特集・連載
あの時計に希少!?ないきものが!? アンティーク腕時計用語いきもの図鑑
腕時計オモシロ用語図鑑 「イチロクハチゼロのカドがバリバリのやつを見つけて~」「ヨンケタ品番でその値段はお得だね~」……じつは、これ全部ヴィンテージ時計用語なんです。すし屋の符牒のごとく、その由来や意味は深いモノ。そこでロレックスを中心に簡単解! これでアナタも通になれる!? この記事は特集・連載「腕時計オモシロ用語図鑑」#02です。
サルだゴリラだキリンだと、幼少時にクラスメイトを動物の名で揶揄していたように、時計界にも特定の部位や銘柄を生き物に喩えてネーミングする文化が根付いています。ここではその仕様の面白さや稀少性で、生物の名を冠することになった名作を紹介いたします。
「失敗だ〜」なんて言わせない
「スパイダーダイヤル」
それこそ蜘蛛が巣を張って獲物を狙うように、ロレックス愛好家が熱心に探し求めているのが、この“スパイダーダイヤル”。
要は蜘蛛の巣状に美しくヒビ割れている文字盤を指す俗称なんですが、これは文字盤をラッカーのような塗料で仕上げていた、’80年代後半までのモデルにしか見られないレア仕様。ヒビ割れた文字盤はジャンク品ではなく、年代物の証なんです。
代表モデル
’80s サブマリーナー
ヒビ割れやすい材質で作られていたのは’60年代後半まで。GMTマスター等にも同仕様のモデルあり。
伝説の部隊名から命名
「サンダーバードベゼル」
回転式ベゼルをエアモデルで取り入れた
1956年、米国空軍のアクロバットチーム“サンダーバーズ”の隊長ドン・フェリスは、引退記念にロレックス社へ自分好みの時計を特注しました。
ドレスウォッチのデイトジャストにスポーツモデル由来の回転ベゼルを搭載したこの異端モデルは、そのまま“サンダーバード”という愛称で親しまれ、2004年に廃番になって以降もロレ好きから不動の人気を誇っています。
伝説の鳥“サンダーバード”
該当モデル
回転ベゼル付きデイトジャスト
製造期間は1956~2004年。ちなみにサンダーバードは先住民の間で伝説の鳥として崇められている。
プロゴルファー“虎”モデル
「クロノ・タイガー」
ゴルフでも私生活でも伝説を残したタイガー・ウッズは、1998年から2002年までチュードルのアンバサダーを務めていました。
同社の代表作“クロノタイム”をベースにしたウッズとのコラボ時計は、通常モデルにはないカラーリングで大ヒット! とくに人気の高かった白×黒の配色はパンダ顔なのに“クロノ・タイガー”という異名がつき、一躍人気銘柄に。
パンダクロノの人気も高い
父の戦友の名を借りて“タイガー”の愛称に
実はタイガーというのはウッズの父が戦友の名を元に息子につけた愛称。本名はエルドリック・ウッズ。
該当モデル
チュードルクロノ
98~2002年という短期間のみ作られたクロノ・タイガーの中でも、やっぱりパンダは大の人気モノ。
[ビギン2019年2月号の記事を再構成]イラスト/田中 斉 文/黒澤正人