ナイジェル・ケーボンのスウェットは“時をかける象徴”だ

生地から細部まで特濃なキング・オブ・ベーシック服

マロリージャケットやアーミーカーゴパンツなど多くの名作を擁するナイジェル・ケーボン。ですが、スタッフ着用率が高いウェアを調べたところ、挙がってきたのは意外やスウェット。

しかも形はクルーではなくパーカとパンツ…、色もグレーでない!?　そう実は、意外な人気に驚きつつも、さらに驚きなのはスウェットといえばグレー＆クルーネックはお約束なのにラインナップに存在しなかったことなんです。

そこで、クルー、しかも霜降りグレーのスウェットが登場すると聞けば、ファンもスタッフも飛びつくしかありません！　50sクルーネックスウェットと名付けられた新型は一見ベーシックですが、ディテールも素材も見れば見るほど濃いクチ！　解説しましょう。

ネックリブには30年代のスウェットに見られる2本針を参考に配色ステッチを採用。さらにガゼットは日本に数台しか現存しない旧式反転ミシンを使って、40年代風のガゼットが再現されています。

さらに全体のデザインはナイジェル氏が所有する50年代のスウェットをベースに。腕を動かしやすいフリーダムスリーブや立ち気味のネックリブによって、じわりと「ヴィンテージのオーラ」を放ちます。

で、極めつきは超希少な「70年代のアズマ編み機」で編み立てられた20.5オンスのヘビーテリーフリース。糸にテンションをかけずに、じっくり時間をかけて編み立てられた生地は、がっしりとしたハリ感としなやかさを兼ねそなえ、洗濯を繰り返しても型崩れしにくいという渾身素材です。

ずっと着られるグレーのクルーネックに、各年代のヴィンテージディテールを注入。汎用性と存在感を兼備した一着、使えないワケないでしょう？

各年代のディテールを採用したレガシースウェット

50sクルースウェット

展開のなかったクルーネックスウェットがついに！　ヴィンテージを踏襲した前Vガゼットと通称・ハラマキと呼ばれる長いリブが特徴だ。王道というべき霜降りグレーは新色。ほかにアイボリー×グレー、チャコールの3色展開。3万1900円。

スウェットの存在感がハンパないから、シンプルなスタイリングでも◎。ワイドなコーデュロイパンツとのコーデが今の気分。ナイジェル・ケーボンのパンツ5万600円、同ニットキャップ1万2100円。

［30s］1930年代の2本針衿がモチーフ

’20～’30年代のスウェットに見られる2本針のネックリブは2本の糸で平行に縫われる仕様で、強度に優れている。本作ではこの仕様を参考に振り糸に別のトーンのグレー糸による配色ステッチが採用されている。

［40s］1940年代のガゼットを忠実再現

この糸は、じつはヴィンテージ仕様

伸縮性を高めつつ、汗止めとしても機能するガゼットは’40年代のスウェットを参考に。幻といわれる旧式の反転ミシンで縫われたガゼットはフラットシーマと異なり、この部分がぼこっと凹んでいるのが特徴だ。

［50s］1950年代の正統デザインを踏襲

元ネタはデザイナー本人が所有する’50年代のヴィンテージ。同年代のスウェットにはネックラインが立ったものが多く、本作も着用時にネックラインが立つように設計されている。袖付けはフリーダムスリーブに。

［70s］1970年代のヘビーウェイト裏毛

一般的な厚手のスウェット生地は16.5オンス程度だが、こちらは20.5オンスのヘビーテリーフリース。表側は凹凸感のあるしっかりとした生地ながら、裏側のループは立ち上がった密の状態に。細やかな起毛のおかげで肌触りはじつにしなやか。

吊り編み機から効率のいい編み機への切り替えが進む’70年代の初期に使われたアズマ編み機。編むスピードが非常に遅いものの、その分、糸にテンションをかけないため、ふっくらとした柔らかいスウェット生地を編むことができる。日本でも現存数は数えるほど。

スタッフたちにこよなく愛用される定番パーカ

50sパーカ

’50年代のヴィンテージをベースにしたパーカはフロントが重なり合ったフードが特徴で、ボディにはスウェットと同じ生地が使用されている。今季は新色の霜降りグレーが追加された。3万1900円。

フロント部分が重なったフード

ミリタリーのトレーニングウェアをナイジェル流に

40sミリタリーパンツ

定番パンツは腰の長いリブと裾のコードがポイント。ゆったりとした股上＆ワタリからきもちテーパードという今どきシルエットも人気の理由だ。がっしりとした生地は型崩れにも強い。2万9700円。

コードの先端にブロードアローが

ごん太な腰リブがアクセントに

新オープン!! Nigel Cabourn THE ARMY GYM KICHIJOJI STOREでも買える

この夏、吉祥寺にオープンした新店はウィメンズがメインだが、定番を中心にメンズの注目アイテムもラインナップされている。今回紹介したスウェットアイテムも展開予定。

商品の問い合わせ先／アウターリミッツ
☎ 03-5413-6957
https://cabourn.jp/

※表示価格は税込み
※クレジット表記のないアイテムは、すべてスタイリスト私物です。

写真／上野 敦（プルミエジュアン）　文／押条良太（押条事務所）　スタイリング／武内雅英（CODE）　ヘアメイク／北村達彦