特集・連載
日本からブラジルへ! 復活を遂げた人類最古の履き物 – 「サンダル」の教科書
定番の教科書 ネイビージャケットやB.D.シャツ、チノパンといったお馴染みの服はもちろん、スニーカーやデイパに代表される靴、鞄、さらにはスポーツカーや食べ物まで、どのカテゴリにも、いつの時代も変わらない「定番モノ」が存在します。いまもなお、定番が定番たる所以とは? 歴史、ウンチク、名作から今買える新傑作まで、世の定番モノをじっくりわかりやすく解説します。 この記事は特集・連載「定番の教科書」#13です。
HISTORY
紐やベルトによって、ソールを甲に固定。考えられうる限り最も簡易的な履き物であるサンダルは、太古の時代から人類の足を支えてきた。しかし、大きな飛躍を遂げたのは戦後である。日本で生まれたビーチサンダルが、かつてなく手頃で気軽な履き物として、新しい境地を拓いたのだ。
サンダルはその後も、より優れた機能を求めて進化を続ける。世界のさまざまな出来事を覗き見ながら、歴史を紐解こう。
1952年、世界初のビーチサンダルである“ビーチウォーク”が兵庫県の内外ゴムによって作られる。当時の工場は周囲を畑に囲まれた簡素なものだった。写真上のサンダルは初代モデルで、現在も変わらず作り続けられている(海外にて販売)。
定番アイテムの基礎知識
履き物
【サンダル】
●甲部を紐やベルトで覆う履き物。
●紀元前の時代から履かれ、とりわけ日本では独自の発展を遂げた。
あまりにも古くから人類の足を支えてきただけに、サンダルの源流は判明していないが、文明が誕生する前から履かれていたことは確かだ。樹皮、草、皮革に布。時代時代の最も身近にある素材でサンダルは作られ、さまざまな地域で独自の発展を遂げた。なかでもユニークなサンダル文化を形成したのが、日本である。今も、和装において最もフォーマルな履き物といえば草履。明治以前は他にも、雨の日や用を足す際に用いる高下駄や、草表の草履の裏に革を貼って耐久性や耐水性を高めた雪駄など、多種多様なサンダルが日常的に用いられていた。さて、その日本において戦後、サンダル革命が起こる。クッション性に優れるゴム製のビーチサンダルが発明され、レジャーに最適な履き物として米国へ輸出されたのだ。モチーフはもちろん「草履」であった。
写真/大嶽恵一 文/秦 大輔 スタイリング/四方章敬(CODE) イラスト/菊池秀史 写真・取材協力/内外ゴム ビルケンシュトックジャパン
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