今日から始める美味しい暮らし[ベジカジライフ]
【迷迭香(マンネンロウ)の晴雨兼用傘】土砂降りも暴風も炎天下もこの一本で満足
「ビジカジ」に始まり、あらゆる分野でカジュアル化が加速する昨今。次のジャンルは? と問われれば、それはズバリ、ガーデニングである! ベジタブル×カジュアル、名付けて「ベジカジ」。週末農家・坂下史郎さんが徒然なるままに書き連ねる、ちょっぴり土臭くて小粋なファッション放談。
週末農家・坂下史郎のベジカジライフ
マンネンロウの晴雨兼用傘
毎年ジトジトとした梅雨の時期に我が“食べられる庭”での楽しみの一つが、ブラックベリーの収穫だ。とても旺盛な育ち方で、毎年たくさんの実をつけてくれる。一度実がついた枝は枯れてしまうが、次の年には新しい枝がグングンと伸び、またたくさんの実をつける。その枝を剪定する方向で庭の雰囲気も変わるので、新しい枝をどの方向に誘引するか考えるのもまた楽しい。
鳥たちもよく啄んでいるようで、適度に食べられるぶんにはかのリバティープリントの代表的な図案「いちご泥棒」を思い浮かべてほくそ笑むのだが、中には食べた後に車の上にブラックベリー色の糞を落としていく輩もいる。これには恩を仇で返されたようで、がっくし肩を落としながら洗車をすることがよくある。
そんなブラックベリーでもう一つ思い出すのが、20年以上前のスマートフォン前夜に世を席巻していた、カナダ生まれのキーボード付き電話機“BlackBerry”。当時頻繁に海外出張に行っていた頃、とにかくイケてる大人たちがこぞって使っていた。
その栄枯盛衰を描いた映画『BLACKBERRY(2023年)』も鑑賞したが、当時の爆発的な売上で人生までも狂ってくるような、めちゃくちゃなストーリーに現代にはない空気感を感じてとても面白かった。まだiPhoneが世に出る前、一台でメールやブラウザなど何役もできる端末というのは、世のビジネスマンにとってステイタスシンボルの一つだったのだろう。
そして今回紹介する“モノ”はちょうど撮影日が雨模様だったため、自身の迷迭香(マンネンロウ)の傘を紹介させてもらうことになった(手前味噌でスミマセン!)。
この傘、一見少し小ぶりな傘なのだが、こう見えて日傘の機能も持ち合わせている。最近、夏山などのハイキングでの必需品の一つとして、日傘がよくあがるようになった。強烈な日差しから体を守るためには、熱がこもる長袖よりも日傘の方がより快適に山行を楽しめるというわけだ。
その使い方を考慮して、コンパクトに折りたためるよりも、よりハードな環境でもしっかりと使えるような丈夫さを求めた。昨今の異常気象で、午前中は命の危険を感じるような日差しでも、夕方は嘘のような土砂降りに遭う日も多い。その点、晴雨兼用のコイツなら一本で両方対応できて良いかなと思う。
かつて一時代を築き上げたBlackBerryのように、土砂降りも炎天下もいけるこの傘が、これから夏のステイタスシンボルになってくれないかなぁ、と密かに思っている(まあ、無理か……)。
マンネンロウの晴雨兼用傘
遮光率99.99%の日傘機能も備える晴雨兼用傘。街でも使えるよう山用のシルバーコーティングの生地ではなくマットなベージュを選んだ。作りも英国の某名門の傘も手掛けている工場に依頼しているから、クオリティも申し分ない。Φ92cm。9680円(マンネンロウ)
①男女の別なく持てるベージュカラーもこだわり。
②突風にも耐えられるようゴルフ用の傘やビーチパラソルなどに見られる風抜けを設け、裏面はメッシュで補強している。
③ブラックベリーはその名の通り、黒くなると完熟の合図。ちょうど撮影日に完熟した実がポツポツとできはじめていた。
今月のひと皿
ブラックベリージャム
甜菜糖、レモンの搾り汁、カルダモンシード、シナモンパウダーを入れてコトコトと30分ほど煮詰める。最初に半分の甜菜糖を入れて、途中で味見をしながら甘さを調整していくのがコツ。サワークリームと合わせて、スコーンにつけて食べるのが好きだ。
ブラックベリー(RUBUS)
●バラ科キイチゴ属 ●全長:1.5~5 m ●生態:落葉低木 ●原産地:アメリカ
[一口メモ]ポリフェノールの一種「アントシアニン」を豊富に含み、独特の形状から「黒い宝石」との異名もとる。
坂下史郎
さかしたしろう/1970年生まれ。セレクトショップや著名ブランドのMD職を経て独立。2015年から都内と山梨・塩山での二拠点生活を始め、以来週末の山暮らしがルーティンに。デザイナーとしての顔も持ち、自身が手掛けるブランド「221VILLAGE(221ヴィレッジ)」と「迷迭香(マンネンロウ)」には、その趣向を反映させた街⇄山で活躍する機能服が揃う。
※表示価格は税込み
[ビギン2024年10月号の記事を再構成]文/坂下史郎 写真/丸益功紀(BOIL)