“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「“避妊グラス”とも称される 個性派ミリタリー眼鏡」
GIグラス タイプ〝S9〟
TEACHER:7th オーナー 平林さん
眼鏡にも背景を求めるモノ好き諸氏のため、今月は昨今古着界で話題の名作"S9"をご紹介。
「米軍では古くから"GIグラス"という兵隊用の眼鏡が官給されているんですが、これには時代によって色や形に変遷があり、その都度モデル名も変わっているんです。そのなかでこの"S9"は、80年代から現在まで採用されている、息の長い名作。年代が浅い物なので玉数はそこそこ豊富だったんですが、ここ4〜5年の間で注目度が増し、流通量も減ってきてしまいました」
人気の要因はガチの軍用品であるという骨太な背景だけではなく、純粋にデザインにもあるそう。
「今作のアメリカでの愛称は"避妊グラス"(苦笑)。ダサいから掛けるとモテないということで、そう呼ばれていたそうなんですが、日本人の服好きからするとこれが絶妙にダサかっこいい。クリアブラウンのプラフレームも洒脱で今っぽい。これからは流通量が減る一方なので、マイサイズを見つけた方はお早めに」
[目利きPOINT]
保管しやすいソフトケースも付属
USSの
S9グラス
要所には米軍の官給品の証しである〝USS(UNITED STATES SAFETY SERVICE)〞の刻印も。その下の数字はサイズを表していて、〝50〞は片方のレンズの横幅、〝20〞はブリッジの幅のこと。天地幅広めのスクエアシェイプは存在感タップリ。1万1000円(7th)
アメリカ映画でもたびたび登場
〝S9〞は米軍を描写した映画の小物として登場することも多い。有名なのは2016年に公開されたエドワード・スノーデンの伝記映画『スノーデン』。ジョセフ・ゴードン=レヴィット扮する主人公スノーデンが魅せるS9姿は、ダサかっこいい!のお手本として著名。
7th オーナー
平林さん
コアな古着好きが集う東京・学芸大学駅の人気店。オーナー自ら米国で買い付けてきた良質な衣類、小物、革靴が豊富に揃う。
※表示価格は税込み
[ビギン2023年8月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人