特集・連載
“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「ヴィンテージ通が必ず目をつける微差こそ大差なディテールです」
10minutes VINTAGE ヴィンテージ=難しい? ノンノンノン♪ 通しか知らない名品も、目印を頼ればビギナーでも簡単に発掘できちゃうんです。その道のプロが、目指すべきターゲットと、その判別テクをサクッとレクチャー。10分後はあなたもヴィンテージ通! この記事は特集・連載「10minutes VINTAGE」#12です。
ウォッチポケット付きのマッキノー クルーザー
TEACHER:JAM 出品管理 藤村秀昭さん
誕生は1914年。もともとは森林や鉱山等の過酷な環境下で働くハードワーカーたちのために作られた、フィルソンのマッキノー クルーザー。ヘビーデューティを象徴する名品として、今ではアメカジ好きの鉄板アウターになってますが、ヴィンテージ市場においてもその人気は不動です。
ただ歴史の深〜いアイテムだけに、実は年代によって細かな仕様変更があり、より古く、よりアメリカを感じるお宝を求める通たちは、あるディテールに着目してその希少性を見極めてるんだそう。
藤村さん曰く、「注目すべきはズバリ、左下のポケットです。ここに小さなウォッチポケットが重ね付けされているかどうかが重要なポイント。’90年代までにしかないディテールといわれてるんですが、これがあるとないとでは雰囲気が全然違う! もちろんこのご時世、懐中時計なんて使わないんですけど(苦笑)。」
左身頃の左下に付くポケットに鎮座!!
「やっぱりワークを出自とするアイテムだからか、ポケットが重ねられてるほうがオリジンに近い感じがして断然味わい深いんですよね。モノ好きなら、こうゆう微差こそビビッときちゃうもんでしょ? ヴィンテージビギナーでもカンタンに見分けられるポイントなので、ぜひ古着屋さんでチェックしてみてください」
フィルソンのマッキノー クルーザー
超ヘビーオンスなウール地と、前後両面に複数備えられた多機能ポケットでお馴染みの名品は、アメリカの労働者たちから“森のタキシード”という愛称で親しまれている。
ヴィンテージ市場でも需要が途絶えない人気銘柄。こちらはウォッチポケット付きで、’50年代頃の希少なミントコンディション。2万5000円(古着屋JAM)
大差を生む小さなウォッチポケット
ワンランク上のお宝を手に入れたいなら……
ビーチクをCHECK!?
1世紀以上の歴史を誇る傑作だけに、通が血眼になってハントするスペシャルヴィンテージも存在。ここではその見極め方を伝授!
より古い年代のお宝を見定める場合、通はスナップボタンに注目。留め具の受けが突起している“乳首ボタン”は’60年代頃まで存在した古の意匠とされる。さらに、“FIL・CLO”と記されたタグが付いたモデルは’30年代頃までしか存在しない超希少品だ。6万円(サファリ1号店)
①スナップボタンの受けが突起した通称“乳首ボタン”
刻印ではなくプリントが古さの証
②’30年代頃まで使われていた“フィルクロ”タグ
ダブル マッキノー クルーザーもウォッチポケットをlook!
シングル同様、左下のポケットにオン!
ケープフロント仕立てのダブルマッキノーも、レアものの見極め方はシングルと同じ。左下のポケットに付いたウォッチポケットは、現行モデルには見られない通好みのディテールだ。1万4900円(古着屋JAM)
JAM 出品管理
藤村秀昭さん
大阪と京都に計7店舗を構える人気古着店のキーマン。あらゆる分野のヴィンテージに精通しており、商品の値付けも担当している。
[ビギン2020年3月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人