コンバース

蕎麦スス流 SOBA Su Su Ryu

Vol.82

千歳烏山深大寺門前そば

肉そば+温泉玉子+おはぎ
460円+50円+290円

深大寺門前そばの肉そば

調布の深大寺といえば蕎麦の名所として古くから有名だ。この周辺の土地はあいにく水田に適さず、その代用として江戸時代頃から蕎麦が栽培されたのだという。蕎麦は深大寺に献上され、やがては徳川将軍も大いに誉めて栽培を奨励したという歴史がある。現在でも深大寺周辺には老舗のそば屋が多数みられ、近くの神代植物公園とともに食と植物の名所として休日には観光客が絶えない。

深大寺門前そばの外観

その深大寺ゆかりのそば屋で製造された麺を使った立ち食いそば屋が千歳烏山にある。その名も「深大寺門前そば」で、かつては京王線沿線に何店かあったらしいが、現存するのはここのみ。京王線千歳烏山の駅のすぐ近くにあり、かれこれ40年は営業すると思われる年季の入ったお店。

深大寺門前そばの店頭

店頭にはガラスの食品ケースがあって、おにぎりやいなりずしがぎっしりと並べられ、どれもみな美味しそうだ。引き戸を開ければ、使い込まれた温かい肌触りの木製のテーブルと椅子が並ぶ。壁には扇風機がカラカラと首を振る。懐かしい昭和レトロな雰囲気にあふれたお店だ。

深大寺門前そばの店内

カウンターに腰掛ければ、目の前にずらりと自家製の天ぷらが並ぶ。種類は豊富で、ナス・イカなど10種類以上。人気は玉ねぎ天、春菊天など。そして、今回の主役、驚きのタネは天ぷらではなく「肉」である。

立ち食いそば屋では「肉そば」を扱う店は少なくないが、そのほとんどは豚肉(バラ肉あるいは肩ロース肉)のコマ切れをさっと煮たものをそばの上にどっさりと乗せた形態。だがこの店ではとても珍しいことに、肉といってもそれはいわゆる「チャーシュー」だ。ラーメンに乗っているあれである。

深大寺門前そばの肉そば

■そば:茹でめん。黒っぽくて四角い断面。茹でめんにしては歯応えあり。そばの風味を感じられ好ましい。
■つゆ:だしよし。昆布主体に節の風味あり。濃厚なカエシ。じっくりと寝かせたであろう醤油と味醂のまったりした旨味あり。
■タネ:チャーシュー二枚。よく煮込まれて柔らかく味わい深い。たぬき無料トッピングあり。貝割れ大根の美しい盛り付け。
■玉子(トッピング):生と温泉玉子を選べる。

深大寺門前そばの肉そば

まずひと口食べて圧倒されるのはつゆの存在感。濃厚な甘辛いカエシによる深い味わいは、東京下町の立ち食いそば名店にも引けをとらない迫力。そして本場深大寺ならではの存在感あるそばは茹でめんながら、そばとしての旨味をもつ。路麺ファンなら好きにならずにいられない味わいだ。

深大寺門前そばの肉そば

肉は柔らかく煮込まれ、さっぱりめの脂で、かつ豚の味わいを堪能できるもので、丁寧なつくりを感じさせる。また、肝心のそばとの相性なのであるが、これが実によく合う。まったくもって違和感がない。

柔らかさ加減が絶妙で、そばをすすりながら、ちょいとかじって食べるのにちょうど良いし、肉の旨味とそばがマッチする。それだけではない。圧倒的迫力の濃いつゆに少しも負けないちから強さが肉にはあるのだ。ああ、これは驚きの体験。ぜひ一度お試しになることをお勧めする。

深大寺門前そばのおはぎ

そして冒頭でも触れたとおり、このお店の売り物はおにぎり類。各種あるなかでもとくに珍しいのは「おはぎ」。あんこに目のない筆者は、良いものを発見したと小躍りし、お土産に買い求め自宅で食べてみた。

2個で290円であるから、おはぎとしてはやや値のはるほうかもしれないが、それだけのことはある手作りの風合いにあふれた上等な味だった。あんこのつぶし具合には、ほっくり感と滑らかさの混じり合った素敵なリズムを感じる。また、ご飯の突き具合もすばらしく、ランダムな歯触りには楽しさがある。控えめな甘さもうれしい。ううむ、これは素晴らしい逸品だ。何個でも食べられそう。

おはぎはお店の隠れた名物のようで、昼前には売り切れてしまうことがよくあるが、この味ならば納得できる。じつは筆者も二度ほど売り切れに遭遇して悔しい思いをしたことがある。確実にゲットするには早朝に訪問するのがよさそうだ。

■DATA
住所:東京都世田谷区南烏山6-4-32
アクセス:京王線千歳烏山駅、徒歩1分
営業時間:7:00〜21:00
定休日:木曜
評価:3点 ☆☆☆

※本記事は、2022年4月11日取材当時の情報です。

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写真・文/ケビン(平林啓一)
オートバイに乗って900軒の立ち食いそば店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食いそばチェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。

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