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HISTORY

スケジュール管理のツールとして、今や当たり前のように使用される手帳だが、スペースが日付によって分割された今日のスタイルが確立されたのはおよそ200年前。意外や歴史は浅い。手帳はどんな経緯を経て、生活に欠かせない道具となったのか。デジタルでは得られないアナログの魅力はあるのか。その答えを、成り立ちから探ろう。

世界最古の手帳メーカーとして知られる英・レッツ社の、1856年度の手帳。活版印刷による美しいフォントに息を呑む。時間軸の表記こそないものの、見開きを日付表記によって7つに分割した、今日の手帳の構成が見てとれる。

クオバディス創始者が、その創立以前に用いていたゴム印。これを手帳に押せば、調べることやすべきこと、受領や支払いといったファクトを線で分割して示せる。記述欄が細分化された今日の手帳の、始祖というべきものだ。

定番アイテムの基礎知識

文房具

【手帳】

●予定や覚え書きを記すノート。
●製本された綴じ手帳とカスタムして使うシステム手帳がある。
●現在はスマホにもその機能あり。

記述スペースを日付で分割した現代の手帳が製品化されたのは、産業革命期の1812年。ロンドンの金融街で働くビジネスマンがこれを愛用し、広まったという。日本においては1868年(明治元年)に警察手帳や軍事手帳が刷られているが、プライベートな手帳を初めて用いたのは、パリ帰りの福沢諭吉だという説も。いずれにせよ社会の変革が、手帳の普及を促したのだ。初期の手帳はノートに日付を記しただけのシンプルなものだった(今でもこの自由度を好む人はいる)が、やがて時間軸が加わり、今ではメールアドレスの覚え書き項目が追加されるなど、そのフォーマットは静かに進化を遂げてきた。しかし、カバーの風合いや、書き味、インクの滲みにくさといった基礎品質が重要とされるのは、今も昔も変わらない。手帳はソフトとハード、双方の性質が求められるツールなのだ。

写真/大嶽恵一 文/秦 大輔 スタイリング/佐々木 誠 取材 ・ 写真協力/平和堂 クオバディス ・ ジャパン

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