特集・連載
【蕎麦スス流】Vol.77〜全国制覇!? 日本の立ち食いそば〜
海員生協 大桟橋店立ち食いコーナー人気No.1「中華風とりそば」【神奈川・横浜】
蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~ 世界の蕎麦好きのみなさん、コンニチハ! ラーメンと比べて世界的には地味な存在ですが、移動中にサッと寄れて、お腹もコスパも大満足。そんな立ち食い蕎麦は江戸時代からあるニッポンが誇るべきカルチャーなんです。なにかと“東京”も注目されることですしね。ってことで、日頃のランチに観光に、世界中の人にぜひ立ち寄ってほしい蕎麦店を厳選しました。恥ずかしがらないで音を立ててソバをススろう! この記事は特集・連載「蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~」#77です。
Vol.77
横浜・日本大通り海員生協 大桟橋店立ち食いコーナー
中華風とりそば+唐揚げ
400円+120円
立ち食いそばを好きになると、どこでもいつでも立ち食いそばを食べたくなるというものだ。鉄道の駅、街の路地、パチンコ屋の横、市役所の食堂や学食など、どこでもまずは立ち食いそばの存在を確認してしまうようになる。こうなればもう立派な路麺ファンといえよう。
右手が横浜港大さん橋国際客船ターミナル
さて、本日やってきたのは神奈川県の横浜港。なかでも大さん橋はミナトヨコハマのシンボル。明治時代に開国された日本と海外との窓口だ。当時でも最大級だったであろう「大きな桟橋」がそのまま名称として定着し親しまれている。現在でももちろん現役で、海外航路の大型客船が発着する国際ターミナル。そしてうれしいことに、ここにも立ち食いそば屋はあるのだ。
象の鼻
大さん橋が陸からせり出した根元のあたり、有名な「象の鼻」の付け根に向かい海に面しているのが「海員生協 大桟橋店立ち食いコーナー」。店名からわかるように、本来は横浜港の港湾で働く人のために生活協同組合が運営するお店であるが、一般の利用にも開放されているのがうれしい。
海員生協はここ大さん橋が本部で、広大な横浜港の食をまかなうために港の各所に食堂が設置されている。山下埠頭、大黒埠頭、本牧埠頭、川崎支部など合計8店舗あり、それぞれに看板メニューがあり個性を持っている。なかには有名な芸能人がかつて港湾労働で生計を立てていた時期に通ったお店もあったりして、ついつい全店制覇したくなるというものだ。
大桟橋店の人気ナンバーワンは「中華風とりそば」。なにやら立ち食いそば屋らしからぬ名称だが、中華街をもつ横浜港らしい、いかにもな雰囲気のあるメニューだ。さっそくこれをいただいてみよう。人気の唐揚げも追加で注文。
■つゆ:立ち食いそば用のつゆ。昆布と魚介のだし、醤油のカエシ、やや甘め。
■タネ:鶏モモ肉のぶつ切りをさっと煮たもの。ゴロゴロたくさん乗っていて食べ応えあり。ワカメたくさん。
さてこの「中華風」とはなんぞや。中華風のスープ、もしくは中華風あんかけでも乗っているのかな?と考えながら壁の品書きをよく読むと、なんとスープや具ではなく、中華とは中華麺のことであった。しかも中華麺をそばのつゆでいただくものとのことで、路麺ファンにはいわゆる「ラそば」として知られているものだ。ネーミングにやられた感もあるのだが、それならば納得。
じつはそばつゆと中華麺の取り合わせ、想像以上にうまく、筆者も自宅でたまに作って食べることがある。中華麺がつゆとよく馴染んで、かつあっさり感あって、ちょっと小腹を満たすのにじつに良い具合なのだ。 唐揚げは人気メニューというだけあってうまい。仕事メシらしく、醤油と生姜の濃いめの味付けで、値段のわりに量もたっぷりあって大満足。
お店の裏にまわってみると、そこは海。小型のボートが停泊している。そして、建物の裏側には海に面して出入り口あり。いや、裏ではなくむしろこちらが「オモテ」なのではないだろうか。港湾で働くかたにとっては、船をおりてそのまま入りこんで空腹を満たすことができるベストな経路。こちらこそ本来の意味での玄関口にちがいないと感じたのである。
住所:神奈川県横浜市中区海岸通1-1
アクセス:みなとみらい線日本大通り駅 徒歩5分
営業時間:(月~土・祝)7:00~14:00、(日)7:00~13:30
定休日:無休
評価:2点 ☆☆
※本記事は、2021年10月30日取材当時の情報です。
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情報提供・監修/ケビン(平林啓一)
オートバイに乗って900軒の立ち食いそば店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食いそばチェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。