特集・連載
社会問題にまで発展。「レア志向」だった平成6〜8年を振り返ります
平成を大総括~HEY! SAY! CHAMP! 「平成」直前の1988年に創刊したビギンの歴史=「平成」のオトコのブツ欲史そのもの!と言っても過言じゃありません。間もなく「令和」スタートで、気分も新たに……のその前に、平成が生んだあんなヒットやこんなヒットを大総括。アラウンド40世代のサブカルレジェンド、漫画家の渋谷直角さんにも参戦してもらい、思わず“懐っ”な各時代のチャンプを勝手に決定(笑)いたします! この記事は特集・連載「平成を大総括~HEY! SAY! CHAMP!」#03です。
社会問題にもなったレアもの志向の絶頂期!
バブル崩壊に加え、大震災や地下鉄サリン事件によって社会不安が広がった平成6年~8年。ただ、そんな世相はどこ吹く風、若者カルチャーは盛り上がりを見せます。
男子の世界ではソフトパンクやら中性的な男子=フェミ男やらが突如ブームになり、女子の世界では、コギャルやアムラーなど記憶に残るトレンドが生まれては消え……。
さらには、エヴィスなどのレプリカジーンズが隆盛を極め、RRLが本格上陸。ビームス、シップス、ユナイテッドアローズの3大セレクトショップが流行の発信源として強い影響力を持ったのもこの時期でした。
なかでもビギン読者が忘れられないのがM1300の復刻。現代と同じく即完売。復刻即完売伝説の幕開けとなりました。
レアもの志向も白熱し、Gショックのイルクジモデルやエアマックス95がブレイク。とんでもない価格で取引され、入手できれば、一躍学校のヒーローに(笑)。この時期は平成文化の醍醐味が詰まった3年間と言えるかもしれません
ビギンが選ぶ平成チャンプ!
ユーズド加工界の勝手にCHAMP!
RRL(平成6年)
Begin 1994年6月号
羨望の的になったアメカジの最高権威
ビギンは他に先駆けてNYのラルフ ローレン本店の横にあったRRLをリポート。ラルフ&リッキー・ローレン夫妻の古着コレクションにインスパイアされたウェアは迫真のユーズド加工やヴィンテージを踏襲したディテールが服好きたちを魅了。Tシャツ持ってるだけで鼻高々だったなぁ♪。
ジャパンデニム界の勝手にCHAMP!
エヴィス(平成6年)
海外でも話題に!
ヴィンテージが一番偉いという常識を覆した!
ジーンズ通の間で「ヴィンテージを超えた」といわれたエヴィス。旧式力織機で織られたデニムや天然のインディゴ染め、スコービル社製のリベットなど、そのこだわりは空前絶後。その品質は海外でも認められた。ヒップのペンキステッチは水戸黄門の印籠ばりにイバリが利いた。
流行発信界の勝手にCHAMP!
3大セレクトショップ(平成7年)
セレクトショップ文化を作り上げた御三家が台頭
街の流行発信源がブランドからセレクトショップにシフトし始めたのもこの時期。その元祖というべき3 店がビームス、シップス、UAだ。記事ではそれぞれのショップの歴史と特色を紹介。当時のスタイルが今なおブレてないあたりに各店の偉大さがうかがえる。
Begin 1995年8月号
復刻スニーカー界の勝手にCHAMP!
ニューバランス M1300(平成7年)
アンチ復刻派も唸った!オリジナルを徹底再現
スニーカー通の間ではかのラルフ・ローレン氏も愛したM1300の復刻が話題に。エンキャップ構造はもちろん、ロゴの位置や大きさといったディテールにもこだわった完全復刻モデルはスニーカーファンの垂涎の的になった。「M1300は復刻も入手困難」がジョーシキに。
腕時計界の勝手にCHAMP!
カシオ Gショック イルクジモデル(平成8年)
定価の約10倍が相場!? スーパープレミアムG
Gショックブームが盛り上がったこの時期、文字通りの伝説となったレアモデルが「第5回イルカ・クジラ国際会議」を記念した限定バージョン。液晶に現れるクジラと半透明カラーのケース&ベルトが特徴。人気絶頂期は定価の10倍近い価格がついていたというから驚き!
スニーカー界の勝手にCHAMP!
ナイキ エアマックス95(平成8年)
ニセモノまでプレミア価格がついていた(笑)
タイムマシンがあったら、当時に戻って全色まとめ買いしたいと思う人は少なくないはず(笑)。その人気はまさに熱狂的で、強盗まがいのエアマックス狩りまで発生。学校に履いていくにもロッカーに鍵は必須だった。広末涼子ちゃんが履いてたブルー、欲しかったなぁ。
渋谷直角さんが選ぶ平成チャンプ!
渋谷直角さん
【平成前期は青春ど真ん中世代】
平成元年は、コロコロ少年を卒業したばかりの13~14歳だった現43歳。本誌の連載『リバイバー竜』でもお馴染みの渋谷直角さんも参戦。ファッション&カルチャーからオカルトまで、平成前期(主に’90年代)にどっぷり浸った、平成サブカル界のレジェンド漫画家だ。
リストバンド界の勝手にCHAMP!
ミルクボーイ(平成6年)
腕には何か巻かなければ気がすまなかった
平成前期はスタイルにかかわらず、とりあえず腕に何かを巻くのがお洒落として定着。ソフトパンク流行期にはレザーリストバンドが主流に。「腕には必ず何かを巻かなきゃいけない強迫観念すらありました。パンク好きはミルクボーイ、特にスタッズ付きが定番でした」
レプリカデニム界の勝手にCHAMP!
ハリウッドランチマーケット 天然インディゴジーンズ(平成6年)
当時さまざまなレプリカデニムブランドが登場したが、なかでも特に「色落ちが凄い」と通の間で話題になったのが“ハリラン”の一本。「某誌の色落ち選手権みたいな企画でNo.1になっていたのを見て購入。赤耳が他のブランドよりも“赤々しい”のも高ポイントでした」
“耳”を見せるのがマナーの当時、この赤々しい耳がよかった
音楽界の勝手にCHAMP!
ビースティボーイズ(平成7年)
歳上なのに自由奔放、やんちゃなところがかっこよかった!
カーハートやベンデイビスなど真似して着るキッズ続出!
「何しろ憧れたのがビースティボーイズ。その自由奔放な振る舞い、年上なのにやんちゃなところが最高。さりげないカジュアルなファッションのすべてがカッコいいと思ってました」。古着のカバーオールやボタンダウンに、チノパン&アディダスのキャンパスが基本。
オールドスクールなスニーカー代表
デジタルウォッチ界の勝手にCHAMP!
カシオ データバンク(平成8年)
スゲーハイテクなんだぜ俺自慢しちゃってました(笑)
電話番号やスケジュール管理機能もついたデジタルウォッチ。「Gショックはみんな着けてるし……、ってトコでデータバンクを選ぶタイプ。機能とかほとんど使いこなせないくせに“スゲーハイテクなんだぜ!”ってアピールも。今思うとめっちゃカッコ悪いけど……」
デジタルペット界の勝手にCHAMP!
たまごっち(平成8年)
糞の掃除が滞ると病気になって死んじゃうことも
女子中高生を中心に、たまごっちを持つことが一種のステータスに。「小さかった妹のためにものすごく探して買った思い出。どこにも売ってなくて、デニーズのレジ横に手つかずで余ってる、みたいな穴場情報も流れたりして、しらみつぶしに当たったりしました(笑)」
全然買えなくって穴場情報を頼りにデニーズを巡りました
世の中の出来事
1994 平成6年
- ナリタブライアンが史上5頭目の三冠馬に
- 伝説のディスコジュリアナ東京閉店
- 作家・大江健三郎氏がノーベル文学賞受賞
- 流行語は『家なき子』の同情するなら金をくれ
- ソニーが家庭用ゲーム機プレイステーション発売
3DCGの革新的なグラフィックとゲーム体験にドキドキ
イノセント ワールド(ミスターチルドレン)
No.1ヒット映画
クリフハンガー
1995 平成7年
トルネード投法でメジャーに旋風。ノモマニアまで現る
- 野茂英雄投手が大リーグで新人王に
- マイクロソフトがウィンドウズ95を発売
- シャネラー&グッチャー現る
- 脱力系キャラの先駆けたれぱんだ誕生
- デジタルビデオカメラが初登場
- PHSサービスが開始される
- 新橋〜有明間にゆりかもめが開通
LOVE LOVE LOVE(ドリームズ・カム・トゥルー)
No.1ヒット映画
ダイ・ハード3
1996 平成8年
- アムラーの間でへそ出しルック流行
- 女子高生の間でルーズソックスが大流行
- アメリカでアトランタ五輪が開催
- dj hondaキャップがブームに
日本人DJの第一人者。イチロー選手が被り、この帽子に火がついた
名もなき詩(ミスター チルドレン)
No.1ヒット映画
ミッション:インポッシブル
※このページに掲載されているアイテムは、過去のビギン掲載商品やスタッフ私物です。ほとんど現在購入できませんのでご了承ください。
[ビギン2019年6月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。