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服飾べしゃり力が身につく[小林学の小噺学]

オーベルジュ・小林さんが伝授!ジーンズをかっこよく育てる究極のメソッド

服好き同士のしゃべり場で日夜繰り広げられる服飾トーク。知らなくても生きていけるネタを披露し合う瞬間こそ、服好きには至福のジ・カ・ン。ということで、業界屈指の服飾べしゃり力で洒落者を引き込むオーベルジュの小林さんを指南役に迎え、即話したくなる小噺をレッツ・スタディ♪

Profile
オーベルジュ デザイナー 小林 学さん

オーベルジュ デザイナー

小林 学さん

服飾漫談師

1966年生まれ。ヴィンテージにモードにフレンチと守備範囲は宇宙。べしゃり力も業界随一で、自身のYouTubeチャンネルでも服好き垂涎の小噺を軽快に繰り広げる、服飾亭の止め名。ちなみに題字は愛娘の小林凛さん著!

《ジーンズの洗濯における極私的選択肢》
「赤ちゃんのために使う中性洗剤で洗いお湯がうす〜い麦茶色になったら……」

ジーンズの洗濯における極私的選択肢

洗うのをためらってしまうほどの超絶ヴィンテージも、臆せず洗うのが小林流。独自考案のベビーソープ洗濯法で育て上げた結果、見事な美色に!

どうすればジーンズをかっこよく育てられるのか。今月はこの究極の問いに対する、超私的アンサーを発表したいと思います!

そもそも“いい色落ち”とされるのは、デニムに濃淡がハッキリついた、いわゆる“ヒゲ”や“ハチノス”といったアタリが出た状態。原綿の種類や糸の撚り方、染色方法、生地を右綾で織るのか、左綾で織るのかによっても色の落ち方は変わってきてしまうんですが、いずれにしろ、そのアタリをできるだけ雄々しく、美しく出したいなら、どんなデニム生地のジーンズだろうが、『まずは頑張って穿き込む!』というのが大前提になります。

そのうえでどんな子に育っていくのか、大きく左右する過程が“洗濯”です。これにはさまざまな派閥あり。“水洗いオンリー”って人がいたり、反対に“洗剤を使ってガンガン洗う”って人がいたり、最近じゃ“一度洗って縮めた後にまた糊付けする”なんて流派もバズッてたり。

とにかく絶対的な正解はない状態なんですが、約半世紀近くデニムを偏愛し、色々な洗濯方を試しまくってきた身として、その最終回答を導き出します! 

ってことで結論。中性のベビーソープに浸すべし! そもそも手塩に掛けて穿き倒したジーンズを洗濯する目的は、“色はできるだけ残しながら不快感だけ取り除くため”って人がほとんどなはず。これを最も精度高く実現するために編み出したのがこの方法なんですが、やり方はイージー。

洗面台にぬるま湯を張って、ほんのり白濁するまでベビーソープを入れたら、ジーンズを裏返して沈め、浮かんではまた沈めてを繰り返すだけ。すると水が徐々に薄〜い麦茶のような色合いに変わってくるので、あとはシャワーで流し、バスタオルを両足に一本ずつ入れて陰干しするのみ。乾くのに時間がかかりすぎるのがいやって場合は、シャワー後に洗濯機で弱脱水してもOKです。

この方法で育てたリーバイスの片面タブの501XXをご覧あれ。極上のヒゲに惚れ惚れするでしょ? もちろん嫌なニオイも不快感もしっかり除去済み。ちなみに浸した水が麦茶色から緑色がかってきたら、染料まで落ちてしまってるサインなので、即水上げするのが鉄則。皆さんもぜひお試しあれ。

はみだし用語解説
 

極上のヒゲ

❶極上のヒゲ
着用時に生じる摩擦だけで色落ちさせるのが極上のヒゲを生む秘訣。だからこそ汚れは取るけど染料は残すベビーソープ洗濯法が最適なのだ。万一落ち切らず残ってしまっても、生地に悪影響がないのも安心安全。
 

片面タブ

❷片面タブ
革パッチと片面にしかブランドロゴの刺しゅうが施されていない、通称“片面タブ”が採用された、戦後間もない時期のリーバイス 501XXは、1988年にパリの蚤の市で、なんとわずか約1400円程度で購入したそう!

 
※表示価格は税込み


[ビギン2025年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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