特集・連載
ボーダーはオシャレじゃなかったってホント!? – 「ボーダーカットソー」の教科書
定番の教科書 ネイビージャケットやB.D.シャツ、チノパンといったお馴染みの服はもちろん、スニーカーやデイパに代表される靴、鞄、さらにはスポーツカーや食べ物まで、どのカテゴリにも、いつの時代も変わらない「定番モノ」が存在します。いまもなお、定番が定番たる所以とは? 歴史、ウンチク、名作から今買える新傑作まで、世の定番モノをじっくりわかりやすく解説します。 この記事は特集・連載「定番の教科書」#01です。
HISTORY
カジュアルの定番であるボーダーカットソー。この春はフレンチカジュアルの人気が高まり、象徴的な一着としてさらなる注目を浴びている。ただそのマイルドな見た目とは裏腹に、元はミリタリーウェアだったことをご存じだろうか? そうしたルーツからファッションとしての広がりまで、流行しているから今こそ、しっかり学んでおこう。
ボーダーカットソーのルーツとなった、フランス海軍の制服。もちろんボーダーの柄にもしっかりと意味があった。その一つには、兵士が海上に転落した際、ボーダーの縞模様だと発見しやすかった、という理由がある。写真のボーダーカットソーは’70年代のフランス海軍のもの。
定番アイテムの基礎知識
【ボーダーカットソー】
横縞模様のカットソー。 元は海上転落時の視認性を高める役割。’20年代には南仏のリゾートウェアに。 今日では爽やかトップスの代表格。
船乗りが防寒用の下着として着用していた、青と白のボーダーTシャツ。フランス海軍はこれに着目し、1853年に制服として採用した。理由はこのボーダー柄が、船上の海兵が海に転落した際に目立つためだ。そのせいか、当初は16歳で入隊した不慣れな若者が着用し、新米兵の象徴とされていた。 そして肌着のTシャツは、当然"ミリタリーウェアとして"進化していった。よりタフな生地に、防寒性と機動力を備える7分袖が増加し、衿は着脱しやすく舟底を模したボートネックに。いわゆるこの海軍制服が、現在定番とされるボーダーカットソーのルーツだ。また’20年代になると南仏のリゾートウェアとして注目され、以来ピカソといった著名人も愛用。他のミリタリーウェアと違って軍服の印象はほぼ消え去り、マリンブルーを思わせる爽やかなカットソーとして浸透していった。