今日から始める美味しい暮らし[ベジカジライフ]

週末農家・坂下史郎さんが「スマイソン」のログダイアリーを使うワケ

「ビジカジ」に始まり、あらゆる分野でカジュアル化が加速する昨今。次のジャンルは? と問われれば、それはズバリ、ガーデニングである! ベジタブル×カジュアル、名付けて「ベジカジ」。週末農家・坂下史郎さんが徒然なるままに書き連ねる、ちょっぴり土臭くて小粋なファッション放談。

週末農家・坂下史郎のベジカジライフ
スマイソンのガーデニング ジャーナル

スマイソンのガーデニング ジャーナル

アナログな土いじりの酔狂を紡ぐログダイアリー

5年前にガーデニングをはじめた頃、我が畑の創設メンバーとして迎え入れた野菜の一つにケールがある。

ケールは現在のキャベツやブロッコリーなどの原種とも言われていて、栄養価が非常に高い。そして何よりキャベツなどと比べても初心者でも比較的栽培が容易であるアブラナ科の植物だ。収穫は引っこ抜くのではなく、成長した株の比較的緑色が鮮やかな葉を下の方から取っていく。頭頂部から次々と新しい葉が出てくるので、収穫末期は中心の茎? がひょろひょろ長く伸びた先に葉がついているようなシルエットになる。

最近の連載によく書くのだが、年をとって苦味の魅力が分かりはじめたので、以前に増してケールの美味しさを感じるようになってきた。生食でもソテーでも美味しく、そして世界中で食べられているから、あちこちでケールを使用したレシピを見つけることができる。昔から食べられている野菜の歴史は、それすなわちいかに美味しく食べるか、という人々の試行錯誤の歴史でもある。その進化はシンプルで少しずつでも、原稿を書いている今この時も、ケールの新レシピが世界のどこかで誕生しているかもしれない。

そして今回一緒に紹介しているのは、1887年創業と英国の中でも長い歴史を誇る「スマイソン」の「ガーデニングジャーナル」。

スマイソンといえば豊富なバリエーションの手帳やダイアリーが有名だが、庭仕事に向けたこんなニッチな手帳もあったのだ。名前の通り、ガーデニングを行う中で、1年間の自分の庭仕事への酔狂を記録できるノートだ。だが、今の時代は、日々の日記に代わってSNSが台頭し、必要なものは通販で自宅まで届く時代になった。このノートを手にすると、ほんの少し前までの自分たちは、暮らしに関わることはすべて紙に書いていたし、仕事でも分厚い手帳なんかを脇に抱えていたことを思い出す。

確かに、技術の進歩により「雲(クラウド)」の中で電子化された思い出を、思いのままに引き出せる時代は便利だ。それでも、家の引き出しからスマイソンのようなスマートなノートに当時書いた昔の自分の行動や、考えていた将来のプランなんかをページをめくりながら慈しむことは、やはりデジタルとは違う感じ方や充実感がある。ただ、そういった営みも、これから先の世代にとっては、ある種趣向的な楽しみになっていくのだろう。

歴史を積み重ねてきたケール、スマイソン、そして自分自身についても、世の中の波に流されすぎず、自らのスタイルに合う進化を重ねていきたい。

スマイソンのガーデニング ジャーナル

カレンダー、ガーデニングプラン、連絡先などなど、5つのセクションに分かれたガーデニングのために設計された手帳。しなやかなクロスグレインラムスキンを使用したカバーは発色もよく、手馴染みも申し分ない。英国製。W14×H19.6cm。4万400円(スマイソン)

スマイソンのガーデニング ジャーナル

①この手帳以前も、庭のプランや設計図は基本紙に書く派である。

スマイソンのガーデニング ジャーナル

②日記はじめ、庭作りのプラン、種や道具のお店のメモ、庭のレイアウトを描くパートなどに区切られている。

スマイソンのガーデニング ジャーナル

③ケールにも様々な品種があるが、今育てているのはいかにもケールらしい葉の縮れが特徴の「カーリーケール」だ。

今月のひと皿
豚肉とケールの五香粉炒め

豚肉とケールの五香粉炒め

フライパンにごま油、生姜、ニンニクを入れて炒める。ある程度香りが立ってきたら、豚肉、ケールの順番に入れてさらに炒める。そのあとに五香粉、酒、醤油を入れて蓋をして蒸し焼きしたら出来上がり。五香粉のエスニックな香りがたまらない中華風炒めだ。

ケール(BRASSICA OLERACEA VAR, ACEPHALA)
●アブラナ科アブラナ属 ●全長:30~80cm ●生態:多年草 ●原産地:地中海沿岸

ケール BRASSICA OLERACEA VAR, ACEPHALA スケジュール

[一口メモ]一般的には葉が縮れたイメージだが、縮れが全くないものや赤いもの、黒いものなど、色々な派生種がある。

坂下史郎

坂下史郎

さかしたしろう/1970年生まれ。セレクトショップや著名ブランドのMD職を経て独立。2015年から都内と山梨・塩山での二拠点生活を始め、以来週末の山暮らしがルーティンに。デザイナーとしての顔も持ち、自身が手掛けるブランド「221VILLAGE(221ヴィレッジ)」と「迷迭香(マンネンロウ)」には、その趣向を反映させた街⇄山で活躍する機能服が揃う。

連載[週末農家・坂下史郎のベジカジライフ]
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※表示価格は税込み


[ビギン2024年9月号の記事を再構成]文/坂下史郎 写真/丸益功紀(BOIL)

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