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HISTORY

世界で一番有名な「服」、ジーンズ。量産着、しかもワークウェアとして誕生しながら、今や世界一愛されるファッションアイテムとなった。今回はその奥深い歴史や逸話の一端を増ボリュームのスペシャル版で学びましょう!

ゴールドラッシュに沸くアメリカで、労働者のために、まず「丈夫であること」を突き詰めたのがジーンズだった。2頭の馬に結びつけ、左右に引っ張っても裂けなかったほど! この逸話は、リーバイス社が自社商品のパッチ部に刻印する〝ツーホース〞として知られている。

定番アイテムの基礎知識

【ジーンズ】

【定義】
ジーンズを定義づける条件は、大きく分けて3つ。ひとつは 「5ポケット」というデザイン、もうひとつは「インディゴデニム」という素材で、一般的にはこれらが揃えばジーンズと思われがちだ。だが、意外にも忘れがちな最後の条件、「リベットによるポケット補強」という製法こそ、じつはジーンズをジーンズたらしめる最大の特徴。そもそもリーバイス社がジーンズ発明時に申請した〝特許〞は、この3番目。もともとはハードな使用に耐えるワークウェアとして生まれた証拠だ。

【起源】
服飾の長い歴史のなかで進化してきたジーンズは、どこを起源とするかは意見が分かれるところ。なかでも最大の定義である、リベット補強の発明をジーンズの起源とする説が、一般的にはもっとも支持されている。それは1871年、ネバダ州リノでテーラーを営んでいたヤコブ・デイヴィスによって発明された。服以外に馬具やテントなども手掛けていた彼は、注文された作業ズボンのポケットをたまたまリベットで補強することを考えつき、これが瞬く間に大評判となる。そこでデイヴィスは、生地を仕入れていたサンフランシスコのリーバイ・ストラウス社に相談し、共同で特許申請することを決意。1873年に認められ、その年からリーバイスによって生産されることになったのだ。
こうして誕生した〝リベット補強されたワークパンツ〞は、その丈夫さから当時ゴールドラッシュによって急増した金鉱掘りたちの間でまず大ヒット。当初はブラウンダック製なども作られていたが、やがて素材はインディゴデニムに統一され、年を追うごとにディテールも変化していった。ただし、それは流行に合わせたわけではなく、あくまでワークウェアとしての機能性や量産効率を追求した〝進化〞だった。そして第二次世界大戦が終わる頃には、ほぼ現在と同じデザインを確立。130年以上も経った今も世界中で愛される、ジーンズの完成だ。

【名前の由来】
現在世界中で使われている〝ジーンズ”という名前は、もともと「ジーン」という生地で作られたパンツを指す言葉だった。ジーンとは、イタリアのジェノヴァ港から輸出される交織地(異なる繊維を織り合わせた生地)のことである「ジーン・ファスティアン」という言葉が簡略化されたもの。そんなジーンズという名前を初めて公式に使ったのはラングラー社で、1947年のこと。本家のリーバイスは自社製品を長年「オーバーオールズ」と呼んでおり、初めてジーンズと名乗ったのは1955年以降だ。ちなみに〝デニム”という生地の名前は、南フランスのニーム産サージ生地を意味する「セルジュ・ドゥ・ニーム」が語源とされている。ジーンとセルジュ・ドゥ・ニームはもともと別の生地だが、ともに丈夫な交織地で作業着に用いられていたことから、一方はパンツの俗称、一方は生地名として定着。いまでこそアメリカ的な言葉だが、双方とも由来は欧州だったというわけだ。

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