特集・連載
“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「定番色“ジェダイ”の陰で3年間のみ存在したターコイズブルーは即買い!!」
10minutes VINTAGE ヴィンテージ=難しい? ノンノンノン♪ 通しか知らない名品も、目印を頼ればビギナーでも簡単に発掘できちゃうんです。その道のプロが、目指すべきターゲットと、その判別テクをサクッとレクチャー。10分後はあなたもヴィンテージ通! この記事は特集・連載「10minutes VINTAGE」#05です。
ターコイズブルーのファイヤーキング
TEACHER:ディーラーシップ代表 井川雄太さん
2004年に東京・高円寺にオープンしたヴィンテージ・ミルクガラス食器専門店のボス。ファイヤーキングに関する知識も博士級だ。
ファイヤーキングは1905年に米国オハイオ州で創業したアンカーホッキング社が、1941~1986年に展開していたキッチンウェアブランド。丈夫なミルクガラス製品が十八番で、古きよきアメリカを感じさせる美色に魅せられるコレクターは山ほど存在。長らくヴィンテージ食器の王様として君臨しています。
ビギナーでも“ジェダイ”と呼ばれる、ここの柔和なグリーンカラーの食器類を一度は目にしたことがあるはず。ですが、井川さんいわく「実はここにはジェダイよりも激レアな“ターコイズブルー”という色が存在してるんです。この色はなんと1956〜’58年のわずか3年間しか製造されなかった幻の色! 数あるカラバリのなかでも、通の間ではトップレベルで人気の高い色なんです」。
ヴィンテージ市場では常に枯渇状態というこのレア色ファイヤーキングは、今後ますます希少価値が高まっていく可能性大。
「ジェダイに比べてもともとタマ数は少なかったんですが、ここ10年くらいの間で流通数はさらに激減。うちの店では毎月1000個近いファイヤーキング製品が入荷するなか、最近では月に数個入荷するかどうか。当然新たに作られることはなく流通数は減る一方なので、見つけた人は超幸運! 迷わず即買い!しなければ、もう二度とお目にかかれないかもしれませんよ」
ファイヤーキングのDハンドルマグ ターコイズブルー
同ブランドの数ある食器類のなか最も著名で人気の高い形が、この“8オンス コーヒーマグ”、通称「Dハンドルマグ」。そのターコイズカラーとなるとレア度は激高。井川さんのお店で取り扱うこちらのマグは状態がいいためオーバー1万円だが、コンディションによってはU-1万円で購入可能。1万3800円(ディーラーシップ)
USA製を示すアガる刻印入り♡
[ウラの刻印で一目瞭然]
代名詞“ジェダイ”の時代変遷をCHECK
実は最定番の“Dハンドルマグ”は年代ごとに仕様変更があり、およそ3種類に大別される。王道“ジェダイ”のDハンドルマグの底面で、レア度を見極める術を伝授。
【1940年代初期】
底面に刻印のない「プレーンフィルビー」
ジェダイの最初期のDハンドルマグは“プレーンフィルビー”と呼ばれる。底面が平らで刻印されていないのが特徴で、当然3種中では最もレア。3万5800円(ディーラーシップ)
【1940年代〜1950年代初頭】
底面が平らで刻印入りの「シェービング」
中期のDハンドルマグは“シェービング”と呼ばれる。初期と同様に底面が平らで、ブランド名や“OVEN”、“GLASS”の文字が刻印されている。8480円(ディーラーシップ)
【1950年代中期〜1960年代中期】
底面に凹凸があって刻印入りの「レギュラー」
最後期の通称は“レギュラー”。“GLASS”から “WARE”に刻印が変わり、“MADE IN U.S.A.”の表記も追加。底面に凹凸があるのも特徴だ。7480円(ディーラーシップ)
柄入りの「フィルビー」は世界遺産級!!
味のあるフィルビー柄入りはとにかく希少!
最もレアなのが最初期に作られた通称 “フィルビー”。同社の工員のフィルビーさんが考案した柄が、呼び名の由来とされる。10万9800円(ディーラーシップ)
ディーラーシップ代表
井川雄太さん
2004年に東京・高円寺にオープンしたヴィンテージ・ミルクガラス食器専門店のボス。ファイヤーキングに関する知識も博士級だ。
[ビギン2019年9月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人