今日から始める美味しい暮らし[ベジカジライフ]
日常に溶け込むシンプルデザイン&機能性に一目惚れ間違いなし! なキャップ
「ビジカジ」に始まり、あらゆる分野でカジュアル化が加速する昨今。次のジャンルは? と問われれば、それはズバリ、ガーデニングである! ベジタブル × カジュアル、名付けて「ベジカジ」。週末農家・坂下史郎さんが徒然なるままに書き連ねる、ちょっぴり土臭くて小粋なファッション放談。
週末農家・坂下史郎のベジカジライフ
フィッシュのキャップ
今でこそようやく秋らしい涼しさになったものの、やはり今年の夏の暑さは尋常ではなかったように思う。類を見ない猛暑に見舞われた塩山で、今年は空芯菜(クウシンサイ)を育てた。
読んで字の如く、芯(茎の部分)が空洞になっており、湿度の比較的多い熱帯アジア原産なのだが、山梨の我が庭でも勢いよく育ってくれた。熱帯の植物なので、ウチあたりの寒い冬を越すことは露地栽培では難しいのだが、思っていたより成長が早く、初夏に種蒔きし、夏の暑い時期に収穫することができた。
ヒルガオ科サツマイモ属に分類されている通り、伸びたツルがアサガオやイモのそれにとてもよく似ている。手間もいらず勝手に生い茂ってくれるため、気づかないうちにかなり広範囲にツルが伸びていて驚いた。
旺盛に伸びるツルのうち、この先端部分がうまい。台湾料理、中華料理を食べに行くと必ず頼む野菜料理の一つだ。
料理をするにしても、中華料理的にニンニクを効かせて炒めただけでとても美味しい。旺盛なツルの先端部分を切り取り、さっと洗ってすぐ炒める。収穫から料理までが10分ほどという、A○○zonの配達もビックリのスピードだ。
そんな私の食欲を夢中にさせてくれた空心菜と一緒に紹介するのが、この「FISH(フィッシュ)」というブランドのキャップ。私の20年来の友人であり、またフライフィッシングを教えてくれた師匠の一人であり、そして今は山梨でご近所さんでもある、若山さんがデザインした“フライフィッシングを楽しむためのキャップ”である。
彼の長年の釣行の経験から生まれたこのキャップは、随所にこだわりと機能性、そしてフライフィッシングという情緒ある釣りが似合う雰囲気というものが同居していながら、デザインは至極ベーシックゆえ炎天下での土いじりにももってこいだ。
例えばツバの裏側は、川面の光の反射が目に入るのを抑えるため、全てのカラー展開で黒を採用している。また後頭部のアジャスターは、表側に見えないように被り口の見返し部分に収納できる。
乾きが良いが、同時にクラシックな趣も感じさせるコットンナイロンの素材を使用しているところは“機能性だけでは作ってませんよ”と言うメッセージが込められているように感じ、いちフライマンの端くれとして一目惚れしてしまった。
もちろんインパクトあるロゴやデザインも、気分を上げてくれて結構。だが、あらゆる日常シーンに溶け込むような、例えばこういうキャップのようなシンプルさも、過去を振り返ったときにかえって目に浮かんでくるのではないか。友人の考え抜いた“シンプル”にとても共感している自分である。
フィッシュのキャップ
速乾性に優れるコットンナイロン素材を使った、フライフィッシングに着想を得たキャップ。釣り由来でもそれを感じさせないシンプルなデザインは、街使いでもお世話になりそうだ。カラーは写真のブリック、ベージュ、ブラックの3色展開。7920円(3.5.6番車庫)
被るとこんな感じ。アジャスターが収納されているおかげで、傍目にも至極ミニマルだ。
川面の反射を抑えるため、つば裏は黒塗りに。細かいところまで気が利いている。
今月のひと皿
空芯菜のニンニク炒め
4~5cmに切った空芯菜を、刻んだニンニクとごま油で炒めたらハイ! 完成。塩胡椒も少々。シャキシャキの食感の中にほんの少しの青味のある味わいが、ニンニクの香りでモリモリと食欲が湧いてくる。これが暑い夏の日に何度もパワーを補充してくれた。
空芯菜(IPOMOEDA AQUATICA)
●ヒルガオ科サツマイモ属 ●全長:30~40cm ●生態:一年草 ●原産地:熱帯アジア
[一口メモ]ベータカロテンやビタミンE、ビタミンKなど脂溶性ビタミンが豊富。油で炒めることで栄養価アップ!
坂下史郎
さかしたしろう/1970年生まれ。セレクトショップや著名ブランドのMD職を経て独立。2015年から都内と山梨・塩山での二拠点生活を始め、以来毎週末の山暮らしがルーティンに。一方でデザイナーとしての顔も持ち、自身が手掛けるブランドである「221VILLAGE(221ヴィレッジ)」と「迷迭香(マンネンロウ)」には、その趣向を反映させた街⇄山で活躍する機能服が揃う。
※表示価格は税込み
[ビギン2025年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。