特集・連載
所変わればモデルも変わる。世界マニアックなアンティーク腕時計7選
腕時計オモシロ用語図鑑 「イチロクハチゼロのカドがバリバリのやつを見つけて~」「ヨンケタ品番でその値段はお得だね~」……じつは、これ全部ヴィンテージ時計用語なんです。すし屋の符牒のごとく、その由来や意味は深いモノ。そこでロレックスを中心に簡単解! これでアナタも通になれる!? この記事は特集・連載「腕時計オモシロ用語図鑑」#05です。
国によって文化は違えど、アンティーク時計を愛する気持ちは万国共通! それを如実に物語ってるのが、地名や各地の名産品がそのまま愛称になってる珍品たち。世界各地に散らばっているマニアックなモデルを把握しておけば、もう立派なアンティーク時計通ですよ。
ベトナム
「ベトナムウォッチ」
24時計が特徴のひとつ
【該当モデル】ハミルトン
米国の名門は’60~’70年代に米軍に腕時計を納入していたことから軍モノ好きからも人気。
ベトナム戦争時に米軍に納入されていた時計は、そのまま“ベトナムウォッチ”という愛称で呼ばれ、通の間で長らく人気。
数々のメーカーがサプライヤーを務めていましたが、とくに有名なのはハミルトンで、同社の軍用時計の飾り気のない風貌は服好きからも愛されています。
アラブ首長国連邦(UAE)
「中東モデル」
【該当モデル】デイトジャスト
もっとも有名なのが、アラブ首長国連邦がワシで模った国章を文字盤に配した変わり種。
中央にUAEの国旗
UAEにオマーンにアブダビ……いわゆる中東の列強国がロレックスへ特注したアイテムを、まとめて“中東モデル”と呼ぶんですが、これがまたどれも味付けが個性的すぎ(苦笑)。
国旗をデーン!と文字盤に鎮座させるなど、パンチの利いたデザインで市場でも異彩を放ってます。
エジプト
「ピラミッベゼル」
ピラミッド文字盤も
【該当モデル】デイトジャスト
デイトジャストはバリエがもっとも豊富。なかにはピラミッド状に陰影のついた文字盤も。
ベゼルの形がピラミッド型から由来
角張った凹凸が連なっている姿が、まるでピラミッドのように見えることから名付けられた“ピラミッドベゼル”。
ただでさえドレッシーなデイトジャストが、よりきらびやかに見える仕様として、通には馴染み深い存在。市場から姿を消すことなく愛され続けています。
旧西ドイツ
「西ドイツ軍仕様」
【該当モデル】IWC オーシャン2000
ポルシェデザインとの共作で誕生した名品。チタンケース&2000m防水の怪物スペック。
まだドイツが東西に分かれていた1982年、西ドイツ軍から200mの防水時計を依頼されて誕生したのが、その10倍の防水性能を誇る“オーシャン2000”。
当時としては画期的だったチタンケースや、オレンジ針など、マニア心をくすぐる個性派仕様がテンコ盛りされていた。
イタリア
「タコシード」
【該当モデル】シードゥエラー
2008年に誕生した激レアロレックス。付属する海軍からの証明書もマニア心をくすぐる。
タコマーク
イタリア警察のダイバーチームが創立50周年を記念し、ロレックスへカスタムを依頼。
愛らしいタコ印と、限定78本という極少ロットがマニアの間で話題を呼び、2010年にはクリスティーズのオークションで、約700万円近い値で落札され、名実ともに世界一高値のタコに。
アメリカ
「アメリカンブレス」
【代表モデル】エクスプローラー
このブレスは幅広いモデルに採用されていた模様。他国製より硬くて良質という説もあり。
米国製という言葉に物欲が刺激されるのは時計好きも同じ。
諸説あるが、1950~1970年頃まで米国の会社もロレックスのブレス製造を担っていて、そこで作られていたブレスの裏側にはしっかり“U.S.A”の文字が刻印されていることから、“アメリカンブレス”という愛称に。
メキシコ
「メキシコロレックス」
【代表モデル】GMTマスター
GMTマスターを筆頭に、ジュビリーブレス採用モデルにメキシコ表記が多く見られた。
上の米国製に負けず劣らず希少なのが、メキシコ製ブレスを備えた通称“メキシコロレックス”。こちらも一説によると1950~1970年代頃まで多く作られていた模様。
メキシカンブレスはアメリカンブレスと比べて、コマがわずかに楕円形になっているとマニアの間では有名。
[ビギン2019年2月号の記事を再構成]イラスト/田中 斉 文/黒澤正人