特集・連載
【蕎麦スス流】Vol.68
“鶴見系”の総本山として有名な、ごん兵衛の「天ぷらそば」【全国制覇!? 日本の立ち食いそば】
蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~ 世界の蕎麦好きのみなさん、コンニチハ! ラーメンと比べて世界的には地味な存在ですが、移動中にサッと寄れて、お腹もコスパも大満足。そんな立ち食い蕎麦は江戸時代からあるニッポンが誇るべきカルチャーなんです。なにかと“東京”も注目されることですしね。ってことで、日頃のランチに観光に、世界中の人にぜひ立ち寄ってほしい蕎麦店を厳選しました。恥ずかしがらないで音を立ててソバをススろう! この記事は特集・連載「蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~」#68です。
Vol.68
横浜市港北区駒岡町ごん兵衛
天ぷらそば+おにぎり+半カレー
250円+100円+300円
強いていえば東急東横線大倉山駅が最寄りと言えなくもないが、徒歩では35分ほどかかる。新横浜駅からバスを利用する方法もあるが、所要時間は20分ほどを要する。大部分のお客さんは近隣からの徒歩あるいはクルマ利用。
そう、これぞまさに陸の孤島系路麺。駅や線路とは無関係に、地域に根ざして独自の発展を遂げたお店だ。住宅街に溶けこんだような店の外観は、もうなんというか「普通の住宅」そのもの。黄色いテントは台風で破けたのか、お店らしさ極小なところが微笑ましい。
ここはいわゆる「鶴見系」の総本山としてつとに有名。鶴見系の立ち食いそばとは、①昆布系ダシに塩味と薄口醤油の透き通ったつゆ、②灰色っぽい茹でめん、③黒いドンブリ、の特徴を有し、比較的安価で、家族経営できりもりする。
横浜市鶴見区・港北区に同様の特徴を持つ店が点在する。確証はないのだが、それぞれのお店にはなにかしらの血縁・師匠弟子兄弟の関係があるようだ。
また、以前はこれも近隣の二つ池近くにある「大門ソフトめん」製のそばうどんを使用していた。どこまでも地域密着なのだ。大門は残念ながら近年廃業してしまい製造業者は変わったのたが、フワフワとした灰色の茹でめんは健在だ。
■つゆ: 昆布系ダシ、薄口醤油。すっきりとした淡い甘味。どちらかといえばうどんつゆ風の味わい。
■かき揚げ: 揚げ置き。たまねぎとニンジン。サラダ油で白っぽく揚げた軽い味わいがうどん風のつゆとよく合う
どこまでも透き通ったつゆ。黒いドンブリに神秘の透明さをたたえたつゆは昆布(というかアミノ酸)の強いダシと、塩気の強い薄口醤油。ちなみに、このつゆは冷やしだとさらに塩気が強く、キンキンに冷えながらも強烈な味わいをもつ。
注文の方法がやや独特、まず「そば」か「うどん」かを告げる。店員さんが麺を用意するちょっと間をおいてタネをお願いする。「ちくわとたまご」のような具合。
値段を確かめようと壁の価格表を見てまず驚くのは値段。天ぷらそば250円とは神奈川はおろか東京でもここまで安値はなかなかお目にかかれない。あまりにも安いので、ついつい何か追加したくなる。天ぷらを2種類乗せる人多し、私はおにぎりを注文。
地域密着型ならではの良心的な価格設定だ。これなら近隣住民や会社勤務の方も気軽に毎日のように通えるはず。また、遠隔地の路麺ファンにとってもこの値段ならばタクシーに乗って食べに行っても損した気にはならないと思う。ぜひ大倉山から飛ばして食べに来て欲しい。
カレーライスがもうひとつの名物。マイルドで甘めな味わい。そばつゆをごくりと飲みながら食べるとうまい。半カレーライスなら300円。半分と言いながら十分な量。少食な人ならこれだけでもお腹いっぱいになれそうだ。
臨港バスであれば、お店のすぐ近くの「池の下」バス停が最寄り。新横浜駅からの路線が使いやすのではないだろうか。
「池」というのは近くにある「二つ池」のことだろう。古くからある天然の池として有名だ。名のとおり大きな双子の池で、東側の駒岡側池と西側の獅子ケ谷側池の二つに分かれる。流れ込む川がないのに干上がらない神秘さのためか、古来より龍が棲むと言われる。龍神の生け贄にされる恋人を守るため、熊使いの若者が熊を龍と戦わせて勝ったという、まるでポケモンのような伝説がある。
クルマでの来客の多さを物語る。なんと専用駐車場完備だ。
住所:神奈川県横浜市鶴見区駒岡1-21-16
アクセス:JR鶴見駅・新横浜駅から臨港バス「池の下」下車すぐ
営業時間:6:40〜14:00、(日)6:40〜10:00
定休日:祝日、日曜不定休あり
評価:3点 ☆☆☆
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情報提供・監修/ケビン(平林啓一)
オートバイに乗って900軒の立ち食い蕎麦店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食い蕎麦チェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。