特集・連載
【蕎麦スス流】Vol.72
季節限定名物! よもだそばの「よもぎ天そば」【全国制覇!? 日本の立ち食いそば】
蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~ 世界の蕎麦好きのみなさん、コンニチハ! ラーメンと比べて世界的には地味な存在ですが、移動中にサッと寄れて、お腹もコスパも大満足。そんな立ち食い蕎麦は江戸時代からあるニッポンが誇るべきカルチャーなんです。なにかと“東京”も注目されることですしね。ってことで、日頃のランチに観光に、世界中の人にぜひ立ち寄ってほしい蕎麦店を厳選しました。恥ずかしがらないで音を立ててソバをススろう! この記事は特集・連載「蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~」#72です。
Vol.72
新宿よもだそば
よもぎ天そば
420円
よもだそばについては二度目の掲載。前回は日本橋の本店でニラ玉天そばとカレーライスをいただき、天ぷらのボリューム感と素材の風味にいたく感動した。今回は新宿西口に新規開店した支店にお邪魔してみる。きっと新たな発見があるに違いない。
よもだそばは日本橋店から始まって、銀座、名古屋、そしてつい最近では新宿、御徒町と10年かけてゆっくりではあるが着実に店舗を増やしてきている。なにしろ時節がら飲食業全体としては非常に厳しい状況なのだが、撤退どころかむしろ店舗を増やしているところに正直驚きである。
共通するのは、どのお店も賑わいのある便利な場所で営業していること。立ち食いそば愛用者としては、蕎麦そのものの美味さもさることながら、仕事などの出先で「おお、あのお店がここにもある、ちょっと寄ってみよう」といった出会いの妙が重要なのだ。そういう意味で新宿はなにかと便利、立ち寄る機会がある。これは良い場所に出店してくれた。路麺ファンとしてはお店の増加はうれしいことで、まずは感謝しかない。
さて、話は本題に戻るが、今回は季節メニューの「よもぎ天そば」をいただいてみた。こちらは初夏から10月末まで提供とのこと。
■つゆ:昆布メイン+鰹のマイルドなだし。寝かされて角の取れたカエシ。ゴクリと飲めるうまさあり。
■よもぎ天:薄めのコロモでさくっと軽い揚げ具合。よもぎの上品な香りを逃さない絶妙な火の通り加減。
そもそも、よもぎを天ぷらで食べる機会はあんまりないのではなかろうか。たいていは草餅としていただくものだ。もちろん私も初めて口にする。
揚げられた姿をひとめ見てうれしいのは緑色の鮮やかさ。よもぎのイメージを裏切らない麗しさだ。天ぷらは大ぶりではあるが油切れ良くサクッとした歯触り。パリッと噛み砕けば口の中に上品なよもぎの香り。かすかな野草風味が心地よい。噛めばじわっと甘みあり。これはうまい。蕎麦の微妙な香りを生かす味わいだ。
もちろん主役の蕎麦とつゆは安定したうまさ。自家製麺でコシのある蕎麦と、マイルドで素直なつゆは飽きることがない。
よもぎは青森からの直送品。よもだそばと縁の深い「東北牧場」にて採取された野草とのこと。牧場からはよもぎ以外にも多種多様な野草が素材として送られてくる。春先限定メニューの「ふきのとう天ぷら」もそのひとつ。毎年楽しみに待っているかたも多いはず。ほろ苦さがたまらない逸品だ。
よもぎ天そばに大満足して、ふと壁を見上げてみると、なにやら「東北牧場の野草茶」とある。ギシギシ、たんぽぽ、クマザサ、桑の葉。それぞれに血圧・動脈硬化、利尿作用、免疫力、糖尿病予防などの効能ありとのこと。中高年の筆者としてはちょっと気になる。まずは試しに買ってみた。
お茶はアイデアマンであるご主人の発案らしい。ご主人に近頃の動向をうかがってみたところ、近いうちにJR有楽町駅近くにも出店を計画中とのこと。いやはやすごいパワーだ。
「立ち食いそば屋にはそもそも『密』な状態が少ないんですよ。カウンターでおひとりで食べられますし、接客時の接触もわずか。ですからお客様は気軽に来店してくださるんじゃないですかね。」と飄々とした語り口で営業の秘訣を語ってくれた。
自家製麺をいち早く取り入れた研究熱心なかたでもあり、最近では機械化・自動化による省力化もあれこれ検討しているとのこと。もしも実現したらさぞ面白いだろうと期待する。
さて、帰宅してギシギシ茶をいただいてみた。かなり苦い。だからこそ効いているような気がする。これもカラダのため。立ち食いそば探訪のためには健康でなければ。しばらく飲んでみよう。
住所:東京都新宿区西新宿1-15-7 新宿西口ライフビル 1F
アクセス:JR新宿駅西口・南口 3分
営業時間:7:00〜20:00
定休日:無休(元日を除く)
評価:3点 ☆☆☆
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情報提供・監修/ケビン(平林啓一)
オートバイに乗って900軒の立ち食い蕎麦店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食い蕎麦チェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。