特集・連載
【蕎麦スス流】Vol.67
昭和レトロな地下街の名店、文殊の「かき揚げそば」【全国制覇!? 日本の立ち食いそば】
蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~ 世界の蕎麦好きのみなさん、コンニチハ! ラーメンと比べて世界的には地味な存在ですが、移動中にサッと寄れて、お腹もコスパも大満足。そんな立ち食い蕎麦は江戸時代からあるニッポンが誇るべきカルチャーなんです。なにかと“東京”も注目されることですしね。ってことで、日頃のランチに観光に、世界中の人にぜひ立ち寄ってほしい蕎麦店を厳選しました。恥ずかしがらないで音を立ててソバをススろう! この記事は特集・連載「蕎麦スス流~SOBA SuSu Ryu~」#67です。
Vol.67
浅草文殊 浅草地下街店
かき揚げそば
390円
東京メトロ銀座線浅草駅の改札を出てすぐの地下街にある。東武東上線浅草駅からも利用できる。地上から見ると、松屋デパートの下、三角州の頂点にある階段を降りてすぐのところ。ここは昭和30年、当時のハイカラな繁華街である浅草にできた地下街であり、現存する地下商店街としては日本最古のひとつと言われる。
昭和レトロ感に満ち溢れた地下街には面白いお店が多数あり、特に入り口近くの「福ちゃん」は焼きそばのうまい店としてつとに有名。鉄板で焼きそばをジュージュー焼いているのが通路からよく見えるから、つい釣られて入ってしまう。銀の皿に盛られソース味のよく染みた太い麺にはホッピーの合うこと合うこと。一分の隙もないB級グルメ道だ。
閑話休題、本日お目当ての文殊は福ちゃんからほんの少しばかり進んだところ、例の三角州頂点からであれば階段を降り切った目の前にある。階段からの距離が短過ぎて驚いてしまうくらい唐突に出現する。銀座線浅草駅からであれば、改札を出て東武線方面に進む通路の脇でもある。
これはいかんですね。立ち食い蕎麦好きな人がこの場にいたとしたら、おそらく意に反してもそのままフラフラと券売機にコインを投入してしまうこと間違いない。実に素晴らしいロケーション。立ち食い蕎麦のためにこそある立地と言える。
5-6人立てば満席なカウンター。かなりのボロさでディープな風情。地下の薄暗さもあって、廃墟好きな方なら一発でハマる外観。
■つゆ:ダシ濃厚。本鰹の香り、宗田と鯖のコクと酸味。上品で濃いダシ。カエシやや濃いめ。深い味わい。それほど甘くない。蕎麦とバランス良い。
■かき揚げ:揚げ置き。サクサクと揚がったコロモ、野菜の味わいあり。
レトロな立地とディープな外観に関わらず、味の方は王道を行くうまさ。良い素材と良い調理でいつもハイレベルな一杯を食べさせてくれる。
文殊は東京の東側を拠点に10店舗展開する立ち食い蕎麦チェーン。創業時から茹でたての生そばとだしの利いた上品なつゆ、サクサクとした天ぷらが売り物で、近年の本格的立ち食いそば屋の先駆けのひとつ。そば・つゆ・タネのどれもが美味く、かつバランスの良さが際立っている。
近頃では川越・大山・成増・志村など東京の北側にも進出している。駅に出店することが多いので目にした方もいるはず。味は間違いなくうまいから見かけたらぜひ入ってみることをお勧めする。
天ぷらは自家製で、コロモが薄くさっくりと揚がっている。旧来のぽってりとした路麺かき揚げとは一線を画す。薄いコロモゆえ、つゆに浸ればやがて崩れるが、そこを一緒にズズっと飲むのが醍醐味だ。
住所:東京都台東区浅草1−1−12 浅草地下街
アクセス:銀座線浅草駅 徒歩1分
営業時間:6:00〜23:50、(土日祝)7:00〜21:00
定休日:無休
評価:3点 ☆☆☆
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情報提供・監修/ケビン(平林啓一)
オートバイに乗って900軒の立ち食い蕎麦店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食い蕎麦チェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。