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ファッションの万能薬“チノパン”の正体とは ‐ 「チノパン」の教科書
定番の教科書 ネイビージャケットやB.D.シャツ、チノパンといったお馴染みの服はもちろん、スニーカーやデイパに代表される靴、鞄、さらにはスポーツカーや食べ物まで、どのカテゴリにも、いつの時代も変わらない「定番モノ」が存在します。いまもなお、定番が定番たる所以とは? 歴史、ウンチク、名作から今買える新傑作まで、世の定番モノをじっくりわかりやすく解説します。 この記事は特集・連載「定番の教科書」#11です。
HISTORY
ワークからドレスまで幅広いスタイルに適応して男の着こなしを支えてきたチノパン。その起源がじつはミリタリーにあることをご存じない読者は多いかもしれない。なぜこうも皆に愛され、穿き続けられるのか?そのヒミツをココで探り当ててみましょう。
イギリス陸軍の軍装を起源とするチノパン。1937年からはアメリカ陸軍にも採用された歴史を持つ。数年にわたる試行錯誤の末、1941~1942年頃に現在のカタチに落ち着いたといわれる。写真は1940年代に撮影されたアメリカ軍兵士の制服姿。
定番アイテムの基礎知識
服
【チノパン】
●チノクロスを用いたトラウザーズのこと
●ミリタリー、ワーク、ドレス、すべての顔を持つ
●つまり、今の流行要素が全部盛り
ジーンズに次いで、男のボトムスに欠かせないチノパン。持ち前の丈夫さゆえしばしばワークシーンでも使われるが、その起源はじつは軍服。19世紀半ば、インドに駐屯していた英軍が敵の目を欺くため、それまでの白い軍装に替えて採用したカーキ色のパンツが始まりとされる。その後米軍が採用し、細部を整理して1941年に完成した通称「41カーキ」が現在のチノパンの原型となった。
当時、チノパンは米軍将校の制服。指揮官である将校の制服は一般兵士より上質でなければサマにならない。コーマ糸と呼ばれる、ほんのり光沢のある高級綿糸が用いられることが多いのは、そうした理由からだろう。このような出自が、チノパンに紳士とミリタリーの二面性をもたせ、ファッションの万能薬にしているのだ。
写真/大嶽恵一 文/星野勘太郎 スタイリング/四方章敬(CODE)
取材協力/バズリクソンズ(東洋エンタープライズ)
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