特集・連載
鴨ネギなマッキーの油性マーカー【文房具グルメvol.3】
文房具マニア・ヨシムラマリの文房具(グ)ルメ 国内外のブランドがひしめき、文房具大国といわれる我が日本。高級品が威厳を放つ一方で数百円の筆記具がイノベーションを起こすなど、貴賤上下の別のない世界はラーメン店がミシュランの星を獲得するニッポングルメと相似関係にあり。というワケで、文房グルマンのイラストレーター、ヨシムラマリ氏がその日の気分とお腹のすき具合でさまざまな文房具を食リポしちゃいます。描き下ろしイラストとともにご賞味あそばせ! この記事は特集・連載「文房具マニア・ヨシムラマリの文房具(グ)ルメ」#03です。
引っ越しするなら
ゼブラのマッキーワーク!?
「鴨が葱を背負って来る」ということわざがある。
鴨鍋には葱が欠かせないが、すぐに鍋がつくれるように、当の鴨が自分で葱まで背負って来てくれるなんて、実に好都合。好都合すぎて、人に対して使われる場合は「お人好し」、もっとラフにいえば「チョロい」というニュアンスで、決して誉め言葉ではない(間違っても、取引先や目上の人に対して、「鴨が葱を背負って来たようなお話、ありがとうございます」などと言ってはいけない)。
だが、人間と違って、文房具が「チョロい」のはイイコトだ。ゼブラの「マッキーワーク」は、まさに「鴨葱」という誉め言葉が相応しい文房具である。
「マッキー」といえば、誰もが知る油性マーカーだ。紙はもちろん、布や木材、ダンボール、ガラス、プラスチック、金属にもクッキリハッキリと書ける。仕事や学校で使われることが多いと思うが、家庭でもめちゃくちゃ活躍するときがある。この時期に多い、「引っ越し」だ。
引っ越しではまず、荷物を箱詰めしなければならない。ダンボール箱は外からでは見分けがつかないので、内容物や引っ越し先で運び込む部屋を、側面に書き込んでおく必要がある。そこで活躍するのが、ダンボールにもかすれずしっかり書ける「マッキー」だ。
だが、引っ越しは詰めて運んで終わりではない。荷解きという、後半戦が待っている。あんなに一生懸命に梱包したのに、今度はその箱を全部開けないといけないなんて……。でも、もしあなたが引っ越しに使ったのが「マッキーワーク」だったなら、その憂鬱が少し軽くなるかもしれない。何しろ「マッキーワーク」は「開梱オープナー」付き。「書く」と「開ける」がひとつになった「マッキー」だからだ。
「マッキーワーク」のオープナーは黄色いプラスチック製。カッターナイフ等よりもケガにつながりにくく、開梱時に中身を傷つける心配もないので安全だ。
考えてみれば、荷物を箱詰めするということは、その後に必ず「開ける」という行為が待っているわけで、梱包と開梱の両方で活躍する「マッキーワーク」はまさに「鴨葱文具」といえるだろう。
かくいう私も、もうすぐ引っ越しをする予定。何はなくとも!とさっそく「マッキーワーク」を買ってきた。ところで、いくら鴨が葱を背負って来てくれても、鴨鍋を料理するのは自分なのよね。文房具はどんなに便利になったとしても、それはあくまで自分の頑張りを助けてくれるものであって、一番頑張らなければいけないのは自分、というのは変わらないのでしたとさ。さーて引っ越し、頑張るぞ……!
180円
https://www.zebra.co.jp/pro/mackeework/index.html
※表示価格は税抜き
ヨシムラマリ
神奈川県出身。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。現在は会社員として働くかたわら、イラスト制作や執筆を手掛けている。著書に『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)。