特集・連載
【蕎麦スス流】Vol.74
ボリューム満点な肉の山に挑め! 南天の「肉そば(ダブル)」【全国制覇!? 日本の立ち食いそば】
蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~ 世界の蕎麦好きのみなさん、コンニチハ! ラーメンと比べて世界的には地味な存在ですが、移動中にサッと寄れて、お腹もコスパも大満足。そんな立ち食い蕎麦は江戸時代からあるニッポンが誇るべきカルチャーなんです。なにかと“東京”も注目されることですしね。ってことで、日頃のランチに観光に、世界中の人にぜひ立ち寄ってほしい蕎麦店を厳選しました。恥ずかしがらないで音を立ててソバをススろう! この記事は特集・連載「蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~」#74です。
Vol.74
椎名町南天(本店)
肉そば(ダブル)
550円
椎名町駅北口は、ひと昔前は西武線特有の線路に沿った駅舎に券売機の並ぶ、やや混雑した味わいのある風景だったが、最近になって整備され開放感と清潔感ある空間となった。
2010年4月(右側に「南天」が見えます)
2021年8月(左側に「南天」が見えます)
その新しくなった北口階段を降りた広場に面して南天はある。屋号の書かれたシンプルな看板を掲げた小さなお店だ。
店内カウンターに数人、店外の細テーブルに4-5人並べる。天気が良ければ外で立っていただくことができる。注文しようと店頭に並んでまず意表を突かれるのは音楽。それもマニアックな「レゲエ」だ。スンチャスンチャと刻まれるリズムにいつしか心はウキウキして、これからいただくであろう一杯への期待が高まるというもの。
表看板にあるとおり、このお店の名物は「肉そば・肉うどん」。お客のほとんどはこれを注文する人気メニューだ。南天を目指してやってくるお客は、まずもって肉そばを食べる心の準備が万端に整っているとみて間違いない。肉以外のメニューに目移りせず、皆さんすっと淀みなく「肉そば」「肉うどん」と発声なさる。
筆者も肉好きであるから、「肉そば」の「ダブル」を注文してみた。スタンダードな量の2倍の肉がどっさり乗っている。無料の天かすを乗せていただいてみよう。
■つゆ:酸味のある濃厚なダシ、醤油味はさほど濃くなく甘さ控えめ。ダシの風味で蕎麦をわしわしと食わせてくれる。
■肉:薄切りの豚肉をさっと煮たもの。食べやすい大きさで蕎麦と一緒にすすることもできる。ダシの酸味とよく合う。ざっくり切られたネギの辛みと相性抜群。
人気メニューだけあって、とてもおいしい。肉はチャーシューのようにしっかり煮込まれたものではなくて、薄切り肉の味わいと歯ごたえを残して軽く煮たもの。ボソっとした食感で、噛むとジューシーな旨みが口いっぱいに広がる。
小ぶりなどんぶりのため、上からみただけではその凄さは想像しがたいが、ダブル肉の威力は半端ないものがある。ぎっしりと盛られた肉の層が幾重にも重なり、まさに「食べても食べてもなくならない」難攻不落さ。食べ進むにつれてひしひしと胃袋にのしかかってくるが、諦めることなく肉に取り組むべし。
じんわりと甘みある蕎麦をすすり、肉を食べ、ネギをカリリとかじり、ダシの効いたつゆをゴクリと飲む。このサイクルを格闘のごとくひたすら繰り返すうちに、あれほど盛られていた丼はいつのまにか空になっていくのだ。はあ、幸せ。
大食いではないが肉そばを食べたいひとに丁度良いサイズの「肉そばミニ」もある。 また、全てのメニューは冷やしでも注文でき、生姜かワサビの薬味を選べる。食べ飽きたら七味をかけるとまたおいしい。 他に面白いサービスとして、麺の「お替り」あり。250円でいただける。
ちなみに、肉うどんも人気で、この日の店頭では6:4くらいでうどんを注文するひとがやや勝っているように見受けられた。うどんのツルツル感と柔らかさが、タフな肉にはむしろ合うともいえる。南天ではうどんしか食べないというコアなファンも多数いらっしゃる。
お店は早朝から深夜まで通し営業で、残業・早朝出勤にはありがたい。もちろん朝帰り・夜遊びの強い味方でもある。ボリューム満点の肉とレゲエのリズムがあいまってか、元気で自由な雰囲気をまとった若者、そしてかつての若者たちから圧倒的な支持を受けている。
住所:東京都豊島区長崎1-2-2 アクティスビル 1F
アクセス:西武新宿線・椎名町駅 北口より徒歩1分
営業時間:5:30-翌1:30
定休日:不定休
評価:3点 ☆☆☆
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情報提供・監修/ケビン(平林啓一)
オートバイに乗って900軒の立ち食い蕎麦店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食い蕎麦チェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。