今日から始める美味しい暮らし[ベジカジライフ]

軍モノらしくない見た目と履き心地。機能性も抜群なイギリス軍のデザートソックス

「ビジカジ」に始まり、あらゆる分野でカジュアル化が加速する昨今。次のジャンルは? と問われれば、それはズバリ、ガーデニングである! ベジタブル × カジュアル、名付けて「ベジカジ」。週末農家・坂下史郎さんが徒然なるままに書き連ねる、ちょっぴり土臭くて小粋なファッション放談。

イギリス軍のデザートソックス

週末農家・坂下史郎のベジカジライフ
イギリス軍のデザートソックス

山梨のこの辺りは、11月になると大きな渋柿がたわわに実っている柿の木をたくさん見ることができる。それらはやがて収穫され、各家の軒先やガレージ、また柿農家の方たちは備蓄用のハウスなどに一斉に干される。

その柿たちは冬を迎える山梨、甲州地区の風物詩でもあり名産品でもあるのだ。この辺りでは干し柿でなく枯露柿(ころがき)と呼ぶそうだが、塩山に住むようになって最初に目にした時、まずびっくりしたのがその大きさだ。

子どもの頃、家の庭に柿の木が5~6本ほどあり(それは全て甘柿だった)よくよじ登っては捥いでいたが、おそらく山梨の柿の半分ほどの大きさしかなかった。調べてみるとこの渋柿の品種は甲州百目(ひゃくめ)というこの辺りの品種のようだ。

そして近所の人に枯露柿を作ってみたいと話したら、その作り方を教えてくれた。色々な方法があるようだが、基本は皮を剥き、熱湯につけて消毒し、雨に当たらないよう、物干し竿などで2週間ほど風通しよく吊るしたら食べられるようになる。

その間、満遍なく日があたるように向きを変えたり、手で優しく揉んであげたりしなければならない。結構手間がかかるし、途中でカビが生えたりしたらもうダメ。これを都会と山梨を往復する自分がやるとなると、そのリスクが80%以上あるような気がして、世話をすることが難しいと断念。結局、知り合いのから枯露柿になったものもお裾分けでいただいた。

カキ
皮を剥き、こんな感じで2週間吊るす。手間ひまかけただけあり、やはり素晴らしい完成度であった。

そんな冬の風物詩と一緒に紹介するのは、イギリス軍のソックス。一応いろんな用途のソックスを持ってはいるが、中でも長年愛用しているのがイギリス軍のデザートソックスである。足首部分は通常のリブだが、スポーツソックスと同じように足部分は裏面がパイルとなっていてそのフカフカ感がエクリュの色合いと絶妙にマッチしている。

そんなほっこり感ある見た目と履き心地でいて、ポリエステルメインの素材で軍隊での使用に耐えうる機能性と丈夫さも備えている。ついいつもの癖でコレのどんなところが良いかだったり、他に活用できるような使い方はないかと観察しながら考えを巡らせていると、裏返して足部分のパイル形状が手を入れて体を洗うボディタオルにもなってくれるんじゃないか、という一つの閃きが生まれた。

そうしたら靴下も洗えて体も洗えて一石二鳥じゃないか? この類の閃きは思いついた瞬間はおおっ! となるが、時間が経って冷静になると、どうだろう、まあ別々にしたほうがいいか。と着地してしまった。でもそんな使い方もよくないですか? 知らんけど。

イギリス軍のデザートソックス

まず見た目のカラーがとても可愛い。エクリュとホワイトの組み合わせが、軍モノらしからぬナチュラルでお洒落な雰囲気を醸している。タフなので普段履きでもそうだが、畑作業の長靴のインにももってこいではないだろうか。相場価格は1800円ほど(※編集部調べ)

イギリス軍のデザートソックス

基本私は春から秋まではずっとベアフットなサンダルで過ごしているが、肌寒い枯露柿の季節にはいよいよシューズ履きが増えてくる。

イギリス軍のデザートソックス
タグを見るにNATO軍に納品されていたモノのようだ。

今月のひと皿
干し柿

干し柿

甲州名物の枯露柿。吊るし干しした後に平たく並べて、毎日ひっくり返したり揉んだりして完成する、とても手間がかかった逸品だ。同じ干し柿でも「ころ柿」は水分が25~30%で白い粉が吹き、水分が50%前後で柔らかいものは「あんぽ柿」と呼ばれる。

カキ(DIOSPYROS KAKI)
●カキノキ科カキノキ属 ●全長:2~5m ●生態:落葉広葉樹 ●原産地:中国

カキ

[一口メモ]美味しく仕上がるよう柿の向きをコロコロ変えて丁寧に乾燥させることから「枯露柿」の名が付いたらしい。

坂下史郎

坂下史郎

さかしたしろう/1970年生まれ。セレクトショップや著名ブランドのMD職を経て独立。2015年から都内と山梨・塩山での二拠点生活を始め、以来毎週末の山暮らしがルーティンに。一方でデザイナーとしての顔も持ち、自身が手掛けるブランドである「221VILLAGE(221ヴィレッジ)」と「迷迭香(マンネンロウ)」には、その趣向を反映させた街⇄山で活躍する機能服が揃う。

連載[週末農家・坂下史郎のベジカジライフ]
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https://www.instagram.com/vegicasual_begin/

 
※表示価格は税込み


[ビギン2025年2月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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