特集・連載
服好きがこぞって名を挙げる原宿のレジェンド 八木沢 博幸さんの一生モノ3選
結局得する「一生モノ」 うまい棒に牛丼、電気代まで値上がりだって!? どうする?どうなる?日本経済、ぼくらの未来。Beginが愛するベーシックな服や靴や小物を見ても、値上がりこそすれ、値下がる気配はありません……。こんな時代に誰がした? 否、こんな時代だからこそ!せっかく買うなら、ず~っと使えて、長~く愛せるモノこそ絶対正義! この記事は特集・連載「結局得する「一生モノ」」#07です。
「ヘビーデューティは一緒に歳を重ねてる気がして嬉しくなる」―原宿キャシディ 八木沢 博幸さん
柔らかなコットンリップストップや細身のシルエットで、街向きにアレンジされたこのプロッパーは、気兼ねなく穿ける軍パン。
ただ、サプライヤー由来なだけに実用的なポケット位置などはさすが。電話と眼鏡の定位置にしている左サイドポケットは、頻繁に出し入れしすぎてフラップがめくれたままクセがつくなど、持ち主なりの形になるところもいいですね。
セントジェームスのウェッソンは、船乗りが有事の際すぐ脱げるように大きく開いたボートネックや視認性の高いボーダー幅をはじめ、着丈やシルエットも手の加えようがないほど完成されている。
30年モノでも現役が務まる丈夫さにも驚かされます。相変わらず背中のタグは洗濯すると裏返しになるけれど、安易に修正することなく頑なに守る姿勢もとてもいい。
エル・エル・ビーンも同じくタフで、手荒く使ってもいい感じでくたびれてくれます。僕は新品を手に入れると、自分に早く馴染むように何でもコインランドリーで洗ってしまうのですが、このリュックもパッカリングが際立っていい表情を見せてくれました。
こうした実用本位のヘビーデューティは、長くつきあえるからこそ「次はどういう表情を見せてくれるんだろう?」と想像するだけでワクワクするし、一緒に歳を重ねているようで嬉しくなる。
そしてBDシャツやブレザーなどのアイビーアイテムと組み合わせる、僕が好きな“ヘビアイ”スタイルにも欠かせないものになっています。
服好きがこぞって名を挙げる原宿のレジェンド
原宿キャシディ 店長
八木沢 博幸さん(66)
同店が誇る名物店長。アイビーやプレッピーの伝道師として、接客やバイイング、オリジナルアイテムのデザインを手掛ける。豊富な知識、誠実な接客に加えて、店内に飾られた味わい深いスタイル画にもファンが多い。
No.1[25年愛用]プロッパーのBDUトラウザー
「紺ブレとのミスマッチな合わせも楽しい。僕のワードローブには欠かせない存在です」
PROPPER[プロッパー]
BDUトラウザー
かつて普段使いにちょうどいい軍パンを探している中で出合った、米軍や警察などのBDUを手掛ける名門で。「何本か持っているうちの一本は、穴を継ぎ当てして愛用中。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』に登場する子どもみたいで、ちょっと恥ずかしいんですが」
No.2[30年愛用]セントジェームスのウェッソン
「世に数あるボーダーシャツの中でも、いじりようがなく完成されています」
SAINT JAMES[セントジェームス]
ウェッソン
1984年のキャシディ開店当初から仕入れ続けている、同氏の信頼も厚い老舗ブランド。パープルっぽく見えるが、もともとのネイビーが30年かけてエイジングしたもの。「これまでいろんなブランドを着てきましたが、完成度でこれに勝るボーダーをほかに知りません」
No.3[20年愛用]エル・エル・ビーンのコンチネンタル・リュックサック
「“ヘビーデューティ”を体現する大好きなブランド。くたびれる度に何度も買い足してますね(笑)」
L.L.Bean[エル・エル・ビーン]
コンチネンタル・リュックサック
昔のハイキング用や山歩き用を彷彿させるクラシックなリュックは既に4代目に。「買い足す度にPCポケット追加されていたりと、時代に合わせて少しずつ進化していくところも好ましい。ショルダーストラップがずり落ちてくるのは撫で肩なので致し方ありません」
プロッパーのBDUトラウザー1万2100円(原宿キャシディ)
セントジェームスのウェッソン1万3200円(セント ジェームス代官山店)
エル・エル・ビーンのコンチネンタル・リュックサックが近しいモデル。1 万2100円(エル・エル・ビーン カスタマーサービスセンター)
手放しちゃってとほほ……
数回しか履かずにボロボロにしちゃった900番台のニューバランス
確かグレーの900番台。久しぶりに引っ張り出してみたら、加水分解したソールが街中でパカパカになっておシャカに。今の技術ならリペアできるのに、残念なことをしました。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。