食べ物やマグネットがパッと思い浮かびますが、意外とピンバッジをコレクションしている方も多いのでは?
タペストリーに付けて飾ったり、お気に入りをカバンにつけて持ち歩いたり。登山が好きな方は、各地の山小屋で販売されているピンバッジを買い集めていたりしますよね。記念品としての意味合いだけでなく、精巧な作りと細やかなデザインの美しさにハマる気持ち、とてもわかります。
ミュージアムショップでは、制作コストが比較的安価な缶バッジを見かけることがかなり多いです。そんな事情もあり、ショップでピンバッジを見かけるととても嬉しい! 各ミュージアムの所蔵品がモチーフになっていたり、ミュージアムのキャラクターグッズの一環として登場していたり。個性的なものが多いのです。皆さんの旅先でのお土産コレクションにぜひ加えてほしいですね。
印刷博物館のピンバッジは、シンプルにアルファベットの「R」がモチーフ。こちらは、印刷博物館が所蔵している欧文活字のうち、特徴的ないくつかのフォントがピンバッジになっているというもの。「ノイランド」「サファイア」「アルバータス」など、「一文字だけでこんなにかわいい!」と手に取りたくなる個性的なフォントにうっとりしちゃいます。
なかでも私は「ヘルベチカ」がやっぱり欲しい! 欧文のフォントとして定番中の定番。スッキリとした読みやすい形で、どんな時代のデザインにもマッチする普遍性をもちます。空港や駅など公共性の高い場所で使用されることもあり、何気なく見かけている方も多いのではないでしょうか。
その意味で、まるでインフラのように私たちの生活を支えているフォントだなあなんて、ヘルベチカを見たり使ったりするたびに感心してしまうのです。
デザインをお仕事にされている方だけでなく、日頃の書類や制作物を作る際にも、フォントの担う役割は重大です。そんなとき、ミュージアムショップで出会えるこのピンバッジのことを思い出してほしい。「今回のプレゼンではどんなフォントにしようかな」「社内共有資料だから誤読が少ないフォントがいいな」と考えるきっかけになること、間違いなし!
大澤さんお気に入りの「ヘルベチカ」はコレ
あの小説のフォントを知らない
実際の活字の原版を原稿にして「Ⓡ」を記した原寸大のピンバッジ。印刷博物館所蔵の欧文活字から特徴のある8つの書体がピックアップされている。φ15〜25mm。880円。
文字[Character]
言語を書き記すための記号。最古の文字は約5000年前、メソポタミア文明・シュメール人の楔形文字とされる。現在、国際的に認められている文字の数は160種超。「話し言葉はあるが文字が存在しない言語」も数百あり、声や記号で記録されている。

ワークショップや夏休みの体験教室も実施
「印刷博物館」
現存する世界最古の印刷物とされる「百万塔陀羅尼」や道具を展示。
- 住所 :
- 東京都文京区水道1丁目3-3 TOPPAN小石川本社ビル
- 電話 :
- 03-5840-2300
※表示価格は税込み
[ビギン2025年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。