特集・連載
【蕎麦スス流】Vol.73
朝限定メニュー!! 長田本庄軒の「ぶっかけそば&すじコンカレー」【全国制覇!? 日本の立ち食いそば】
蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~ 世界の蕎麦好きのみなさん、コンニチハ! ラーメンと比べて世界的には地味な存在ですが、移動中にサッと寄れて、お腹もコスパも大満足。そんな立ち食い蕎麦は江戸時代からあるニッポンが誇るべきカルチャーなんです。なにかと“東京”も注目されることですしね。ってことで、日頃のランチに観光に、世界中の人にぜひ立ち寄ってほしい蕎麦店を厳選しました。恥ずかしがらないで音を立ててソバをススろう! この記事は特集・連載「蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~」#73です。
Vol.73
JR立川駅構内長田本庄軒
ぶっかけそば&すじコンカレー
710円
JR立川駅の発展は著しい。多摩地区の要衝にあって、かつては混雑の激しい駅として知られていたが、数度に及ぶ駅内外の改良工事を経て利便性のある現在の姿になった。
それに伴って設置された商業施設は「エキュート」の愛称で呼ばれ、改札内・改札外・独立店舗棟と分かれており、今回ご紹介するお店は東側改札内の「エキュート立川 エキナカEAST」の中にある。線路をまたぐ通路の北端、青梅線ホームの階段を上がったところにある「長田本庄軒」だ。
こちらの本来の売り物は焼きそばで、神戸発祥の「ぼっかけやきそば」で有名なお店だ。太めでもっちりした麺に甘めのソースをからませた焼きそばに、牛すじと蒟蒻を長時間煮込んだ「ぼっかけ」をトッピングし青ネギをたっぷり乗せていただく。カウンター席前の鉄板でジャーと焼いてくれるのを眺めながらいただくと雰囲気たっぷりで実にうまい。この焼きそばについても書きたいことはたくさんあるのだが、本日のテーマは他のメニューにある。
参考:ぼっかけやきそば
なんとこのお店、朝の時間帯は焼きそば屋ではなく、立ち食いそば屋になると知った時は驚いた。それもただの立ち食いそばではない。そばはそばでも「蕎麦」ではなく「焼きそば」の麺を使った汁そばなのだという。椅子席のみだから正確には立って食べるわけではないけれど、メニューには「かけそば」「ぶっかけそば」「天玉そば」とくれば、まさに駅そばの雰囲気だ。
とはいえ、焼きそばの麺を使った「かけそば」は果たしてうまいのか、すぐに素朴な疑問が湧いてくる。見慣れない食べ物への違和感はあるものだが、じつはそれほど珍奇なものでもない。焼きそばやラーメン用の中華麺を使った立ち食いそば屋は少ないながらも実在する。有名なところではJR姫路駅の「まねき」で、最近ではカップ麺にもなったりしているから、西日本に在住のかたでなくとも目にしたことがあるかもしれない。
なにはともあれ食べてみよう。ぶっかけそば&すじコンカレーのセットをいただくことにする。ぶっかけそばは温かいものと冷たいものを選択可能で、今回は温かいものを選択。すじコンカレーとは、焼きそばのトッピングにも使われているお得意の牛すじと蒟蒻の煮込みをカレーにトッピングしたものだ。
■つゆ:昆布主体のマイルドなだし、やや甘めですっきりした味わい
■タネ:揚げ玉、青ネギ、すりおろし生姜。さっぱりといただくことができる。
ぶっかけは関西風としてはちょい濃い味のタレを温かい麺にかけたもの。麺はツルツルとしてモッチリとした食べごたえある食感。噛めばじんわりと小麦の甘みが感じられ、ぶっかけつゆととてもよく合う。うどんと冷やし中華の中間のものとでもいえるだろうか。想像したより遥かにうまい。わしわしと食べたくなる味だ。
うまいうまいと夢中になってズルズルすすっていて気がつかなかったのだが、目の前には各種の薬味が揃っている。どれも焼きそば用ではあるが試してみる価値ありそうだ。
まずは焼きそばに定番の青のりをかけてみよう。麺とつゆの甘味を引き立ててマイルド感高まり、磯の香りと相まって面白い。
次いでこれも焼きそばの定番薬味である紅生姜、トングでちょいと取り分け、そばにからめて食べてみて驚いた。それまでのマイルド一辺倒な味に酸味が加わって広がりのある味わいに変化した。なんだこの味、これはいいぞ、面白いしうまい。おろし生姜とはまた違ったスパイシーさ。ちょいと食べすすんだ後半戦に投入するのがおすすめだと思う。
さて、すじコンカレーはどうだろう。ひと口ふくめばほんのりとした甘みが感じられる、次いで欧風カレーのようなデミグラス風味がふんわりと広がる。マイルドでうまい。やがて食べ進むにつれピリッとした辛味が感じられてくる。複雑で奥行きのある味わいだ。煮込まれたすじ肉がカレーの濃厚さに負けない強い味で、小さいながらもしっかり主張している。駅そばのサイドメニューとしては上出来すぎる。セットで選んで正解だった。
焼きそば麺の汁そば。考えてみれば、早朝にはなにかと具合がよさそうに思えてきた。焼きそばは、ああ見えてけっこう手間と時間がかかる。それに比べて麺を熱湯で湯がき、仕込んでおいたつゆを張る汁そばは調理と片付けの負担が少なく朝の忙しい時間を確実にさばけるだろう。
いっぽう客の方としても、出勤時間はともかく忙しいし、冬の寒い朝には温かいつゆで麺を啜り込みたくなるものだ。店と客の双方を満足させる素晴らしいアイデアではなかろうかと感じ入った。
住所:東京都立川市柴崎町3-1-1 エキュート立川 エキナカEAST
アクセス:JR立川駅構内
営業時間:7:00-20:00
定休日:なし
評価:3点 ☆☆☆
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情報提供・監修/ケビン(平林啓一)
オートバイに乗って900軒の立ち食い蕎麦店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食い蕎麦チェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。