1995年、インポートショップなどと形容されていたセンスのいいショップ群に、「セレクトショップ」なる呼称が定着(一説にはビギンが呼び始めたとの説も!?)。オーセンティックな傑作モノから話題のニューブランドまでが網羅した品揃えで名を挙げた、御三家の一つ「ユナイテッドアローズ」の重鎮が考える、エポックメイキングな傑作を伺いました!
「創業時から店頭に並び続ける、ユナイテッドアローズの羅針盤となる3ブランドです」
上級顧問 クリエイティブディレクション担当 栗野宏文さん
ユナイテッドアローズ立ち上げメンバーの1人であり、販売促進やクリエイティブディレクター職を経て今日に至る。海外服飾業界とのパイプも太く、英国王立美術学院の名誉フェローやLVMHプライズ外部審査員としての顔も併せ持つ。
ユナイテッドアローズ創業時に掲げたのが“進化する老舗”というコンセプト。ブームを狙いすぎると、一時もてはやされたとしても、いずれ消費されて廃れてしまいます。
派手な打ち出しはせずとも、しっかりと目利きして提供すれば、無名だろうが必ず通用し、定着する。そのスタンスはブラさないようにしていて、だからこそ今日まで店を続けられているように思います。
今回選んだ3点ともまさにそんな存在。何十年後であってもユナイテッドアローズの店頭に置いてあると確信しています。
元ビームスのスタッフらの手により、よりライフスタイル型のショップをと神宮前に1号店を開店。株式を上場するなど、御三家のなかでも比較的先鋭的な挑戦が多いことでも知られる。
[1]ALDEN オールデンの990
「パリの石畳を全力疾走できる唯一の革靴です」
「ユナイテッドアローズ専用の「トムラスト」を作ってもらったりして、外せないブランド。とくに990は履き心地に加え、どこから見てもホレボレする完成度で、カジュアルにもドレスにも合わせられる逸品。かつてパリで暴漢に襲われかけて逃げたとき、これを履いていました。パリの石畳を全力疾走できる唯一の革靴じゃないですか(笑)。」
[2]WHITEHOUSE COX ホワイトハウスコックスの2トーンウォレット
「海外からの顧客にも評判のクオリティでした」
各4万6200円(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)
「出会いはビームス時代、有名ブランドのOEMを手掛けていながら当時は無名のいちファクトリーでした。堅牢なブライドルレザーに縫製やコバ磨きの丁寧さ、長く使うことが前提のモノ作りに感銘を受け、創業以来の定番品です。」
[3]NEW BALANCE ニューバランスのM990
「黒スーツのハズシに履いてそこからほぼニューバランス一筋です」
「仕事柄、たくさん歩いていろいろなものを見るようにしています。そんなときはやっぱりスニーカー。990独特のぽってりしたフォルムは時代が進んでも変わらず「不変の美学」を感じます。今後も残り続ける傑作ですね。」
※表示価格は税込み
[ビギン2022年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。