特集・連載
“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「“16ボタン”のつくリーバイスは素材も作りもルールを逸脱」
LEVI'S この記事は特集・連載「LEVI’S」#11です。
16ボタンリーバイス
TEACHER:ベルベルシン ディレクター 藤原 裕氏
数あるヴィンテージの中で最も人気が高く、世界中にコレクターを輩出しているリーバイスジーンズ。年代物ならウン百万円の値がつくこともザラだが、実はリアルに手が届く価格帯でも通から羨望の眼差しを向けられる逸品が存在しています。
それがフロントボタン裏に“16”の数字が刻まれた、通称“16ボタン”。「リーバイス製品は、フロントボタン裏に製造を担当した工場の番号を付けているという説が有力。恐らく16ボタンも、ある米国工場で作られた製品にだけ付けられたものなのでしょう」。
では一体なぜこの16ボタンが通から賞賛されているのでしょうか。
「例外もありますが、最大の理由は“16ボタン”が同年代に作られたリーバイス製品と仕様が異なっているということです。ヴィンテージ市場に流通している “16ボタン”は、大抵’70年代中頃に作られているんですが、なぜか’60年代以前に採用されていた生地や綿製の縫製糸などが使われている個体が多い。 だから “16ボタン”は“縦落ち”と呼ばれる、古い年代のデニム地にしか見られない、味わい深い色落ちをしているものが多いんです」。
「しかもタマ数も圧倒的に少ない! 同年代のリーバイスジーンズが数十本あるうち、一本見つけられるかどうか……。にもかかわらず70年代中頃と、比較的新しい年代に作られた製品が多くユーズドなら5万円前後もあり、手頃なんです。もし見かけたら迷わず是非!」
リーバイスの“16ボタン”501
数えるほどしか現存していない、超希少なデッドストック“16ボタン”! 品番は501の通称“66(ロクロク)”モデル。25万8000円(フェイクα)
※↑はデッドストックなのに加えてW33×L36というゴールデンサイズのため値は張るが、ユーズドの“16ボタン”なら、状態次第では5万円前後で購入することも可能だ!(ベルベルシン)
フロントボタンの裏を見よ!
’70年代の製品は“6”が刻まれていることが多い
“16ボタン”の生地は総じて縦落ちが美しい!
品質表示タグにも“16”の数字が!
内側のタグの下段に記された数字は右から“工場番号”、“作られた年”、“作られた月”を示すと言われている。写真は’75年5月生まれということ。覚えとけば誕生日デニムを見つけられるかも?
ベルベルジン ディレクター
藤原 裕さん
古着界では知らない人がいないレジェンド。深遠な知識をもとにヴィンテージデニムアドバイザーとしても精力的に活動している。
[ビギン2019年5月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人