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アウトドアのプロに聞く「難燃ってナニがいいねん?」&おすすめ難燃アウター7選
超アウターブランド大研究 最先端スペックを搭載した超機能派から一生着られる永久不滅の超クラシック、思わず値札二度見の超コスパな一着まで、“超”一流のアウターばかりを100ブランドから厳選して徹底研究。これさえあれば、もうアウター選びで悩まない、疲れない、オロオロしない。なんせ物価高でイヤになっちゃうよ……な冬ですからね、一番大事なアウター選びは絶対に失敗させません! この記事は特集・連載「超アウターブランド大研究」#26です。
近頃、冬のキャンプシーンで熱~い存在となっている難燃素材のアウター。主なメリットは焚き火の火の粉で生地が燃えにくい点にあるのですが、今ではそれ以上に価値ある一着を人気ブランドが手掛けているそう。そこでアウトドアのプロのお二人に、難燃アウターのリアルなよさを、焚き火を囲みながら語ってもらいました。
焚き火マイスター
猪野正哉さん
2010年代の中頃から、実家の敷地内にある雑木林を整備し、プライベートな焚き火サイト「たき火ヴィレッジ〈いの〉」を開設。周囲から焚き火マイスターと呼ばれるようになり、まさに現在の焚き火人気を牽引&火を灯したお方。著書に『焚き火の本』、『焚き火と道具』がある。
アウトドア
スタイリスト
近澤一雅さん
スタイリストとして活動し、20代後半からアウトドアに傾倒。今ではアウトドアのスペシャリストとして知られ、ファッション誌や広告、さまざまなメディアで活躍している。根っからのクラシカルなアメカジ、モノ好きで、ウェアやギアについても博識。座右の銘は「代打八木」。
〈火の粉を気にせず焚き火やバーベキューを楽しめる〉
難燃とは、ウェアやギアに使われる燃えにくい素材のこと。例えばナイロンシェルのダウンは、焚き火の火の粉が付着すると簡単に穴が開く。そうした心配を気にせず、焚き火やBBQを楽しめるのが難燃素材だ。ただし燃えないわけではないので、過信は禁物。
今や冬キャンプには欠かせない難燃(ナンネン)ってナニがいいねん?
左/近澤さん着用:ナンガ 右/猪野さん着用:カリマー
燃えにくさだけなら天然素材が◎だけど……
近澤さん(以下、敬称略) 今日は猪野さんの「たき火ヴィレッジ〈いの〉」で、焚き火しながら難燃アウターのナニがいいねん?ですか(笑)。最高のロケーションですね。
猪野さん(以下、敬称略) ありがとう。近澤さんとはよくここで焚き火してるし、早速火をおこしてるし。もう手慣れたもんだよね(笑)。
近澤 そうっすか!? 猪野さんに言われると嬉しいっすね。
猪野 でも最近、難燃アウターってよく目にするよね。
近澤 そうですよね。いつ頃から出てきましたっけ?
猪野 僕の記憶だと、2010年代の中頃にヘリーハンセン、モンベルから出始めたような……。
近澤 なるほど。するとのタキビダウンが出たのが16年だから、だいたい2010年代中頃から増え始めたんでしょうね。
猪野 そうかもね。ナンガのタキビで一気に人気に火がついたのかもしれない。ヘリーハンセンは昔から技術開発や、やってることが早すぎて、世が追いつけてないイメージがあるんだよね。
近澤 そうですよね。ちなみにナンガのタキビって、ナンガの社長、横田さんが某アウトドアブランドの方と焚き火を囲んでて、「火の粉が降ってきても燃えない、暖かいダウンがあったらいいよね」という話をされたことが、商品開発のスタートだったらしいんですよ。猪野さんは焚き火をしていて、そういうニーズや煩悩みたいなこと、考えたりしてました?
猪野 燃えにくさを考慮するなら、おれはレザーのライダースでいいかなと思ってた。
近澤 ああ、まず燃えないですもんね。昔はよく、いい革であることを自慢するために、ライターで焙ったりしてましたよね(笑)。
猪野 やってた(笑)。まあ、でも防寒を考えると、もっと温かいアウターがいいよね。
近澤 秋くらいまでならいいですけどね。焚き火にライダースってのもカッコいいし。僕はちょっと前まではコットンのダックが最強だと思ってた。あとはフィルソンのマッキーノのようなウール。猪野さんのライダースもそうですけど、タフさ、難燃性を求めるなら天然素材こそが最強だって。
猪野 そうなんだよね。でもね、快適さを求めると、ちょっと変わってくるんだよね。近頃の他のキャンプギアと同じで。最近は扱いやすい焚き火台も人気だけど、ひと昔前は焚き火台すらなくてもよかったんだから。それに焚き火するにも、火の粉が舞いにくいような焚き火をすればいいだけだし。
近澤 えっ、やっぱりそうしたテクってあるんですか?
猪野 湿ってない、乾燥した薪や木を使うこと。焚き火する際は風上にいるとか。まずはそういう基本を押さえることも大事かもね。
猪野さん「難燃もいいけど焚き火の基本を押さえるのも大事」
近澤 たしかにそうですよね。
猪野 ただ最近の難燃アウターって、燃えにくい点以外のメリットが大きいよね?
近澤 おっしゃる通りですね。さっき僕が話した、ダックやウールのウェアと違うのは、軽さとしなやかさ。難燃アウターは基本、燃えにくい化繊のシェルを使っているので、軽さが圧倒的に違います。
猪野 それに今回、狙い目としてピックアップしたアイテムもそうなんだけど、ダウンやインサレーション入りで暖かい。つまり冬キャンプの焚き火に相応しい。
近澤 そうですね。焚き火を囲んでも前方は暖かいけど、背中が寒いなんてことがあるので、暖かいインサレーションは助かりますね。お尻が出てると冷えるから、すっぽり覆える丈も快適ですね。
近澤さん「燃えにくいこと以外のメリットも大きいんですよね」
猪野 あとは最近だとデザインだよね。いくらキャンプに行くって人でも多くて月2、3回でしょ? それだけのため買うにはコスパがよくない。どうせなら街使いもできるアウターがいいじゃない?
近澤 そうそう。その点、最近は街でカジュアルに合わせられるデザインの難燃アウターが増えている。そこも見所。冬はこれ一着買っちゃえば、タウンユースもキャンプもOKって気楽ですよね。
猪野 何気に懐事情も炎上しにくい、アウターってわけね(笑)。
近澤 言われてみれば、そういうメリットもあるのかも(笑)。
猪野 じゃあ実際に、僕らが選んだ今シーズンのオススメの一品を紹介していってみようか?
近澤 そうしましょう! いろいろいいモノがありましたからね~。
左から/ジーアールエヌ アウトドア、マーモット、ザ・ノース・フェイス、スノーピーク、グリップスワニー