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数年の間に世界を一変させる可能性を秘めているDXにフォーカスする連載「プロジェクトDX」。時代の変化やニーズに、DXを通じて見事に応える、優れたサービスの開発者やその現場を訪ね、未来を変える可能性やそこに込められた思いを紹介していきます。

リモート勤務も日常になり、オンラインによるディスカッション系ツールが当たり前に使われるようになりましたが、オンライン会議での資料の共有や、議事録の作成はどのようにしていますか? 対面の場合と変わらない? 今回のプロジェクトDXでは、オンラインのみならず対面も含めた会議の進め方が変わると評判の、オンラインのコラボレーションプラットフォーム「Miro」をご紹介します。

オンラインのコラボレーションプラットフォーム Miro

プロジェクトDX〜挑戦者No.9〜オンラインコラボレーションプラットフォーム「Miro」

ミロ・ジャパン合同会社 代表執行役社長 五十嵐光喜さん
ミロ・ジャパン合同会社 代表執行役社長 五十嵐光喜氏

Miroは、日本を代表する企業が次々と導入を始めているオンラインコラボレーションプラットフォームのサービスです。

オンライン=インターネットでいつでもどこでも
コラボレーション=プロジェクトメンバーなど普段接する人と繋がる
プラットフォーム=LINE、Zoomのようなソーシャルプラットフォーム

その言葉の通り、要はオンラインで人と繋がるサービスです。既存のSNSやディスカッション系ツールとは一体何が違うのでしょうか。

オンラインのコラボレーションプラットフォーム Miro

思考や議論の流れを可視化し、リアルタイムでつながっていく

オンラインでもリアルな会議でも、何をどう話したかを残すには議事録が必要です。議論の過程を書き記したホワイトボードを撮影する方法もあるでしょう。ただ、言葉のやり取りは流れていってしまうもの。次の会議に備えて議事録を見返したところで、そう考えるに至った過程までは思い出せないことも多いのではないでしょうか。

ミロ・ジャパン合同会社の社員

Miroでは、準備段階で作成した資料やデータ、会議の中で出たフィードバックやコメント、どのように考え議論したかという思考回路を1つにまとめて、オンライン上のボードに残しておくことができます。常に編集できる状態でボードを呼び出せるため、別のプロジェクトでやり方を踏襲したり、新入社員に見せることもできます。Miroで考え方を可視化することによって、その場にいなかった人たちもその過程を理解できるのです。

資料をアップデートしながら、議論を進められる

取材したのはミロ・ジャパンのCulture Dayと呼ばれる、全体会議の日。リアルで参加する社員もいれば、オンラインの人も。資料をオンラインで共有しながら、各チームが発表していきます。通常のミーティングと異なるのは、各自のタイミングで気になった点をコメントとして書き込んだり、絵文字の「いいね!」を貼り付けられること。また発表チームのメンバーは、リマインド事項や今後の課題などを、付箋機能などを使って書き加え、リアルタイムで資料を更新していきます。

ミロ・ジャパンの全体会議の様子
発言や発表の評価がひと目でわかる絵文字のアイコンは、SNS感覚でミーティングも和気藹々とした雰囲気に。

発言のタイミングを計ったり、議論を中断させることがなく、意見を発信できるのも魅力です。特定の人だけが発言するということがなく、議論が柔軟に全方向に広がっていきます。また、他のデジタルツールとの連携がスムーズで、Googleのスプレッドシートなどを操作性を保ったまま貼り付けられます。リアルタイムのデータや、違う視点からみたときに、もっと詳しいデータや資料の提示を求められた場合も、生きた情報をその場で表示するなどの対応が可能です。

ミロ・ジャパンの全体会議の様子

会話の糸口や議論を広げる手助けに

コミュニケーションの向上や人材育成を目的として、1on1を実施する企業が多くありますが、「思うように話せなかった」「世間話に終始してしまった」という経験がある人もいるのではないでしょうか。そんなときにもMiroが役立ちます。ざっくりとしたテンプレートに「うまくいったこと」「最近気になっていること」などをお互いに記入しておけば、業務内容、社内環境、人間関係、趣味や家族のことなど、テーマを行き来しながらざっくばらんに話せ、それをまた上書きしながら次回に活かしていくことができます。

アカデミックの分野での活用

立命館サイバーキャンパス
Ritsumeikan Cyber-Campusでは、ドローンで上空から撮影したキャンパス、各体育会やサークルの活動など、パンフレットではわからないリアルな大学生活を見て回れます。

Miroは大学などアカデミックの分野でも注目されています。たとえば、立命館大学には「Ritsumeikan Cyber-Campus」というMiro上のサイトがあり、スタートボタンを押せば、大学構内やサークル活動などをいつでもどこでもバーチャルで体験できます。“あつ森”で友達の島に行くような感覚で気軽にアクセスでき、大学を訪れることでしか知り得なかった情報が得られます。進学先を考える学生にとっても、多くの人たちに訪れてもらうことができる大学側にとってもメリットがあります。

慶應義塾大学大学院では、システムデザイン・マネジメント研究科のワークショップにMiroを活用しています。無料版があるため、学生のユーザーが多いことも特徴です。いくつかのデジタルツールを使い分けるのではなくMiroの中で完結できることや、フォーマットの自由さも若者の利用につながっています。

気になる企業のノウハウが詰まったテンプレートを無料で使える

ヨーロッパ生まれのMiroは、日本国内では2022年6月の時点で70万人以上、全世界では4500万人が使っています。パンデミックを契機に一気にユーザーが増え、日本支社が設立の運びとなりました。現在、国内でもヤフー、LINEなどのオンラインプラットフォームや、NEC、三菱電機をはじめとする名だたる国内メーカー、企業が導入を始めています。

Miroの最大の魅力は、キャンバスに描くように型にはまらず、図や絵、写真や矢印などを駆使して描けることですが、一般的な企業が導入するとなると、自由度が高いだけに社員みんなが使いこなせるかどうかが気になります。

「ミロバースというテンプレートの共有サイトの中に、世界中のユーザーが投稿したテンプレートが実に1700種類以上あります。『プロジェクトの後に振り返りをして、そこから次回の学びにつなげていきましょう』というのが流行っていますが、たとえば野村総合研究所が作成したテンプレートには、議論の進め方や原因分析をする手法が含まれているんです。スタートアップのテンプレートなら、アップルの方が作ったものもあります」と、代表の五十嵐さん。実際、地方の中小企業がそういったテンプレートを通して、名だたる企業のメソッドを取り入れ、いつもと違った視点で企画を進めることもあるそうです。

ミロ・ジャパン合同会社の社員
ノベルティのステッカーは、miroのアイコンがモチーフ。パソコンに貼っている社員も。

発言が苦手な日本人の救世主に?

オンラインのコラボレーションプラットフォーム Miro

代表である五十嵐さんは、日本企業が世界を席巻していた1970年代後半から80年代についてこう振り返ります。「ホンダの用語でいえばワイガヤ、トヨタならカイゼン、当時は現場にみんなが集まってディスカッションし、英知を結集する空気がありました」。ところが、現在はミーティングに集まっても発言するのは限られた人だけ。強い日本を取り戻していくためには、年齢や役職を気にせず意見を集めていくことが絶対に必要だといいます。

「Miroというプラットフォームに、若い力やイノベーティブな考えを持っている人たちの意見を取り込んでいくことで、日本人の強かったときのDNAを呼び起こせるのではないかと考えています。シャイだったりディスカッションが苦手な日本人にこそ、面と向かって話さずとも思考の構築や意見交換ができるMiroが向いていると思います」。

編集部でも使ってみた!

オンラインのコラボレーションプラットフォーム Miro

取材後早速やってみたい!と盛り上がり、記事の作成をMiroで進行してみました。取材まとめ、スケジュール、構成イメージ、写真のセレクト等々…思いつくままにビジュアル化! 普段はどうしても目の前の作業中のプロセスしか見えていないことも多かったですが、当初の方向性やラフコンテがいつでも目に入ると、迷走することがありません。物事のビジュアル把握が当たり前になったら、思考のプロセス自体が変わりそう。DXがビジネスを超えて、私たちの物の見方や感じ方にまで及んでいくのかも…と未来を感じた取材になりました。

Miro
https://miro.com/ja/


写真/伏見早織 文/丸山亜紀

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