北欧デザインとは……ずっと使いやすくて、ちょっぴり愛らしいもの

フィンランドの国民的食器「イッタラ」はなぜこんなに使いやすい?

ittala イッタラ ティーマのティーカップとプレート(15cm)

マリメッコからイノベーターまで一生使える“北欧デザイン大全”[フィンランド編]
国を超えて愛される北欧デザインとは何なのか? そこには使い手の姿を想像した緻密な計算と、人間味のある温かさがありました。これから先も使える、北欧デザイン名作を深掘りします!

自国の美的感性を早くから文化に昇華。アート×クラフト×産業の先進国「フィンランド」
 

フィンランド Finland

 
独自の出版物や貨幣の流通、美術・デザイン系学校の創設など、いち早くアイデンティティを作り上げ存在感をアピールしたフィンランド。多くのデザイナーも活躍している。

名ショップ「スコープ」に突撃取材
「あなたの家に“イッタラ”があったら……」

北欧の食器が使いやすいのはなぜ? てことで、北欧ブランドに精通し、現地デザイナーとも親交の深いネットショップ「スコープ」の代表、平井千里馬さんに解説してもらいました!

お話を聞いたのは……

「スコープ」代表 平井千里馬さん
「“シャチョウ”と呼ばれてマス」

「スコープ」代表 平井千里馬さん
1971年愛知県生まれ。1999年「スコープ」設立。同時に、同名のインテリア系ネットショップを開業。北欧デザインを熟知する人物。

【About】 IITTALA
1881年にフィンランド・イッタラ村のガラス工場から始まったライフスタイルブランド。ガラス製品から始まり、現在では陶磁器、ステンレス製品、布製品までラインナップ。

「色んな皿を組み合わせて使う感覚が日本の食器使いに近くて合うんです」ー 平井さん

ittala イッタラ ティーマのティーカップとプレート(15cm)
※食器の詳細を記事後半に紹介しています!

[Q.]北欧食器ってほかとなにが違うの?

イッタラとの取引が始まってから、しばしばフィンランドを訪れていますが、つくづく感じるのが国民性の素晴らしさ、とにかく物を捨てないお国柄なんです。ありとあらゆる物がフリーマーケットで売られていて、捨てられることなく誰かに使われる。そんな仕組みが出来上がっているんですね。

デザイナーもそう。少なくとも僕と付き合いのあるデザイナーは皆、物を大事にする。彼らはまずデザイン先行で物を作りません。使いやすいか、飽きないか、長く使えるか、それらを踏まえた上で、初めてデザインを組み立てている。生活者目線があるというのか、僕が尊敬する大巨匠オイバ・トイッカ先生なども本当に普通の生活をしていました。アパートに住み、皆と同じ2ユーロのコーヒーを飲み、自分の製品を普通に使い、どこがどう良いのか僕に説明してくれたものです。

北欧の食器はよくシンプルで美しいと言われますが、シンプルで美しいものを作ってやろうと意図されたものではなく、使いやすく、丈夫で飽きずに長く使えるものを目指した結果。そうした背景から生まれた食器が多いように感じます。

[Q.]「イッタラ」とはどんなブランド?

イッタラは、1881年にイッタラ村の小さなガラス工場で創業したライフスタイルブランド。ガラス製品から始まり、今では陶磁器やステンレス製品、布製品と幅広く展開しています。

ブランドの定番シリーズであり、フィンランドの国民的食器と言われているのが、フィンランドデザイン界の重鎮カイ・フランクがデザインした『ティーマ』という食器シリーズです。

洋食器といえば、同じシリーズで一式を揃えることが常識だった時代。カイ・フランクは「ディナーセットを破壊せよ」のスローガンの下、装飾の要素は色だけ。フルセット揃えなくても、好きな食器を好きなように組み合わせて使えばいいじゃないかと提案したんです。そうして誕生したのが、後にイッタラの人気シリーズ『ティーマ』へと発展する食器『キルタ」でした。

洋食器の概念を一新する試みでしたが、色や柄がバラバラの食器を同じ食卓で使うなんて、日本では当たり前。むしろベタ揃っている方が違和感です。つまり、そうした出自から生まれた『ティーマ」を組み合わせて使う感覚は、日本の食器使いに近くて、日本の生活に凄く合うんです。

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