特集・連載
ルーツは負傷兵のための防寒着!? -「カーディガン」の教科書
定番の教科書 ネイビージャケットやB.D.シャツ、チノパンといったお馴染みの服はもちろん、スニーカーやデイパに代表される靴、鞄、さらにはスポーツカーや食べ物まで、どのカテゴリにも、いつの時代も変わらない「定番モノ」が存在します。いまもなお、定番が定番たる所以とは? 歴史、ウンチク、名作から今買える新傑作まで、世の定番モノをじっくりわかりやすく解説します。 この記事は特集・連載「定番の教科書」#24です。
HISTORY
自宅のワードローブのなかにカーディガンが一着もないなんて人はきっといないはず! アウターにしたりミッドレイヤーにしたりして、一年の大半を一緒に過ごすほど、身近な存在でありながら誕生の経緯さえあまり知られていません。そこで、ベーシックであるがゆえについ見逃しがちなカーディガンの実力とその歴史を探ってみましょう。
セーターの前をハサミでチョキチョキと切り開けば、ハイできあがり! カーディガンの誕生なんて、ひょっとするとこんな感じだったのかもしれません。でも、ここでひとつ疑問が。いったいどうして切り開く必要があったのか? そこには深い理由があったんです!
“負傷兵が着やすい防寒着”
それがカーディガンの起源だ
定番アイテムの基礎知識
服
【カーディガン】
●前開きのセーターのこと。
●デザインはボタンフロントのVネックが多数派。
17世紀にイギリス、あるいはフランスの漁師が考案した前開きのセーターが起源といわれている。
もっとも、現代のカーディガンに直接繋がるルーツとしては、19世紀半ばイギリスで誕生したとする説が有力だ。それによれば、カーディガンという名称は1853年に始まるクリミア戦争において、英国軽騎兵旅団長として戦い、勇猛ながらも無謀な突撃で多数の兵士を死傷させた第7代カーディガン伯爵、”ジェイムズ・ブルデネル”が考案したことに由来する。
彼は当時よく着用されていたベストをヒントに、兵士たちが重ね着していたセーターの前を切り開き、ボタン留めにすることで防寒性を犠牲にすることなく負傷した兵士でも脱ぎ着しやすいニットウェアを考案したとされている。後にこれがカーディガンという名称とともに、一般市民の間にも広く普及していったというのだ。
写真/大嶽恵一 文/星野勘太郎 スタイリング/四方章敬(CODE)
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