特集・連載
そもそも傘は“雨具”ではなかった? – 「傘」の教科書
定番の教科書 ネイビージャケットやB.D.シャツ、チノパンといったお馴染みの服はもちろん、スニーカーやデイパに代表される靴、鞄、さらにはスポーツカーや食べ物まで、どのカテゴリにも、いつの時代も変わらない「定番モノ」が存在します。いまもなお、定番が定番たる所以とは? 歴史、ウンチク、名作から今買える新傑作まで、世の定番モノをじっくりわかりやすく解説します。 この記事は特集・連載「定番の教科書」#03です。
HISTORY
今の季節になると、誰もが必ず使うことになる傘。その傘が、じつは"雨具"として使われ出したのはその歴史から見ると、意外に浅いのをご存じでしょうか? 今回は傘を正しく選び、使うためのコツをお教えしましょう。
傘が雨傘として使われ始めたのは、18世紀イギリスでのこと。傘の基本形は、ステッキ代わりの〝見せ傘〞に由来する。
定番アイテムの基礎知識
雨具
【傘】
雨に直接さらされぬよう、頭上に広げてさしかざす道具。
長傘と折りたたみ傘に大別できる
そもそも傘は、最初"雨具"ではなかった。古代アッシリアの王が傘をさしかけられた絵画があるように、支配紀以降はヨーロッパの貴婦人の日傘として使われていたが、1750年頃、旅行家ジョナス・ハンウェイが初めて雨のロンドンで傘をさし、雨傘としての歴史が始まる。その後、雨傘を飛躍的に広めたのが「フォックス・アンブレラズ社」。彼らが"U字型の溝骨"を発明したことで世界に傘が普及され、「傘=雨傘」の認識が広まっていったのだ。
日本でも明治以降、こうした洋傘が普及。それらは頭上に掲げる、すなわち"こうむる"道具であることと、コウモリの姿に似ていることから「こうもり傘」と呼ばれた。
現在は、傘がコンビニでさえも買える時代。傘で権威を示した古代の王が知ったら、ビックリするでしょうね。